サイエンスポータル 2019年12月12日
産業技術総合研究所(産総研、中鉢良治理事長)が
福祉用具・介護用品の総合メーカーと共同で、
転倒を防止する機能を持つロボット歩行車の試作機を開発。
今後も実証実験を続けて、2021年2月までに実用化を目指す。
歩行車は、リハビリ施設や高齢者が街中を歩行する場面でよく見かけるが、
高齢者が転倒すると骨折して寝たきりになるケースも多い。
実用化すれば、転倒しにくく安全に移動できて高齢者らが安心して使える
新しいタイプの歩行車が誕生すると期待。
これまでの歩行車は、利用者の転倒を防止する機能を備えておらず、
利用者が歩行車から手を離して転倒したり、
歩行車ごと転倒するリスクがあった。
高齢者が転倒して骨折すると、、回復まで時間がかかって、
その間筋力が低下してそのまま要介護者になる場合も少なくない。
介護施設などでは、転倒リスクを減らすために要介護者が移動する際は
車いすを用いることが多い。
車いすの多用により、要介護度が重度化する「作られた寝たきり」が
増える傾向にあることが問題。
産総研によると、2003年に370万人だった要介護者数は、
2017年には630万人に増加。
産総研と共同で開発したのは、福祉用具・介護用品の総合メーカーの
幸和製作所(大阪府堺市、玉田秀明社長)。
両者はそれぞれの得意分野で協力して、
転倒防止機能を備えたロボット歩行車の開発を目指した。
産総研のロボットイノベーション研究センターは、
人体や歩行車の動作モデルに基づいた転倒動作シミュレーション技術と、
高齢者の代わりとなる人形「人型ダミー」を考案。
幸和製作所と共同で、転倒防止機能を持つロボット歩行車の開発を進めた。
産総研と幸和製作所は、
(1)利用者が歩行車ごと転倒しない安定性と、
利用者が要介護高齢者でも使える操作性を両立する
(2)トイレなどの狭い場所でも利用可能なこと
(3)転倒リスクは車椅子で移動する場合と同等以下
(4)歩行中は介助なしで利用できること―などを設計基準に設定。
転倒動作シミュレーションに基づいて設計し、
利用者の転倒につながるさまざまな動きを人型ダミーにさせる実験などを
繰り返して転倒をしっかり防止できるロボット歩行車の試作機を完成させた。
試作機はバッテリーを搭載し、幅、奥行き約60cm、高さ約80~約100cm。
移動用車輪は、左右3つずつ計6つ。
歩行がたどたどしい利用者の左右の足のそばに車輪を配置し、
転倒につながるわずかな力に応じて駆動輪が回転する。
例えば、利用者がバランスを崩して後方に倒れそうになると、
歩行車がすぐに後方に動いて転倒を防ぐ。
転倒を防止する機構の開発は、幸和製作所が担当。
人型ダミーの位置や姿勢を変更するなど、
さまざまな条件での転倒実験でも人型ダミーが歩行車から落下する場合は
一度もなかった。
産総研などの開発グループは、
今回開発した歩行車の利用により、転倒リスクがある要介護者が
安全に歩くことが可能となり、要介護度の重度化を予防する
自立支援介護や総介護費用増加の抑制が期待される。
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/12/20191212_01.html
2019年12月12日木曜日
2019年12月4日水曜日
高校野球、スピード感増す負担軽減策 暑さ対策には課題
2019年11月30日 (土)配信朝日新聞
高校野球における選手の負担軽減策は近年、
導入へのスピード感が上がってきた。
夏の甲子園で出場校投手に対する「肩・ひじの検査」が始まったのが、
1993年の第75回大会。
投手の投球数について、日本高校野球連盟で議論がかわされ始めたのは、
2013年春の第85回選抜大会が終わった直後。
準優勝した愛媛・済美の2年生エースだった安楽智大投手
(現プロ野球楽天)が、9日間の5試合で772球を投げ、
選手の健康管理をめぐって国内外で論争が巻き起こっていたとき。
以降、選手の健康管理への取り組みは進んだ。
13年からは夏の甲子園大会で休養日が設けられ、
18年春からは甲子園でタイブレーク制が採り入れられた。
全国選手権において、延長戦を十八回で打ち切る規定ができたのは、
1958年の第40回大会。
2000年に、十五回に短縮されるまで42年かかった。
それからタイブレーク制導入までは18年を要した。
それらに比べ、投球数制限の導入にかかった期間は短い。
昨年12月、新潟県高野連が1試合100球という独自の投球数制限を
春季県大会で導入しようとしたことをきっかけに、日本高野連は動きだした。
今年4月、「投手の障害予防に関する有識者会議」を設け、
約7カ月で一つの結論を出した。
安楽投手の投球数が問題視されてからは7年弱だ。
今夏の第101回大会では休養日が増え、計2日間に。
選抜大会も来春から、同様に休養日を増やす。
一方で、年々過酷になる夏の暑さ対策や、
連投を完全になくす大会日程の工夫など、
選手の体を守る課題はまだ残っている。
■日本高校野球連盟の新たな取り組み
【投球数制限】
●1週間計500球以内。登板中に達した場合、その打者の完了まで投球可
●来春から日本高野連、都道府県高野連主催の公式戦で導入
●降雨などで試合が続行不可能になり、ノーゲームとなった試合も、投球数はカウント
【3連戦回避】
●選抜、全国選手権大会、明治神宮大会、都道府県高野連主催の大会などで実施
●回避できない都道府県は、事前に日本高野連に届け出る
●国体は2021年の三重国体からの実施を目指す
【3年後の見直しに向けて】
●夏の選手権地方大会から投手別の投球データを収集
●夏の選手権地方大会でも準々決勝、準決勝後に投手の関節機能検査の実施を検討
https://www.m3.com/news/general/713861
高校野球における選手の負担軽減策は近年、
導入へのスピード感が上がってきた。
夏の甲子園で出場校投手に対する「肩・ひじの検査」が始まったのが、
1993年の第75回大会。
投手の投球数について、日本高校野球連盟で議論がかわされ始めたのは、
2013年春の第85回選抜大会が終わった直後。
準優勝した愛媛・済美の2年生エースだった安楽智大投手
(現プロ野球楽天)が、9日間の5試合で772球を投げ、
選手の健康管理をめぐって国内外で論争が巻き起こっていたとき。
以降、選手の健康管理への取り組みは進んだ。
13年からは夏の甲子園大会で休養日が設けられ、
18年春からは甲子園でタイブレーク制が採り入れられた。
全国選手権において、延長戦を十八回で打ち切る規定ができたのは、
1958年の第40回大会。
2000年に、十五回に短縮されるまで42年かかった。
それからタイブレーク制導入までは18年を要した。
それらに比べ、投球数制限の導入にかかった期間は短い。
昨年12月、新潟県高野連が1試合100球という独自の投球数制限を
春季県大会で導入しようとしたことをきっかけに、日本高野連は動きだした。
今年4月、「投手の障害予防に関する有識者会議」を設け、
約7カ月で一つの結論を出した。
安楽投手の投球数が問題視されてからは7年弱だ。
今夏の第101回大会では休養日が増え、計2日間に。
選抜大会も来春から、同様に休養日を増やす。
一方で、年々過酷になる夏の暑さ対策や、
連投を完全になくす大会日程の工夫など、
選手の体を守る課題はまだ残っている。
■日本高校野球連盟の新たな取り組み
【投球数制限】
●1週間計500球以内。登板中に達した場合、その打者の完了まで投球可
●来春から日本高野連、都道府県高野連主催の公式戦で導入
●降雨などで試合が続行不可能になり、ノーゲームとなった試合も、投球数はカウント
【3連戦回避】
●選抜、全国選手権大会、明治神宮大会、都道府県高野連主催の大会などで実施
●回避できない都道府県は、事前に日本高野連に届け出る
●国体は2021年の三重国体からの実施を目指す
【3年後の見直しに向けて】
●夏の選手権地方大会から投手別の投球データを収集
●夏の選手権地方大会でも準々決勝、準決勝後に投手の関節機能検査の実施を検討
https://www.m3.com/news/general/713861
指導者「小中学生も含め考える必要」 球数制限導入
2019年11月30日 (土)配信朝日新聞
有識者会議で座長を務めた中島隆信・慶大商学部教授は、
「スピード感をもって決定がなされた」と、今回の決定を歓迎。
すでに甲子園大会では、多くの学校がクリアしている基準ではあるが、
「できることから始めるという意味では、
組織の『本気モード』を見せることができたのでは」と、
具体的な内容へ踏み込んだ決定を評価。
今後についても、「組織として、安心して野球ができる土壌を作る方向に
かじを切ったという空気が生まれるのでは。
練習方法や指導者のライセンス制度など、
考えるべき課題がたくさんあるなかで、
周囲の支援や後押しにつながる流れになってほしい」と
議論の進展へ期待を込めた。
一方、現場の指導者からは、歓迎や不安などさまざまな意見も。
今夏の全国王者・履正社(大阪)の岡田龍生監督は、
「大阪は秋や春、学校のグラウンドで公式戦をやることもある。
運営が大変だなと思う。
高校入学までに故障している選手もいるので、
小中学生も含めて考えることが必要」
昨夏の全国高校野球選手権で準優勝した県立高の金足農(秋田)の
中泉一豊監督は、「課題がたくさんあるなか、対応は早いほうがいい。
救われる選手もいると思う」と歓迎する一方、不安も吐露する。
「野球が変わり、チーム作りの方向性も変えなければいけなくなる。
子どもたちの気持ちに寄り添えるように考えたい」
花咲徳栄(埼玉)の岩井隆監督は、
「100年も続いた大会で、新しいことをやるというのは大きな決断」と評価。
議論の方向性を考える上で、医療との深い連携を提案。
「今の日本は、スポーツと医療の関係が遅れている。
野球部にお医者さんがいる高校のチームはほとんどない」
「実は医療とタイアップすれば、『この選手は500球以上いけるが、
この選手は300球でも危ない』と、個別に基準がつくれる。
指導者がもっと勉強して医療と連携し、深くスポーツと医学が
かかわって次のステップを考えていくべきだ」と、提言。
トレーナーをつけて、日頃から肩ひじの機能チェックをしているという
花巻東(岩手)の佐々木洋監督は、
「球数は一つの目安だが、個人差がある。
投げすぎで故障した選手もいれば、投げることで感覚を覚えた投手もたくさんいる。
『投げすぎ』のラインは、指導者が見極めなければいけない」と、
現場を預かる指導者の意識の重要性を強調した。
https://www.m3.com/news/general/713889
有識者会議で座長を務めた中島隆信・慶大商学部教授は、
「スピード感をもって決定がなされた」と、今回の決定を歓迎。
すでに甲子園大会では、多くの学校がクリアしている基準ではあるが、
「できることから始めるという意味では、
組織の『本気モード』を見せることができたのでは」と、
具体的な内容へ踏み込んだ決定を評価。
今後についても、「組織として、安心して野球ができる土壌を作る方向に
かじを切ったという空気が生まれるのでは。
練習方法や指導者のライセンス制度など、
考えるべき課題がたくさんあるなかで、
周囲の支援や後押しにつながる流れになってほしい」と
議論の進展へ期待を込めた。
一方、現場の指導者からは、歓迎や不安などさまざまな意見も。
今夏の全国王者・履正社(大阪)の岡田龍生監督は、
「大阪は秋や春、学校のグラウンドで公式戦をやることもある。
運営が大変だなと思う。
高校入学までに故障している選手もいるので、
小中学生も含めて考えることが必要」
昨夏の全国高校野球選手権で準優勝した県立高の金足農(秋田)の
中泉一豊監督は、「課題がたくさんあるなか、対応は早いほうがいい。
救われる選手もいると思う」と歓迎する一方、不安も吐露する。
「野球が変わり、チーム作りの方向性も変えなければいけなくなる。
子どもたちの気持ちに寄り添えるように考えたい」
花咲徳栄(埼玉)の岩井隆監督は、
「100年も続いた大会で、新しいことをやるというのは大きな決断」と評価。
議論の方向性を考える上で、医療との深い連携を提案。
「今の日本は、スポーツと医療の関係が遅れている。
野球部にお医者さんがいる高校のチームはほとんどない」
「実は医療とタイアップすれば、『この選手は500球以上いけるが、
この選手は300球でも危ない』と、個別に基準がつくれる。
指導者がもっと勉強して医療と連携し、深くスポーツと医学が
かかわって次のステップを考えていくべきだ」と、提言。
トレーナーをつけて、日頃から肩ひじの機能チェックをしているという
花巻東(岩手)の佐々木洋監督は、
「球数は一つの目安だが、個人差がある。
投げすぎで故障した選手もいれば、投げることで感覚を覚えた投手もたくさんいる。
『投げすぎ』のラインは、指導者が見極めなければいけない」と、
現場を預かる指導者の意識の重要性を強調した。
https://www.m3.com/news/general/713889
高齢者「粗食」より「肉食」、たんぱく質の摂取がカギ…フレイル講座第1部<上>
2019年12月2日 (月)配信読売新聞
年齢とともに食が細れば、筋力が低下し、
やがては出かけるのも面倒になって、ひきこもりがちに――。
早いうちにフレイルになってしまわないための予防策として、
まずは「食」に注目する。
栄養バランスに気をつけるのは当然として、
特にたんぱく質を豊富に含む「肉」がカギを握っている。
シニアの食をテーマにした料理教室「健康寿命をのばす元気ごはん」が
横浜市内で開かれた。
メイン料理は、「鶏むね肉のクリスピー焼き」。
鶏むね肉は安価だが、肉の中でも良質なたんぱく質を多く含む。
シニアに不足しがちなたんぱく質を補い、低栄養を防ぐ狙い。
「鶏、豚、牛、なんでも食べるよう心がけている。
なるべく長く元気でいたいから」。
北川澄代さん(76)は、夫に先立たれ、2年ほど前から独り暮らし。
6年前に心臓の手術をし、食事には人一倍気を付けている。
魚や野菜とバランスを取りながら、肉も週に300gは食べる。
主催する「ベターホーム協会」(東京)は、全国で料理教室を展開、
シニア対象の教室も開いている。
フレイル予防につながる肉料理も積極的に紹介、
一食でたんぱく質を30g程度摂取しながら、塩分は3g以下に抑えるよう工夫。
東京都健康長寿医療センター研究所の新開省二・副所長は、
「年をとったら粗食がいい、と考えている高齢者は少なくない。
でもそれは間違い。
フレイルを防ぐには、肉も敬遠せずに食べることが大切だ」
◆フレイル予防、まずは知識から
JR甲府駅前で、オレンジ色のTシャツを着た栄養士や看護師らが
高齢者に呼びかけ、筋肉量や食べ物をのどの奥に送る力を示す
舌圧の測定などが行われた。
医療関係者がつくる一般社団法人「WAVES Japan」(東京)の取り組み。
最近、やせてきて体力の低下を感じていた内藤和子さん(75)は、
スタッフから「低栄養です。たんぱく質もしっかりとりましょう」と助言。
肉があまり好きではなく、たくさん食べられないのが悩みといい、
「自分の力で生活していきたいが、体力が落ちてきて不安だった。
現状をチェックしてもらい、改めて、お肉もあと2口多く食べようと思えた」
同法人は2015年から、全国でこうしたイベントを計30回開催、
参加者は計1万5000人。
発起人の藤田医科大学(愛知)の東口高志教授は、
「高齢者は、圧倒的にたんぱく質が足りない。
栄養について知識を得てもらうことが、フレイル予防に大きな効果がある」
◆食べるためには、口や歯が大切
「80歳になっても肉をしっかり食べて、健康寿命を延ばそう」
そんなスローガンを掲げるのは、千葉県歯科医師会。
昨年、フレイル予防のための「8029(ハチマル肉)運動」をスタートさせた。
イベントに参加した本田セツさん(84)は、
骨密度や口腔機能のチェックをした後、
会場で振る舞われたローストポークをおいしそうにほおばった。
3日に1度は、カレーや煮物など肉を取り入れた料理を食べるといい、
「いつまでも、しっかりお肉を食べるためにも、
口や歯の力が衰えないように気を付けないと」
厚生労働省が今年示した食事摂取基準の改定案でも、
高齢者について、肉や魚などのたんぱく質を多く摂取する重要性を強調。
65歳以上は、毎日、体重1kgあたり1g以上のたんぱく質をとることが望ましい。
老化を防ぐ食事を研究している「全国食支援活動協力会」理事の熊谷修さんは、
「魚にもたんぱく質は豊富だが、肉は油の一種である飽和脂肪酸が多く、
少量でもエネルギーとたんぱく質の両方を効率よく摂取できる。
肉を食べると、栄養状態の指標であるアルブミン(血中の主要たんぱく質)の
数値も上昇する。
高齢者はむしろ、積極的に肉や油を取り入れた方がいい」
◆たんぱく質、魚や大豆製品などからも
▽東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢教授
フレイルは、加齢に伴って心身が衰える状態。
栄養と運動、社会参加を意識し、予防や改善を進めてほしい。
退職したり、子供が独立したりすると、
高齢者は社会とのつながりが薄れる。
入院などで寝たきりのような生活をすると、
普通ならば7年かけて落ちていく筋肉が、わずか2週間で失われる。
筋肉の維持に、材料となるたんぱく質が大事であることは知っている。
朝ご飯の献立を聞くと、白身魚を数口分と、みそ汁の豆腐だけが多い。
たんぱく質を取ってはいますが、量が足りない。
たんぱく質は1日に、体重1kgあたり1g以上とされるが、
実際は1・2~1・5g取ってほしい。
60kgの人で70~90g。
ステーキ200gに35g程度含まれ、1日に2枚食べるのは難しい。
魚、大豆製品など多くの種類から取ってください。
卵はお薦め。
メタボ健診(特定健診)が定着し、食事の量は控えめが望ましい、という意識が浸透。
しかし高齢者の場合、やせている方が中肉中背より死亡の危険性が高い、
というデータがある。
「やせなければ」と過度に思う必要はない。
運動はスクワットのほか、山登りや坂歩きのように、
体がきついと感じる内容が、太ももを鍛えられて有効。
私たちの研究では、高齢者は運動だけをする人よりも、
囲碁・将棋などの文化活動と、ボランティアなどの地域活動を
両方している人の方が、フレイルになっている可能性が低い。
まずは、好きな活動を続けることが大事。
食事は1人より友人と一緒の方が、多く食べられる。
会話や雰囲気もおかずの一つ。
友人を積極的に作る努力をしましょう。
行政には、住民が参加しやすい地域づくりが求められる。
むせることが増える、かむ力が弱まる、といった口の働きの衰え
(オーラルフレイル)も見逃せない。
硬い肉を食べにくくなる、滑舌が悪化して交流を避けるようになる、
といった悪影響が出る。
気付かない間に進んでいるので、歯科医に診てもらってください。
https://www.m3.com/news/general/714074
年齢とともに食が細れば、筋力が低下し、
やがては出かけるのも面倒になって、ひきこもりがちに――。
早いうちにフレイルになってしまわないための予防策として、
まずは「食」に注目する。
栄養バランスに気をつけるのは当然として、
特にたんぱく質を豊富に含む「肉」がカギを握っている。
シニアの食をテーマにした料理教室「健康寿命をのばす元気ごはん」が
横浜市内で開かれた。
メイン料理は、「鶏むね肉のクリスピー焼き」。
鶏むね肉は安価だが、肉の中でも良質なたんぱく質を多く含む。
シニアに不足しがちなたんぱく質を補い、低栄養を防ぐ狙い。
「鶏、豚、牛、なんでも食べるよう心がけている。
なるべく長く元気でいたいから」。
北川澄代さん(76)は、夫に先立たれ、2年ほど前から独り暮らし。
6年前に心臓の手術をし、食事には人一倍気を付けている。
魚や野菜とバランスを取りながら、肉も週に300gは食べる。
主催する「ベターホーム協会」(東京)は、全国で料理教室を展開、
シニア対象の教室も開いている。
フレイル予防につながる肉料理も積極的に紹介、
一食でたんぱく質を30g程度摂取しながら、塩分は3g以下に抑えるよう工夫。
東京都健康長寿医療センター研究所の新開省二・副所長は、
「年をとったら粗食がいい、と考えている高齢者は少なくない。
でもそれは間違い。
フレイルを防ぐには、肉も敬遠せずに食べることが大切だ」
◆フレイル予防、まずは知識から
JR甲府駅前で、オレンジ色のTシャツを着た栄養士や看護師らが
高齢者に呼びかけ、筋肉量や食べ物をのどの奥に送る力を示す
舌圧の測定などが行われた。
医療関係者がつくる一般社団法人「WAVES Japan」(東京)の取り組み。
最近、やせてきて体力の低下を感じていた内藤和子さん(75)は、
スタッフから「低栄養です。たんぱく質もしっかりとりましょう」と助言。
肉があまり好きではなく、たくさん食べられないのが悩みといい、
「自分の力で生活していきたいが、体力が落ちてきて不安だった。
現状をチェックしてもらい、改めて、お肉もあと2口多く食べようと思えた」
同法人は2015年から、全国でこうしたイベントを計30回開催、
参加者は計1万5000人。
発起人の藤田医科大学(愛知)の東口高志教授は、
「高齢者は、圧倒的にたんぱく質が足りない。
栄養について知識を得てもらうことが、フレイル予防に大きな効果がある」
◆食べるためには、口や歯が大切
「80歳になっても肉をしっかり食べて、健康寿命を延ばそう」
そんなスローガンを掲げるのは、千葉県歯科医師会。
昨年、フレイル予防のための「8029(ハチマル肉)運動」をスタートさせた。
イベントに参加した本田セツさん(84)は、
骨密度や口腔機能のチェックをした後、
会場で振る舞われたローストポークをおいしそうにほおばった。
3日に1度は、カレーや煮物など肉を取り入れた料理を食べるといい、
「いつまでも、しっかりお肉を食べるためにも、
口や歯の力が衰えないように気を付けないと」
厚生労働省が今年示した食事摂取基準の改定案でも、
高齢者について、肉や魚などのたんぱく質を多く摂取する重要性を強調。
65歳以上は、毎日、体重1kgあたり1g以上のたんぱく質をとることが望ましい。
老化を防ぐ食事を研究している「全国食支援活動協力会」理事の熊谷修さんは、
「魚にもたんぱく質は豊富だが、肉は油の一種である飽和脂肪酸が多く、
少量でもエネルギーとたんぱく質の両方を効率よく摂取できる。
肉を食べると、栄養状態の指標であるアルブミン(血中の主要たんぱく質)の
数値も上昇する。
高齢者はむしろ、積極的に肉や油を取り入れた方がいい」
◆たんぱく質、魚や大豆製品などからも
▽東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢教授
フレイルは、加齢に伴って心身が衰える状態。
栄養と運動、社会参加を意識し、予防や改善を進めてほしい。
退職したり、子供が独立したりすると、
高齢者は社会とのつながりが薄れる。
入院などで寝たきりのような生活をすると、
普通ならば7年かけて落ちていく筋肉が、わずか2週間で失われる。
筋肉の維持に、材料となるたんぱく質が大事であることは知っている。
朝ご飯の献立を聞くと、白身魚を数口分と、みそ汁の豆腐だけが多い。
たんぱく質を取ってはいますが、量が足りない。
たんぱく質は1日に、体重1kgあたり1g以上とされるが、
実際は1・2~1・5g取ってほしい。
60kgの人で70~90g。
ステーキ200gに35g程度含まれ、1日に2枚食べるのは難しい。
魚、大豆製品など多くの種類から取ってください。
卵はお薦め。
メタボ健診(特定健診)が定着し、食事の量は控えめが望ましい、という意識が浸透。
しかし高齢者の場合、やせている方が中肉中背より死亡の危険性が高い、
というデータがある。
「やせなければ」と過度に思う必要はない。
運動はスクワットのほか、山登りや坂歩きのように、
体がきついと感じる内容が、太ももを鍛えられて有効。
私たちの研究では、高齢者は運動だけをする人よりも、
囲碁・将棋などの文化活動と、ボランティアなどの地域活動を
両方している人の方が、フレイルになっている可能性が低い。
まずは、好きな活動を続けることが大事。
食事は1人より友人と一緒の方が、多く食べられる。
会話や雰囲気もおかずの一つ。
友人を積極的に作る努力をしましょう。
行政には、住民が参加しやすい地域づくりが求められる。
むせることが増える、かむ力が弱まる、といった口の働きの衰え
(オーラルフレイル)も見逃せない。
硬い肉を食べにくくなる、滑舌が悪化して交流を避けるようになる、
といった悪影響が出る。
気付かない間に進んでいるので、歯科医に診てもらってください。
https://www.m3.com/news/general/714074
入れ歯の手入れ、毎日必要 怠れば肺炎リスク3割増 「医療新世紀」
2019年12月3日 (火)配信共同通信社
入れ歯(義歯)の清掃を毎日しない人は、する人に比べ、
過去1年間の肺炎発症のリスクが1・3倍に高まったと、
東北大大学院歯学研究科の相田潤准教授らのグループが発表。
日本の高齢者の実態を多面的に研究するために続けられている
プロジェクト「日本老年学的評価研究(JAGES)」の2016年調査のデータを分析。
肺炎は高齢者の死因の上位を占め、
その大部分は「誤嚥(ごえん)性肺炎」だ。
加齢で物をのみ込む嚥下(えんげ)機能が低下すると、
食道に入るべき唾液や飲食物が気管に入ってしまうことがある。
その際、一緒に細菌が入り込むと肺炎の発症につながる。
予防のために、口の中を清潔に保つケアの重要性が指摘されている。
グループは、要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者のうち、
入れ歯を使っている7万1千人余りを対象に、
清掃の頻度と過去1年間の肺炎発症の有無を調べた。
入れ歯を毎日清掃する人の肺炎発症率は2・3%だったのに対し、
毎日はしないという人は3・0%で、リスクは1・3倍に上昇。
75歳以上に限ると、毎日する人の2・9%に対し、
毎日はしない人が4・3%で、リスクは1・58倍とさらに差が開いた。
入れ歯の表面には、「デンチャープラーク」と呼ばれる細菌などから成る
有機物が付着しており、これが誤嚥で肺に到達する可能性がある。
グループは、「毎日の入れ歯の手入れが、肺炎予防につながる。
歯科医院で定期的に入れ歯の状態をチェックしたり、
家庭で取れない歯石などの入れ歯汚れを除去してもらったりすることも大切だ」
https://www.m3.com/news/general/714366
入れ歯(義歯)の清掃を毎日しない人は、する人に比べ、
過去1年間の肺炎発症のリスクが1・3倍に高まったと、
東北大大学院歯学研究科の相田潤准教授らのグループが発表。
日本の高齢者の実態を多面的に研究するために続けられている
プロジェクト「日本老年学的評価研究(JAGES)」の2016年調査のデータを分析。
肺炎は高齢者の死因の上位を占め、
その大部分は「誤嚥(ごえん)性肺炎」だ。
加齢で物をのみ込む嚥下(えんげ)機能が低下すると、
食道に入るべき唾液や飲食物が気管に入ってしまうことがある。
その際、一緒に細菌が入り込むと肺炎の発症につながる。
予防のために、口の中を清潔に保つケアの重要性が指摘されている。
グループは、要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者のうち、
入れ歯を使っている7万1千人余りを対象に、
清掃の頻度と過去1年間の肺炎発症の有無を調べた。
入れ歯を毎日清掃する人の肺炎発症率は2・3%だったのに対し、
毎日はしないという人は3・0%で、リスクは1・3倍に上昇。
75歳以上に限ると、毎日する人の2・9%に対し、
毎日はしない人が4・3%で、リスクは1・58倍とさらに差が開いた。
入れ歯の表面には、「デンチャープラーク」と呼ばれる細菌などから成る
有機物が付着しており、これが誤嚥で肺に到達する可能性がある。
グループは、「毎日の入れ歯の手入れが、肺炎予防につながる。
歯科医院で定期的に入れ歯の状態をチェックしたり、
家庭で取れない歯石などの入れ歯汚れを除去してもらったりすることも大切だ」
https://www.m3.com/news/general/714366
2019年11月6日水曜日
異常免疫細胞 化合物で変換…京大など発見 新薬開発に期待
2019年10月30日 (水)配信読売新聞
体内の臓器などを誤って攻撃する異常な免疫細胞を、
免疫反応にブレーキをかける正反対の免疫細胞に変える
化合物を発見したと、京都大やアステラス製薬のチームが発表。
免疫異常で起きる関節リウマチなどの新薬開発につながる可能性がある。
論文が国際科学誌サイエンス・イムノロジー電子版に掲載。
免疫は、ウイルスや細菌などの異物を攻撃し、体を守る仕組みだ。
しかし、体を攻撃する異常な免疫細胞が作られることがあり、
重い皮膚炎や1型糖尿病、関節リウマチなどの自己免疫疾患の原因。
免疫細胞の中には、異常な免疫反応を抑える「制御性T細胞(Tレグ)」もある。
Tレグ発見者として知られる京大客員教授の坂口志文・大阪大特任教授らは、
アステラス製薬が持つ約5000種類の化合物を調べ、
異常な免疫細胞をTレグに変化させる化合物を見つけ出した。
皮膚炎や1型糖尿病のマウスに1日1回ずつ約2週間飲ませたところ、
何もしなかったマウスより症状が抑えられた。
目立った副作用もみられなかった。
この化合物には、Tレグで働く遺伝子を活性化させる作用があるため、
異常な免疫細胞の一部がTレグに変わったとみられ、
坂口さんは「今後は変換効率を高め、副作用が強い免疫抑制剤に代わる
薬を開発したい」
吉村昭彦・慶応大教授(免疫学)の話
「体内でTレグを増やす画期的な方法だ。
薬として応用するには、化合物の副作用をより慎重に調べる必要がある」
https://www.m3.com/news/general/708211
体内の臓器などを誤って攻撃する異常な免疫細胞を、
免疫反応にブレーキをかける正反対の免疫細胞に変える
化合物を発見したと、京都大やアステラス製薬のチームが発表。
免疫異常で起きる関節リウマチなどの新薬開発につながる可能性がある。
論文が国際科学誌サイエンス・イムノロジー電子版に掲載。
免疫は、ウイルスや細菌などの異物を攻撃し、体を守る仕組みだ。
しかし、体を攻撃する異常な免疫細胞が作られることがあり、
重い皮膚炎や1型糖尿病、関節リウマチなどの自己免疫疾患の原因。
免疫細胞の中には、異常な免疫反応を抑える「制御性T細胞(Tレグ)」もある。
Tレグ発見者として知られる京大客員教授の坂口志文・大阪大特任教授らは、
アステラス製薬が持つ約5000種類の化合物を調べ、
異常な免疫細胞をTレグに変化させる化合物を見つけ出した。
皮膚炎や1型糖尿病のマウスに1日1回ずつ約2週間飲ませたところ、
何もしなかったマウスより症状が抑えられた。
目立った副作用もみられなかった。
この化合物には、Tレグで働く遺伝子を活性化させる作用があるため、
異常な免疫細胞の一部がTレグに変わったとみられ、
坂口さんは「今後は変換効率を高め、副作用が強い免疫抑制剤に代わる
薬を開発したい」
吉村昭彦・慶応大教授(免疫学)の話
「体内でTレグを増やす画期的な方法だ。
薬として応用するには、化合物の副作用をより慎重に調べる必要がある」
https://www.m3.com/news/general/708211
iPS細胞:宇宙でiPS培養→立体的臓器 横浜市大など来秋実験
2019年10月31日 (木)配信毎日新聞社
横浜市立大と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究グループは、
国際宇宙ステーション(ISS)で、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を培養して
立体的な臓器作製につなげる実験を、2020年秋に行うと決めた。
ISSの微小重力環境が、臓器作製に与える影響を調べ、
地上で立体臓器を作る装置の開発に生かす。
横浜市大の谷口英樹教授(再生医学)らは13年、
iPS細胞から立体構造を持つ小さな肝臓(肝芽)の作製に世界で初成功。
理論的には、多数の肝芽を立体的に融合させれば肝臓ができる。
地球上では、重力の影響で肝芽同士は平面的にしかくっつかないため、
移植医療に使えるような臓器にまで大きくするには、
新たな技術が必要とされていた。
計画では、iPS細胞から作製した肝芽数千個をISSに運び、
日本の実験棟「きぼう」内で培養。
専用の回転装置を使って人工血管を取り囲むように集合させ、
長さ3~5mmの大きさになるまで立体的に融合させる。
肝芽と血管がつながれば、微小重力下で臓器を作製するメリットがより明確に。
チームは17年にISSで実験する検討を始めた。
補給機への積み込みから実験開始まで1週間程度かかり、
細胞が正常に機能するか懸念されたが、特殊な保存液の開発に成功。
実験のめどが立った。
谷口教授によると、地球上でも培養液内で細胞を浮遊させ、
疑似的に無重力に近い環境をつくって集合させることで、
立体的な臓器を作れる可能性がある。
谷口教授は、「まずは、宇宙で立体構造を作る優位性を確認したい。
地上でその方法を発展させて新たな培養装置を開発し、
iPS細胞から大きな臓器を作るのが最終的な目標だ」と狙い。
https://www.m3.com/news/general/708484
横浜市立大と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究グループは、
国際宇宙ステーション(ISS)で、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を培養して
立体的な臓器作製につなげる実験を、2020年秋に行うと決めた。
ISSの微小重力環境が、臓器作製に与える影響を調べ、
地上で立体臓器を作る装置の開発に生かす。
横浜市大の谷口英樹教授(再生医学)らは13年、
iPS細胞から立体構造を持つ小さな肝臓(肝芽)の作製に世界で初成功。
理論的には、多数の肝芽を立体的に融合させれば肝臓ができる。
地球上では、重力の影響で肝芽同士は平面的にしかくっつかないため、
移植医療に使えるような臓器にまで大きくするには、
新たな技術が必要とされていた。
計画では、iPS細胞から作製した肝芽数千個をISSに運び、
日本の実験棟「きぼう」内で培養。
専用の回転装置を使って人工血管を取り囲むように集合させ、
長さ3~5mmの大きさになるまで立体的に融合させる。
肝芽と血管がつながれば、微小重力下で臓器を作製するメリットがより明確に。
チームは17年にISSで実験する検討を始めた。
補給機への積み込みから実験開始まで1週間程度かかり、
細胞が正常に機能するか懸念されたが、特殊な保存液の開発に成功。
実験のめどが立った。
谷口教授によると、地球上でも培養液内で細胞を浮遊させ、
疑似的に無重力に近い環境をつくって集合させることで、
立体的な臓器を作れる可能性がある。
谷口教授は、「まずは、宇宙で立体構造を作る優位性を確認したい。
地上でその方法を発展させて新たな培養装置を開発し、
iPS細胞から大きな臓器を作るのが最終的な目標だ」と狙い。
https://www.m3.com/news/general/708484
投球数制限は来春選抜から 投手障害予防の有識者会議
2019年11月6日 (水)配信共同通信社
日本高野連が設けた「投手の障害予防に関する有識者会議」の
第4回最終会合が5日、大阪市内で開かれ、
「1人の1週間の総投球数を500球以内」とする投球数制限を盛り込んだ
答申案をまとめて公表した。
3連戦を回避する日程の設定も明記した。
日本高野連と都道府県高野連が主催する大会が対象。
試行期間を、来春の第92回選抜大会を含む春季大会から3年間とし、
期間内は罰則のないガイドラインとして運用するように提示した。
20日に座長を務める慶応大教授の中島隆信氏が、
日本高野連の八田英二会長に答申を手渡し、
29日の日本高野連理事会に諮る。
答申案は、
(1)投球数制限や3連戦を回避する日程設定などの「競技団体としての責務」
(2)週1日以上の完全休養日の導入、複数投手の育成に留意などの
「加盟校が主体的に行うべきこと」
(3)指導者のライセンス制検討、学童や中学野球大会での試合数の精選などの
「野球界全体で取り組むべき課題の検討」―
という三つの大きな柱で構成された。
中島氏は、「日本高野連がこれを受け取って、どういう形で実践していくかを見守り、
その結果として、野球に携わる若者全てが気持ち良く野球ができることを期待」
有識者会議は、昨年12月に新潟県高野連が、
春季県大会で1人の投手が1試合で投げられる球数を100球とする
独自の投球制限の導入を表明(のちに見送り)したことをきっかけに発足。
https://www.m3.com/news/general/709261
日本高野連が設けた「投手の障害予防に関する有識者会議」の
第4回最終会合が5日、大阪市内で開かれ、
「1人の1週間の総投球数を500球以内」とする投球数制限を盛り込んだ
答申案をまとめて公表した。
3連戦を回避する日程の設定も明記した。
日本高野連と都道府県高野連が主催する大会が対象。
試行期間を、来春の第92回選抜大会を含む春季大会から3年間とし、
期間内は罰則のないガイドラインとして運用するように提示した。
20日に座長を務める慶応大教授の中島隆信氏が、
日本高野連の八田英二会長に答申を手渡し、
29日の日本高野連理事会に諮る。
答申案は、
(1)投球数制限や3連戦を回避する日程設定などの「競技団体としての責務」
(2)週1日以上の完全休養日の導入、複数投手の育成に留意などの
「加盟校が主体的に行うべきこと」
(3)指導者のライセンス制検討、学童や中学野球大会での試合数の精選などの
「野球界全体で取り組むべき課題の検討」―
という三つの大きな柱で構成された。
中島氏は、「日本高野連がこれを受け取って、どういう形で実践していくかを見守り、
その結果として、野球に携わる若者全てが気持ち良く野球ができることを期待」
有識者会議は、昨年12月に新潟県高野連が、
春季県大会で1人の投手が1試合で投げられる球数を100球とする
独自の投球制限の導入を表明(のちに見送り)したことをきっかけに発足。
https://www.m3.com/news/general/709261
秋田犬との散歩で健康に 「ヘルスツーリズム」注目
2019年11月6日 (水)配信共同通信社
地方ならではの自然や気候の体験を通じ、
健康増進を図る「ヘルスツーリズム」が注目。
昨年、旅行プログラムの品質を審査し、「認証」を与える制度が創設。
今後需要が見込まれる中、秋田県では世界的に人気が高まっている
秋田犬を活用した「秋田犬と散歩」が、9月に認証を受けた。
「大股歩きしてみましょう」、「きれいな小石を拾いましょう」。
「秋田犬と散歩」では、同行ガイドが折を見て参加者に声を掛ける。
助言を基に体を動かすことで、秋田犬による癒やし効果と相まって、
心身の健康を図る狙い。
運動が嫌いな人や苦手な人でも、気軽に取り組めるのがポイント。
プログラムは記念撮影を含め1時間半程度で、参加料は1人2千円。
企画したのは、同県三種町の「一般社団法人ヘルスケアデザイン秋田」。
自治体を挙げて健康ウオーキング事業に取り組んでいた同町で、
ガイドらが昨年6月に立ち上げた。
理事を務める相原信孝さん(62)は、
「秋田犬との時間を通じて、健康への気付きを持ってもらえたらいい」
今後は、ジュンサイ料理や温泉入浴といった町の名物を
プログラムに組み入れる構想を温めている。
認証は、NPO法人など3団体で構成されるヘルスツーリズム認証委員会(東京)が
「安全性」、「その土地ならではの旅の楽しみ」、「健康への気付き」の
観点から検討、審査する。
安全性は特に厳しく考慮され、「秋田犬と散歩」も、
リードは飼い主が握らなければならない決まりがある。
委員会の担当者は、「認証という形で、サービスの品質を『見える化』することで、
顧客は安心して参加できる」
今年10月時点で、全国38プログラムが認証。
JTBグループのJTBガイアレック(東京)は、
認証プログラムを組み込んだツアーの販売を始めた。
山形県上山市の「かみのやま温泉」に宿泊し、
大自然を感じながら自分に合ったペースでウオーキングできるツアーの人気が高い。
相原さんの下には、認証をきっかけに問い合わせが増えている。
「やっとスタートラインに立てた。
いろいろな意見を聞いて改善しながら、より良い旅を提供したい」と意気込んだ。
https://www.m3.com/news/general/709272
地方ならではの自然や気候の体験を通じ、
健康増進を図る「ヘルスツーリズム」が注目。
昨年、旅行プログラムの品質を審査し、「認証」を与える制度が創設。
今後需要が見込まれる中、秋田県では世界的に人気が高まっている
秋田犬を活用した「秋田犬と散歩」が、9月に認証を受けた。
「大股歩きしてみましょう」、「きれいな小石を拾いましょう」。
「秋田犬と散歩」では、同行ガイドが折を見て参加者に声を掛ける。
助言を基に体を動かすことで、秋田犬による癒やし効果と相まって、
心身の健康を図る狙い。
運動が嫌いな人や苦手な人でも、気軽に取り組めるのがポイント。
プログラムは記念撮影を含め1時間半程度で、参加料は1人2千円。
企画したのは、同県三種町の「一般社団法人ヘルスケアデザイン秋田」。
自治体を挙げて健康ウオーキング事業に取り組んでいた同町で、
ガイドらが昨年6月に立ち上げた。
理事を務める相原信孝さん(62)は、
「秋田犬との時間を通じて、健康への気付きを持ってもらえたらいい」
今後は、ジュンサイ料理や温泉入浴といった町の名物を
プログラムに組み入れる構想を温めている。
認証は、NPO法人など3団体で構成されるヘルスツーリズム認証委員会(東京)が
「安全性」、「その土地ならではの旅の楽しみ」、「健康への気付き」の
観点から検討、審査する。
安全性は特に厳しく考慮され、「秋田犬と散歩」も、
リードは飼い主が握らなければならない決まりがある。
委員会の担当者は、「認証という形で、サービスの品質を『見える化』することで、
顧客は安心して参加できる」
今年10月時点で、全国38プログラムが認証。
JTBグループのJTBガイアレック(東京)は、
認証プログラムを組み込んだツアーの販売を始めた。
山形県上山市の「かみのやま温泉」に宿泊し、
大自然を感じながら自分に合ったペースでウオーキングできるツアーの人気が高い。
相原さんの下には、認証をきっかけに問い合わせが増えている。
「やっとスタートラインに立てた。
いろいろな意見を聞いて改善しながら、より良い旅を提供したい」と意気込んだ。
https://www.m3.com/news/general/709272
アルツハイマー:血液1滴でアルツハイマー検査 「軽度認知障害の診断可能に」 名古屋市立大など
2019年11月6日 (水)配信毎日新聞社
アルツハイマー病を、血液1滴で診断できる可能性のあるマーカーを、
名古屋市立大などの研究グループが発見。
アルツハイマー病の前段階の軽度認知障害(MCI)の診断も可能になる。
研究結果は先月、米国のアルツハイマー病の専門誌に掲載された。
アルツハイマー病は、発症の20年以上前から「アミロイドベータ」と呼ばれる
たんぱく質が脳に蓄積することが分かっている。
研究グループは、2016年にアルツハイマー病の研究を行う中で、
細胞にアミロイドベータを投与すると、
たんぱく質の一種である「フロチリン」の分泌が低下することに気づいた。
そこで、フロチリンをアルツハイマー病の診断マーカーに使えないかと考えた。
研究グループは、画像診断でアルツハイマー病と診断された人15人と
診断されなかった人15人の血液を分析。
その結果、診断された人では、診断されなかった人と比べ、
フロチリン濃度が低下していた。
MCIも同様の結果だった。
現在、アルツハイマー病を早期に発見する方法には、
髄液検査や、陽電子放射断層撮影(PET)画像を用いる方法があるが、
髄液検査は患者の身体への負担が大きく、
PET診断も機器と試薬が高価で実施できる施設も限られている。
血液マーカーを使った研究は他にもあるが、
フロチリンに着目したのは初めてで、「簡便で費用も安価」という。
研究を統括する名古屋市立大大学院医学研究科の道川誠教授は
「今後さらに多くの人数で調べる必要がある。
治療薬が米国で開発され、早期発見の必要性がこれまで以上に高まっている。
製品化を進めており、2、3年以内には実用化したい」
https://www.m3.com/news/general/709291
アルツハイマー病を、血液1滴で診断できる可能性のあるマーカーを、
名古屋市立大などの研究グループが発見。
アルツハイマー病の前段階の軽度認知障害(MCI)の診断も可能になる。
研究結果は先月、米国のアルツハイマー病の専門誌に掲載された。
アルツハイマー病は、発症の20年以上前から「アミロイドベータ」と呼ばれる
たんぱく質が脳に蓄積することが分かっている。
研究グループは、2016年にアルツハイマー病の研究を行う中で、
細胞にアミロイドベータを投与すると、
たんぱく質の一種である「フロチリン」の分泌が低下することに気づいた。
そこで、フロチリンをアルツハイマー病の診断マーカーに使えないかと考えた。
研究グループは、画像診断でアルツハイマー病と診断された人15人と
診断されなかった人15人の血液を分析。
その結果、診断された人では、診断されなかった人と比べ、
フロチリン濃度が低下していた。
MCIも同様の結果だった。
現在、アルツハイマー病を早期に発見する方法には、
髄液検査や、陽電子放射断層撮影(PET)画像を用いる方法があるが、
髄液検査は患者の身体への負担が大きく、
PET診断も機器と試薬が高価で実施できる施設も限られている。
血液マーカーを使った研究は他にもあるが、
フロチリンに着目したのは初めてで、「簡便で費用も安価」という。
研究を統括する名古屋市立大大学院医学研究科の道川誠教授は
「今後さらに多くの人数で調べる必要がある。
治療薬が米国で開発され、早期発見の必要性がこれまで以上に高まっている。
製品化を進めており、2、3年以内には実用化したい」
https://www.m3.com/news/general/709291
スポーツ医学のこれから、リスクを最小化するアプローチ - 守屋拓朗・千葉労災病院整形外科副部長に聞く◆Vol.2
2019年11月2日 (土)配信聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部
――スポーツでの怪我ともうまくつきあうことが必要ですね。
全てをネガティブにしてしまったら、「何もやらないのが安全」ということに。
スポーツによるメリットとリスクを比べた時、
少しだけリスクを取ることになるが、それ以上のメリットを享受する。
そのリスクをどれだけ最小化するかというサポートが、
スポーツ医学に今、求められていること。
従来、整形外科医がスポーツ医学としてやってきたことより広い範囲が含まれる。
スポーツ外傷に加えて、心臓疾患・脳振盪・熱中症などが代表的。
初期対応が中心とはいえ、一般の整形外科医が対応できる範囲を
超えている部分も含まれ、横断的に取り組むことで
解決策を見出していく必要がある。
――スポーツの会場にいる医師は、基本的には整形外科医ではないでしょうか。
そこを埋めるのが、一つはPrehospital Immediate Care in Sportsの資格。
外傷に対する処置だけでなく、BLSやACLS、頭部や胸腹部などの
外傷への対処も全部入っている。
e-ラーニングで予習をし、2日間か3日間のコースでディスカッションと、
シミュレーションをひたすらやる。
レベル1がコーチや保護者など一般の方が対象、
レベル2は医療関係者向けのベーシックコース。
レベル3が医師を中心としたアドバンスコース。
コースの内容は、スポーツ現場にいる医師の質の向上と担保につながり、
医師一人のスキルでは解決しない問題があるのが、次のステップ。
医療支援体制の構築をもっとしっかりとし、
あらゆる状況を想定してリスクを最小化するシステム、
有事でのメディカルチームの動き方をどうマネージするか、
他部署とどのようにリンクしていくかが求められてくる。
今年度、現場は高森草平先生(横浜南共済病院)と
井上貴司先生(筑後市立病院)にお任せ。
高森先生は、ユースカテゴリーでもDrをされ、NZでの経験もある若くて優秀、
井上先生も、多くのカテゴリーでチームDrをされた経験豊富。
日本協会で代表のメディカルディレクターの田島卓也先生とともにチームをサポート。
合宿地での医療サポートを提供する病院、受診に当たっての経路と
キーパーソンなどを事前に連絡を取って調整する必要。
一義的には、病院の指定のみで終わりそうだが、
運用には顔の見える人の連携、現場での落とし込みが必要で、
書類のみでなく運用部分まで細部にわたって調整。
一部、病院内の調整をお願いすることにもなるが、
地域におけるスポーツイベントの意義をご理解しご協力いただいた。
本当に感謝しています。
トレーニングや試合で発生した外傷に対しての緊急のMRI撮影や
高気圧酸素治療などの依頼が多い。
夕方の練習や試合で怪我をしてとなると、
どう考えても時間外ですから無茶なお願いになる。
代表チームのドクターがその場だけでやっていると、
それ以外の仕事がままならなくなるので、
前もっての準備と調整をやる人がいた方が現場が動きやすいし、
その経験がある人がその役を担う方がいい。
――組織的、体系的にやっていくことの重要性もありますね。
すごく感じるのは、時代によってスポーツ医学に求められるものが変わってきて、
スポーツドクターの定義も非常に幅広くなっている。
手術で選手の怪我をしっかり治して、スポーツに戻してあげるというドクター、
それが王道だった。
チームドクターとして現場で活動したり、
スポーツイベントのサポートをするのもスポーツドクター。
ドクターの中に、怪我のリスクを減らす方法を考え、
外傷予防のアプローチを取るドクターも。
今回の私たちがやっているのは、予防とともに、
外傷が起きたときでもその影響を最小化しようというアプローチ。
外傷予防は非常に重要で、スポーツ自体の安全性にもつながり、
ハイパフォーマンスにもつながる。
先人には、予防に取り組まれてきた先生方は多い。
それがメジャーになってきたっていうことと、
より組織として動かなきゃいけない。
大会運営の医療部門に関わり、
スポーツイベントにおける医療部門の役割が
競技救護・観客救護・災害対策・公衆衛生的な側面も含め多岐にわたり、
自治体・消防・三師会などとの連携が求められ、多くのことが明確に。
ここにも私にいつも助言をくれる仲間がいて、本当に感謝。
医師の仕事には専門性の高い職人的要素もあるで、
大きい組織のマネジメントをして動かすというのが得意ではない方がいる。
世の中ではそれが求められ、私の周りにはそういうことが得意、
やりたいという仲間がいます。縁ですね。
今回、ワールドカップやオリンピック・パラリンピックを契機に、
メディカルのサポート、マネジメントがすごく大切だ。
チームの支援という側面と、運営側からの視点と、
それぞれ多くの方々のご協力のもと医療支援体制を構築できて、
形をつくって、次の世代に引き継いでいくことが大切。
千葉大学医学部附属病院スポーツメディクスセンターが
整形外科教授の大鳥精司先生をセンター長として稼働。
医療として何をするかという中、私自身はもちろんラグビーに恩返しをしたい、
スポーツと医療という切り口から地域に恩返しをしていければいい。
大鳥教授をはじめ、事務局長を務めてくれている整形外科助教の赤木龍一郎先生、
多くの先輩や後輩、仲間に非常に恵まれている。
私は現場に近いところにいて、問題点を吸い上げて提案することはできるので、
解決に導いてくれる人たちと一緒に何かできればいい。
(千葉大学医学部附属病院スポーツメディクスセンターについては
『スポーツ現場の救護医療体制の構築を!』を参照)。
ボランティアで貢献する、というのでは長続きしない。
スポーツに関係する方々の中に、Win-Winの形を作ること。
最終的には、提供するサービスに具体的な価値がつかないと、
日本のスポーツ文化が回っていかない。
地域に密着したアプローチをとるなかで、
趣旨にご賛同しサポートを申し出る方がいるかも。
多くの可能性を考えながら、スポーツと医療という切り口から、
医療関係者が社会に貢献し続けられる方策を考え、
それを実現していければと。
https://www.m3.com/news/iryoishin/707329
――スポーツでの怪我ともうまくつきあうことが必要ですね。
全てをネガティブにしてしまったら、「何もやらないのが安全」ということに。
スポーツによるメリットとリスクを比べた時、
少しだけリスクを取ることになるが、それ以上のメリットを享受する。
そのリスクをどれだけ最小化するかというサポートが、
スポーツ医学に今、求められていること。
従来、整形外科医がスポーツ医学としてやってきたことより広い範囲が含まれる。
スポーツ外傷に加えて、心臓疾患・脳振盪・熱中症などが代表的。
初期対応が中心とはいえ、一般の整形外科医が対応できる範囲を
超えている部分も含まれ、横断的に取り組むことで
解決策を見出していく必要がある。
――スポーツの会場にいる医師は、基本的には整形外科医ではないでしょうか。
そこを埋めるのが、一つはPrehospital Immediate Care in Sportsの資格。
外傷に対する処置だけでなく、BLSやACLS、頭部や胸腹部などの
外傷への対処も全部入っている。
e-ラーニングで予習をし、2日間か3日間のコースでディスカッションと、
シミュレーションをひたすらやる。
レベル1がコーチや保護者など一般の方が対象、
レベル2は医療関係者向けのベーシックコース。
レベル3が医師を中心としたアドバンスコース。
コースの内容は、スポーツ現場にいる医師の質の向上と担保につながり、
医師一人のスキルでは解決しない問題があるのが、次のステップ。
医療支援体制の構築をもっとしっかりとし、
あらゆる状況を想定してリスクを最小化するシステム、
有事でのメディカルチームの動き方をどうマネージするか、
他部署とどのようにリンクしていくかが求められてくる。
今年度、現場は高森草平先生(横浜南共済病院)と
井上貴司先生(筑後市立病院)にお任せ。
高森先生は、ユースカテゴリーでもDrをされ、NZでの経験もある若くて優秀、
井上先生も、多くのカテゴリーでチームDrをされた経験豊富。
日本協会で代表のメディカルディレクターの田島卓也先生とともにチームをサポート。
合宿地での医療サポートを提供する病院、受診に当たっての経路と
キーパーソンなどを事前に連絡を取って調整する必要。
一義的には、病院の指定のみで終わりそうだが、
運用には顔の見える人の連携、現場での落とし込みが必要で、
書類のみでなく運用部分まで細部にわたって調整。
一部、病院内の調整をお願いすることにもなるが、
地域におけるスポーツイベントの意義をご理解しご協力いただいた。
本当に感謝しています。
トレーニングや試合で発生した外傷に対しての緊急のMRI撮影や
高気圧酸素治療などの依頼が多い。
夕方の練習や試合で怪我をしてとなると、
どう考えても時間外ですから無茶なお願いになる。
代表チームのドクターがその場だけでやっていると、
それ以外の仕事がままならなくなるので、
前もっての準備と調整をやる人がいた方が現場が動きやすいし、
その経験がある人がその役を担う方がいい。
――組織的、体系的にやっていくことの重要性もありますね。
すごく感じるのは、時代によってスポーツ医学に求められるものが変わってきて、
スポーツドクターの定義も非常に幅広くなっている。
手術で選手の怪我をしっかり治して、スポーツに戻してあげるというドクター、
それが王道だった。
チームドクターとして現場で活動したり、
スポーツイベントのサポートをするのもスポーツドクター。
ドクターの中に、怪我のリスクを減らす方法を考え、
外傷予防のアプローチを取るドクターも。
今回の私たちがやっているのは、予防とともに、
外傷が起きたときでもその影響を最小化しようというアプローチ。
外傷予防は非常に重要で、スポーツ自体の安全性にもつながり、
ハイパフォーマンスにもつながる。
先人には、予防に取り組まれてきた先生方は多い。
それがメジャーになってきたっていうことと、
より組織として動かなきゃいけない。
大会運営の医療部門に関わり、
スポーツイベントにおける医療部門の役割が
競技救護・観客救護・災害対策・公衆衛生的な側面も含め多岐にわたり、
自治体・消防・三師会などとの連携が求められ、多くのことが明確に。
ここにも私にいつも助言をくれる仲間がいて、本当に感謝。
医師の仕事には専門性の高い職人的要素もあるで、
大きい組織のマネジメントをして動かすというのが得意ではない方がいる。
世の中ではそれが求められ、私の周りにはそういうことが得意、
やりたいという仲間がいます。縁ですね。
今回、ワールドカップやオリンピック・パラリンピックを契機に、
メディカルのサポート、マネジメントがすごく大切だ。
チームの支援という側面と、運営側からの視点と、
それぞれ多くの方々のご協力のもと医療支援体制を構築できて、
形をつくって、次の世代に引き継いでいくことが大切。
千葉大学医学部附属病院スポーツメディクスセンターが
整形外科教授の大鳥精司先生をセンター長として稼働。
医療として何をするかという中、私自身はもちろんラグビーに恩返しをしたい、
スポーツと医療という切り口から地域に恩返しをしていければいい。
大鳥教授をはじめ、事務局長を務めてくれている整形外科助教の赤木龍一郎先生、
多くの先輩や後輩、仲間に非常に恵まれている。
私は現場に近いところにいて、問題点を吸い上げて提案することはできるので、
解決に導いてくれる人たちと一緒に何かできればいい。
(千葉大学医学部附属病院スポーツメディクスセンターについては
『スポーツ現場の救護医療体制の構築を!』を参照)。
ボランティアで貢献する、というのでは長続きしない。
スポーツに関係する方々の中に、Win-Winの形を作ること。
最終的には、提供するサービスに具体的な価値がつかないと、
日本のスポーツ文化が回っていかない。
地域に密着したアプローチをとるなかで、
趣旨にご賛同しサポートを申し出る方がいるかも。
多くの可能性を考えながら、スポーツと医療という切り口から、
医療関係者が社会に貢献し続けられる方策を考え、
それを実現していければと。
https://www.m3.com/news/iryoishin/707329
ラグビー日本代表の前チームドクターはチーム内外で重責を担ったスポーツ医学のこれから、リスクを最小化するアプローチ - 守屋拓朗・千葉労災病院整形外科副部長に聞く◆Vol.1
2019年10月26日 (土)配信聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部
日本代表の躍進もあって盛り上がりを見せるラグビーのワールドカップ。
千葉労災病院整形外科副部長の守屋拓朗氏は、
今までの日本代表などのスポーツドクターの経験をもとに、
大会運営側として大会を支え、地域でのスポーツと医療の関係にも心を配る。
大会前に、ラグビーとの関わりや、ラグビーにとどまらずスポーツで
医師が担う役割について、伺った(2019年8月14日にインタビュー。全2回の連載)。
――日本代表のドクターには、どのような経緯で就任されたのでしょうか。
2012年、前のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチのとき、
今は順天堂大学スポーツ健康科学部で教授をされている
高澤祐治先生がチームドクターをやり、サポートで入ったのが最初。
合宿に行ったり、遠征に行ったり、試合のサポートに入ったり。
県立千葉高校の頃、医師になりたいという思いがあり、
ラグビー部で3年生のときに膝の靱帯を切って最後の大会に出場できなかった。
現千葉大学名誉教授の守屋秀繁先生が、当時は千葉大学整形外科教授で、
膝の前十字靱帯を専門。
私にとっては伯父で、「伯父さん、けがしちゃった」という感じで電話をしたら、
「すぐ診に行ってやる」と来てくれた。
結局手術になったが、こういう経験も将来役に立つのではないかと思い、
医学部に入るときには、スポーツ医学のことがやりたいというのはあった。
医師になると、千葉大学整形外科では
有名選手の診察や手術の実績をもとにしたいろいろなつながりや、
体育協会(現スポーツ協会)との良好な関係や
国際武道大学など他大学との関係もあり、
スポーツ医学の地盤がある。
格好の人材が来たということで、すぐにスポーツの現場へと導かれた。
千葉県ラグビー協会の医務委員となり、地道に高校や中学の試合に行き、
県協会の医務委員長に。
地元の県立千葉高校・千葉大学出身でもあり、
高校の先生方、周りの方がスポーツドクターとして認識し、
千葉県のラグビー関係の方が、「ラグビー協会のお医者さんと言えば守屋先生」
という感じになっていった。
2008年、トップリーグのNTTコミュニケーションズシャイニングアークス(NTTコム)が
東村山市から市川市に移転(後、浦安市に移転)、
船橋整形外科病院の土屋明弘先生がチームドクターで、
私にもお誘いがありチームをサポート。
千葉県ラグビー協会の医務委員長として、
県の代表で関東協会や日本協会の医務委員長の会議に出る。
関東協会は2年に1度、日本代表を目指すトップリーグの若手選手らで
ニュージーランド遠征をし、2010年、「若いし、行って経験を積んでこい」と。
ステップを踏んで、2012年、日本代表にドクターとしてかかわる。
――チームドクターとしてどのようなお仕事をされたのでしょうか。
チーム内外、活動期間内外の多くの役割がある。
チーム内では怪我に対する対処や方針決定、メディカルスタッフとの情報共有、
コーチ陣との情報共有、外傷の予防についてトレーナーやストレングスコーチなどと
議論をすることも。
チーム外では、選手に関して所属チームとの情報共有が中心、
合宿地での医療体制などの情報収集や現地スタッフとの連絡・調整も。
日本代表は、各チームから選手を集めてつくるチームなので、
日本代表として活動していない時期が多い。
その期間も選手の情報を集め、コーチに報告することが求められる。
選手のコンディション、外傷があれば、その内容と現時点での状態、
復帰時期の見通しなど、正確な情報は医師同士でないと伝わらない。
トップリーグのドクターなど、所属チームドクターの皆さまには
多くのご協力をいただいた。
アスレティックリハビリテーションから復帰に関するところでは、
トレーナーの情報が非常に役に立つ。
優秀なトレーナーの存在とメディカルチーム内での連携が大切。
チーム・ピッチ・合宿地などで多くの方々にご支援いただき、
ラグビーに関わる皆様との関係は私にとって宝。
選手が外傷を負った際、プレーの可否について判断することが我々の仕事。
痛みだけなのか、機能上問題がありプレー続行不可能なのか、
素早い判断が求められる。
外傷の診断後、休息・リハビリを含め1週間でトレーニングに戻れる、
というような見通しを明確に伝えることが重要。
100%あたるかというとわけではないが、明確な根拠を持って判断するしかない。
選手にも、診断と根拠をしっかり話をして伝える。
そこの判断でコーチと議論になったことも、
選手を納得させるのに時間がかかったことも。
1カ月の活動期間で、残り2週間の時点で怪我をして、
2週間先の試合に出られるかどうかという時、
出られないとしたらその選手はチームを離脱し、すぐに新たな選手が招集。
ラグビーでは戦術の理解がとても重要、
トレーニングせずにいきなり試合だけ出て活躍できるということはほぼない。
ティア1(ラグビーの強豪・伝統国)に勝つには、
本当にギリギリのところで練習し、
リスクをとらずに全て守るというだけでは強くなれない。
詳細を選手本人・コーチともに説明、
最終的にコーチの判断を尊重することも。
教科書通り進むことは、スポーツの現場ではあまり多くない。
チームドクターとしての活動は、年間100日以上合宿・遠征に参加、
活動期間外でも、選手の所属チームドクターとの連携や合宿地の
医療体制の準備など、多くの時間を費やしてきた。
勤務する千葉労災病院、千葉大学整形外科医局の同僚など身近な方々、
家族の理解のもとでできていたから、皆さまからのご支援にとても感謝。
https://www.m3.com/news/iryoishin/707328
日本代表の躍進もあって盛り上がりを見せるラグビーのワールドカップ。
千葉労災病院整形外科副部長の守屋拓朗氏は、
今までの日本代表などのスポーツドクターの経験をもとに、
大会運営側として大会を支え、地域でのスポーツと医療の関係にも心を配る。
大会前に、ラグビーとの関わりや、ラグビーにとどまらずスポーツで
医師が担う役割について、伺った(2019年8月14日にインタビュー。全2回の連載)。
――日本代表のドクターには、どのような経緯で就任されたのでしょうか。
2012年、前のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチのとき、
今は順天堂大学スポーツ健康科学部で教授をされている
高澤祐治先生がチームドクターをやり、サポートで入ったのが最初。
合宿に行ったり、遠征に行ったり、試合のサポートに入ったり。
県立千葉高校の頃、医師になりたいという思いがあり、
ラグビー部で3年生のときに膝の靱帯を切って最後の大会に出場できなかった。
現千葉大学名誉教授の守屋秀繁先生が、当時は千葉大学整形外科教授で、
膝の前十字靱帯を専門。
私にとっては伯父で、「伯父さん、けがしちゃった」という感じで電話をしたら、
「すぐ診に行ってやる」と来てくれた。
結局手術になったが、こういう経験も将来役に立つのではないかと思い、
医学部に入るときには、スポーツ医学のことがやりたいというのはあった。
医師になると、千葉大学整形外科では
有名選手の診察や手術の実績をもとにしたいろいろなつながりや、
体育協会(現スポーツ協会)との良好な関係や
国際武道大学など他大学との関係もあり、
スポーツ医学の地盤がある。
格好の人材が来たということで、すぐにスポーツの現場へと導かれた。
千葉県ラグビー協会の医務委員となり、地道に高校や中学の試合に行き、
県協会の医務委員長に。
地元の県立千葉高校・千葉大学出身でもあり、
高校の先生方、周りの方がスポーツドクターとして認識し、
千葉県のラグビー関係の方が、「ラグビー協会のお医者さんと言えば守屋先生」
という感じになっていった。
2008年、トップリーグのNTTコミュニケーションズシャイニングアークス(NTTコム)が
東村山市から市川市に移転(後、浦安市に移転)、
船橋整形外科病院の土屋明弘先生がチームドクターで、
私にもお誘いがありチームをサポート。
千葉県ラグビー協会の医務委員長として、
県の代表で関東協会や日本協会の医務委員長の会議に出る。
関東協会は2年に1度、日本代表を目指すトップリーグの若手選手らで
ニュージーランド遠征をし、2010年、「若いし、行って経験を積んでこい」と。
ステップを踏んで、2012年、日本代表にドクターとしてかかわる。
――チームドクターとしてどのようなお仕事をされたのでしょうか。
チーム内外、活動期間内外の多くの役割がある。
チーム内では怪我に対する対処や方針決定、メディカルスタッフとの情報共有、
コーチ陣との情報共有、外傷の予防についてトレーナーやストレングスコーチなどと
議論をすることも。
チーム外では、選手に関して所属チームとの情報共有が中心、
合宿地での医療体制などの情報収集や現地スタッフとの連絡・調整も。
日本代表は、各チームから選手を集めてつくるチームなので、
日本代表として活動していない時期が多い。
その期間も選手の情報を集め、コーチに報告することが求められる。
選手のコンディション、外傷があれば、その内容と現時点での状態、
復帰時期の見通しなど、正確な情報は医師同士でないと伝わらない。
トップリーグのドクターなど、所属チームドクターの皆さまには
多くのご協力をいただいた。
アスレティックリハビリテーションから復帰に関するところでは、
トレーナーの情報が非常に役に立つ。
優秀なトレーナーの存在とメディカルチーム内での連携が大切。
チーム・ピッチ・合宿地などで多くの方々にご支援いただき、
ラグビーに関わる皆様との関係は私にとって宝。
選手が外傷を負った際、プレーの可否について判断することが我々の仕事。
痛みだけなのか、機能上問題がありプレー続行不可能なのか、
素早い判断が求められる。
外傷の診断後、休息・リハビリを含め1週間でトレーニングに戻れる、
というような見通しを明確に伝えることが重要。
100%あたるかというとわけではないが、明確な根拠を持って判断するしかない。
選手にも、診断と根拠をしっかり話をして伝える。
そこの判断でコーチと議論になったことも、
選手を納得させるのに時間がかかったことも。
1カ月の活動期間で、残り2週間の時点で怪我をして、
2週間先の試合に出られるかどうかという時、
出られないとしたらその選手はチームを離脱し、すぐに新たな選手が招集。
ラグビーでは戦術の理解がとても重要、
トレーニングせずにいきなり試合だけ出て活躍できるということはほぼない。
ティア1(ラグビーの強豪・伝統国)に勝つには、
本当にギリギリのところで練習し、
リスクをとらずに全て守るというだけでは強くなれない。
詳細を選手本人・コーチともに説明、
最終的にコーチの判断を尊重することも。
教科書通り進むことは、スポーツの現場ではあまり多くない。
チームドクターとしての活動は、年間100日以上合宿・遠征に参加、
活動期間外でも、選手の所属チームドクターとの連携や合宿地の
医療体制の準備など、多くの時間を費やしてきた。
勤務する千葉労災病院、千葉大学整形外科医局の同僚など身近な方々、
家族の理解のもとでできていたから、皆さまからのご支援にとても感謝。
https://www.m3.com/news/iryoishin/707328
中山町:中山町、町あげて健康づくり 医療費抑制へ町長が率先 歩数計貸し出し/ウオーキング教室/体操・筋トレ指導 /山形
2019年11月5日 (火)配信毎日新聞社
高齢化が進む中山町は、
町民に歩数計を無料で貸し出し、歩くことで健康増進や医療費抑制に
つなげる取り組みを進めている。
身長175cm、体重80kgの佐藤俊晴町長(60)は、
20歳のころから20kg増。
細身だったころを知る家族から「痩せて」と言われる中、率先して汗を流す。
目指すは、自身も町民も適度な筋力を維持した健康な体。
筋肉や町名の「中山」という言葉から想像を膨らませる佐藤町長は、
会ったこともオファーもしていないが、
「タレントの『なかやまきんに君』とタッグを組んだイベントもできたらいいな」と思い描く。
同町の高齢化率(65歳以上、2017年10月現在)は33・5%、
全国平均27・7%や県平均32・3%を上回る。
町民の約2割が加入する国民健康保険の年間総医療費は、
17年は約9億8800万円。
08年から2億円近く増えており、医療費抑制は喫緊の課題。
佐藤町長は18年7月、「なかやま健幸くらぶ」と銘打ち、
健康と生きがいをつくる事業を始め、その一環で歩数計の貸し出しを始めた。
歩数計を導入する市町村は珍しくないが、
負荷に応じて「寝たきりにならないぞ」、「ダンディー」、「美body」、
「ハードトレーニング」の4コースを用意。
町民に加え、町内に勤務する30歳以上も対象に参加を募っている。
毎週水曜と日曜には、ウオーキングなどの教室を開催。
NPO法人の職員が指導者となって柔軟体操や筋力トレーニングを指導し、
月2回は町の保健師や栄養管理士が食事面なども指導する。
参加費は年間3000円。
人口約1万1000人の同町で、260人以上が参加。
今年1月の町長選で健康増進などを掲げ、無投票で再選された佐藤町長は、
19年度予算に関連事業約2300万円を充てた。
歩数実績に応じてポイントを付与し、
町内で使える商品券と交換できる事業も進める。
20年の目標は、町民の6・3%にあたる参加者700人。
ダンディーコースに参加している佐藤町長は高校時代、
テニスで県高校総体ベスト16入りするなどのスポーツマン。
近年は足首痛に悩んでいたが、改善された。
体重減には至っていないものの、
「町民と歩きながら話すことで、町の問題点が分かることもある。
5年以上は続けたい事業。私も頑張りますよ」と意気込んでいる。
https://www.m3.com/news/general/709158
高齢化が進む中山町は、
町民に歩数計を無料で貸し出し、歩くことで健康増進や医療費抑制に
つなげる取り組みを進めている。
身長175cm、体重80kgの佐藤俊晴町長(60)は、
20歳のころから20kg増。
細身だったころを知る家族から「痩せて」と言われる中、率先して汗を流す。
目指すは、自身も町民も適度な筋力を維持した健康な体。
筋肉や町名の「中山」という言葉から想像を膨らませる佐藤町長は、
会ったこともオファーもしていないが、
「タレントの『なかやまきんに君』とタッグを組んだイベントもできたらいいな」と思い描く。
同町の高齢化率(65歳以上、2017年10月現在)は33・5%、
全国平均27・7%や県平均32・3%を上回る。
町民の約2割が加入する国民健康保険の年間総医療費は、
17年は約9億8800万円。
08年から2億円近く増えており、医療費抑制は喫緊の課題。
佐藤町長は18年7月、「なかやま健幸くらぶ」と銘打ち、
健康と生きがいをつくる事業を始め、その一環で歩数計の貸し出しを始めた。
歩数計を導入する市町村は珍しくないが、
負荷に応じて「寝たきりにならないぞ」、「ダンディー」、「美body」、
「ハードトレーニング」の4コースを用意。
町民に加え、町内に勤務する30歳以上も対象に参加を募っている。
毎週水曜と日曜には、ウオーキングなどの教室を開催。
NPO法人の職員が指導者となって柔軟体操や筋力トレーニングを指導し、
月2回は町の保健師や栄養管理士が食事面なども指導する。
参加費は年間3000円。
人口約1万1000人の同町で、260人以上が参加。
今年1月の町長選で健康増進などを掲げ、無投票で再選された佐藤町長は、
19年度予算に関連事業約2300万円を充てた。
歩数実績に応じてポイントを付与し、
町内で使える商品券と交換できる事業も進める。
20年の目標は、町民の6・3%にあたる参加者700人。
ダンディーコースに参加している佐藤町長は高校時代、
テニスで県高校総体ベスト16入りするなどのスポーツマン。
近年は足首痛に悩んでいたが、改善された。
体重減には至っていないものの、
「町民と歩きながら話すことで、町の問題点が分かることもある。
5年以上は続けたい事業。私も頑張りますよ」と意気込んでいる。
https://www.m3.com/news/general/709158
“燃え尽き症候群”、世界各国の共通課題、ICPCMが東京で会議
2019年11月5日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)
国際的な非営利組織「人間を中心とした医療国際組織」
(ICPCM;The International College of Person-centered Medicine)は
11月2日、日本医師会との共催で都内で開催した
「第7回人間を中心とした医療国際会議」で、
「ワーク・ライフ・バランスに関する東京宣言2019」(案)を公表。
「序文」と計12項目の「勧告」から成り、
良好なワーク・ライフ・バランス(WLB)の重要性について、
個人だけではなく社会全体のさまざまな利害関係者の責任として認識し、
達成すべきだとしている。
ICPCM理事のワーディ・ファン・スターデン氏
(南アフリカのプレトリア大学健康科学倫理・哲学センター長、精神学・哲学教授)は、
「東京宣言2019」(案)に対する意見を募集し、成案とする方針を説明。
ICPCMは、人間中心の医療に関する出版、研究活動を続けるほか、
2020年4月にはスイス・ジュネーブで、self-careとwell-beingをテーマに
会議を開催する予定。
第7回会議のテーマは、「ワーク・ライフ・バランス:その課題と解決手段」。
世界医師会(WMA)会長のミゲル・ジョルジュ氏(ブラジル医師会理事)は、
2019年7月のランセット誌の論説で、
「医師のバーンアウト(燃え尽き症候群)は世界的流行レベルに達している」、
「バーンアウトが米国の医師の半数以上に影響している」、
「2019年の英国医師会の調査によると、医師の80%でバーンアウト・リスクが
高いか非常に高く、若手医師が最もリスクが高かった」
2015年の「医師のwell-beingに関するWMA声明」では、
研修医を含む医師のWLBを改善するための取り組みを各国医師会に求めた。
ドイツで主に入院医療に従事する医師への調査では、
2017年の週平均労働時間は「49~59時間」が最多で40%、
「60~79時間」が20%、「80時間以上」も2%と長時間労働医師が少なくなく、
「煩雑な事務処理を減らす」ことを求める声が多いなど、
医師の働き方改革を行い、WLBの改善を進めることが各国共通の課題である。
日医会長の横倉義武氏は、
「医師の勤務環境改善、ワーク・ライフ・バランスの改善は、
各国共通の喫緊に取り組むべき課題」
「医師の働き方改革は、医師が自身の健康を守りながら誇りを持って働き、
国民・患者がどこに住んでも最善の医療を受けることができる社会の不可欠な要素」、
働き方改革は燃え尽き症候群を防ぐことにもつながると期待。
ICPCM会長で、世界医師会元会長のジョン・スネーデル氏は、
「現在の医療システムにおける市場主導型の解決手段、
現代医学の断片化された技術開発により、
医師と患者の関係は危険に。
医師の中心的な役割に戻るためにも、
燃え尽き症候群の問題を解決することが重要」
◆ドイツ医師、週60時間以上勤務も2割強
「科学は医療に必要な技術の一つだが、ヒューマニズムこそ医療の本体」、
人間中心の医療の基本的な考え方。
患者の視点だけでなく、医療提供者側のWLBなども踏まえて
医療の在り方を考えていく発想だ。
問題は、医師の健康を損なう長時間労働、それに伴う燃え尽き症候群であり、
会議では世界的な問題になっていることが提起。
各国ともその有効な解決策は見いだしておらず、
個人だけでなく、行政も含め、さまざまなレベルで取り組んでいく。
ドイツの例を紹介したのは、
ラミン・パルサ・パルシ氏(世界医師会理事、ドイツ医師会国際担当役員)。
2017年、ドイツで主に入院医療に従事する医師に実施した調査では、
週平均労働時間は「49~59時間」が最多で40%、
「60~79時間」が20%、「80時間以上」も2%と長時間労働医師は少なくない。
労働時間削減に、計82%が「重要」と回答。
医療により多くの時間を使えるようにするために必要なこととして、
最多は「事務処理の煩雑さの軽減」(74%)、
「他の医療職との負担の共有」(70%)、
「医師の数を増やす」(70%)(複数回答)。
優先したい事項として、
「プライベート/家族との時間を増やす」(最重要を100、平均74)、
「看護師を増やす」(同74)、
「煩雑な事務処理を減らす」(同73)、
「医師の数を増やす」(同72)などが上位。
ラミン・パルサ・パルシ氏自身、今でも週に100時間以上勤務、
「EU労働時間指令で、医療に限らず、あらゆるセクターに労働時間規制がある。
病院、政府は圧力にさらされ、長時間労働の状況は改善してきてはいるが、
完全に良い状況とは言えない。
オプトアウトすることができるからだ」
オプトアウトとは、雇用者と個人が契約を結べば、
労働時間規制を超える労働が可能になる仕組み。
ドイツでは、オプトアウトを利用する医師が多い。
ラミン・パルサ・パルシ氏が、「自身の健康に責任を持つ」必要性を述べたのに対し、
フロアから、「WLBを考えると、手術数を制限するしかない。
有効な手立てがあるのか」との質問。
「ドイツでは、医師の数は過去数年で増えているが、
医師の労働時間が減ってきている。
理由の一つは、女性医師が増えているため。
もう一つは、医師自らの健康に留意するようになってきたこと。
医学部定員を増やしてほしいと言っているが、政府は受け入れてくれない。
これから多くの医師が引退していく時期にあり、
その後、どうするのか、解決策はない」と答えた。
ドイツの主に外来診療に従事する医師の労働時間は、別の演者が説明。
入院医療従事医師よりは労働時間は短いものの、
事務負担の軽減などの業務改善を求める声が上がっている。
イギリスの例を紹介したのは、
ヘレン・ミラー氏(ICPCM理事、世界精神衛生連盟財元財務担当役員、
ダンディー大学精神科コンサルタント)。
「イギリスでも、燃え尽き症候群は約30年前から懸念されてきた」、
原因を下記のように整理。
政府レベルの対策とともに、医療者自身が自分自身のwell-beingを
心がける大切さを指摘。
◆スタッフの士気の低下・人員不足と危険な労働環境
・人間中心の姿勢がない
・評価されない、足を引っ張られる、自律性がない
・いじめ文化
・臨床上の問題を提起しても、ろくに支持を得られない
・過剰規制、不平不満・非難文化の影響
◆医師への要求増大
・人口増、人口動態の変化
・政府が掲げる非現実的な約束や目標が国民の期待を押し上げる。「医療の政治化」
◆契約条件の悪化
・劣悪なワーク・ライフ・バランス
・経済的ディスインセンティブ:減給、年金減額、所得増税
◆日本からも4人の演者が登壇
日本からは、北里大学医学部公衆衛生学教授の堤明純氏、
三井記念病院精神科部長の中嶋義文氏、
国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授の和田耕治氏のほか、
日本赤十字社医療センター第一産婦人科の卒後3年目産婦人科医、中安杏奈氏が登壇。
堤氏と中嶋氏は、日本の医師の勤務環境の現状や
医師の働き方改革の概況などを紹介。
和田氏は、医学生や若手医師のバーンアウト予防の重要性を強調、
医療従事者の健康を守るために、
▽自助(自らが健康を守れるように良好な生活習慣を維持するなど)、
▽共助(医療機関における産業保健体制など)、
▽公助(公的機関の活用など)――という3つの柱で
具体的行動を起こす必要性を指摘。
中安氏は、自らが全国の日赤病院に勤務する卒後1~5年目の医師226人を
対象に実施した調査を基に、
「地方で勤務する医師の不満」のトップはWLBであり、
診療科の選択・変更の重要な要因、
WLB改善には、「シフト勤務制の実施と夜勤後の休息」、
「当直明けの勤務は禁止」、
「十分な休日数」、
「主治医制より当直医制」などを若手医師が望んでいる。
個人と社会は、良好なワーク・ライフ・バランス(WLB)に向けて努力し、
達成することに強い関心を持っている。
臨床実践、教育、研究、機関管理などのさまざまな医療分野ならびに
政策立案・遂行において、この目的を達成するための活動は、
人間を中心とした倫理的価値観によって導かれるべきである。
WLBの利益は、集団的にも個人のwell-beingと繁栄においても十分に立証されている。
WLBの利益は、職業生活あるいは私生活の目標達成において
個人の価値観に照らして測った、個々の医師、保健専門職または患者の利益であるだろう。
これらの利益は、模範となる生産性と最適で質の高い医療サービスおよび
健康アウトカムを探求する雇用者や機関、医療サービスの共通の
価値観により評価されることによっても得られる。
良好なWLBを提唱するものの、人間を中心とした医療
(person-centered medicine;PCM)は、職務よりも人間の方が重要であることを主張する。
WLBが考慮されている人は、
例えば患者、医師、または他の保健専門職、家族の一員、被雇用者、
雇用者、親、学生、市民、同業者の代表、機関の代理人、研究者、
臨床教育者など、さまざまな役割を持つかもしれない。
一人の人間は同時にいくつかの役割を持つが、
それは良好なWLBが、例えば患者あるいは専門職という単に一つの役割ではなく、
これらの役割全てに当てはまることを意味する。
それにもかかわらず、人はその役割よりも重要であると認識されている。
対人関係は、良好なWLBのために極めて重要である。
PCMは、人をその役割や環境、特に、他の人々との関係の中に居続ける。
良好なWLBの一部として、これらの関係を助長すべきである。
対人関係は、良好なWLBに向けた努力と達成における人間を中心とした
プロセスの構成要素である。
ある人にとって良好なWLBとされるものは、必ずしも誰にとっても同じ
というわけではないが、それは哲学者オルテガが
「私は、私と私の環境である」と言明したように、
各人はある程度それぞれの環境によって構成されている。
人々の経験は、良好なWLBとされるものにおいて、
そしてそれに向けた努力において、極めて重要である。
これは満足感以上の問題であり、「私にとって」良好なWLBとは何か(どんなものか)、
「私の」固有の状況において「私にとって」何が重要か、を含む。
ある人の一人称の経験を、良好なWLBに向けての努力と
その達成において非常に重要であると考えることは、
その人の価値観、興味、好みが、単なる付け足しではなく、
医療と協同的意思決定となることを意味する。
PCMに導かれる良好なWLBの追求においては、
人のWLBの肯定面と否定面の両方を斟酌すべきである。
肯定面は、人間のwell-being、強さ、回復力、ならびに助けとなる環境と関係する。
否定面は、良好なWLBに対する欠乏と障害に関係し、
その人あるいはその人の環境の特質であるかもしれない。
個々の人間に帰するものの、良好なWLBはそれぞれの医療現場の
社会環境と文化によって影響される。
【勧告】
1) 良好なWLBの重要性は、特定の設定の集団的実践において、
個人だけではなく地域社会、施設、医療制度、および社会全体の
well-beingと繁栄を確保するためのさまざまな利害関係者の責任として
認識されるべきである。
2) 良好なWLBは、個人のwell-beingの一部であり、燃え尽き症候群と
人的資本の衰退に対抗する働きをするということを認識すべきである。
3) PCMにおける良好なWLBは、さまざまな利害関係者が、
個々の医師、他の保健専門職、患者、被雇用者、および他のさまざまな
立場の個人のWLBに継続的に関与することを必要とする。
4) 人間を中心とするならば、さまざまな利害関係者のWLBに関する
重大な関心および利害を認識すべきである。
5) 人間を中心としたアプローチに従って、共通基準が全てに適合すると
仮定せずに、良好なWLBとされるものを考慮する際に個人の好みと
価値観を受け入れるべきである。
6) 人間を中心としたアプローチに従って、良好なWLBの利益と
それを達成する方向に関して、医療系学生および専門職を教育・訓練すべきである。
7) 人間を中心としたアプローチによって患者に良好なWLBがどのように
助成される可能性があるかに関して、医療系学生および専門職を
教育・訓練すべきである。
8) 雇用者と機関は、人間を中心とした人的繁栄の開発を目指して、
被雇用者とその関係者の良好なWLBに関与すべきである。
9) 管理機関および組織は、医師とその他保健専門職と同様に、
医療現場における患者の良好なWLBを助成するために、
人間を中心とした政策およびプログラムを採用すべきである。
10) 良好なWLBを達成するために正規のプログラムと取り組みは、
この目標に対人関係が極めて重要であることを認識し、
その助成と開発を組み入れたものとすべきである。
11) 良好なWLBは、個人や他の利害関係者を搾取しない
構成な方法で追求すべきである。
12) 人間を中心としたアプローチにより良好なWLBを達成する方法は
継続的研究の課題とされるべきである。
https://www.m3.com/news/iryoishin/708900
国際的な非営利組織「人間を中心とした医療国際組織」
(ICPCM;The International College of Person-centered Medicine)は
11月2日、日本医師会との共催で都内で開催した
「第7回人間を中心とした医療国際会議」で、
「ワーク・ライフ・バランスに関する東京宣言2019」(案)を公表。
「序文」と計12項目の「勧告」から成り、
良好なワーク・ライフ・バランス(WLB)の重要性について、
個人だけではなく社会全体のさまざまな利害関係者の責任として認識し、
達成すべきだとしている。
ICPCM理事のワーディ・ファン・スターデン氏
(南アフリカのプレトリア大学健康科学倫理・哲学センター長、精神学・哲学教授)は、
「東京宣言2019」(案)に対する意見を募集し、成案とする方針を説明。
ICPCMは、人間中心の医療に関する出版、研究活動を続けるほか、
2020年4月にはスイス・ジュネーブで、self-careとwell-beingをテーマに
会議を開催する予定。
第7回会議のテーマは、「ワーク・ライフ・バランス:その課題と解決手段」。
世界医師会(WMA)会長のミゲル・ジョルジュ氏(ブラジル医師会理事)は、
2019年7月のランセット誌の論説で、
「医師のバーンアウト(燃え尽き症候群)は世界的流行レベルに達している」、
「バーンアウトが米国の医師の半数以上に影響している」、
「2019年の英国医師会の調査によると、医師の80%でバーンアウト・リスクが
高いか非常に高く、若手医師が最もリスクが高かった」
2015年の「医師のwell-beingに関するWMA声明」では、
研修医を含む医師のWLBを改善するための取り組みを各国医師会に求めた。
ドイツで主に入院医療に従事する医師への調査では、
2017年の週平均労働時間は「49~59時間」が最多で40%、
「60~79時間」が20%、「80時間以上」も2%と長時間労働医師が少なくなく、
「煩雑な事務処理を減らす」ことを求める声が多いなど、
医師の働き方改革を行い、WLBの改善を進めることが各国共通の課題である。
日医会長の横倉義武氏は、
「医師の勤務環境改善、ワーク・ライフ・バランスの改善は、
各国共通の喫緊に取り組むべき課題」
「医師の働き方改革は、医師が自身の健康を守りながら誇りを持って働き、
国民・患者がどこに住んでも最善の医療を受けることができる社会の不可欠な要素」、
働き方改革は燃え尽き症候群を防ぐことにもつながると期待。
ICPCM会長で、世界医師会元会長のジョン・スネーデル氏は、
「現在の医療システムにおける市場主導型の解決手段、
現代医学の断片化された技術開発により、
医師と患者の関係は危険に。
医師の中心的な役割に戻るためにも、
燃え尽き症候群の問題を解決することが重要」
◆ドイツ医師、週60時間以上勤務も2割強
「科学は医療に必要な技術の一つだが、ヒューマニズムこそ医療の本体」、
人間中心の医療の基本的な考え方。
患者の視点だけでなく、医療提供者側のWLBなども踏まえて
医療の在り方を考えていく発想だ。
問題は、医師の健康を損なう長時間労働、それに伴う燃え尽き症候群であり、
会議では世界的な問題になっていることが提起。
各国ともその有効な解決策は見いだしておらず、
個人だけでなく、行政も含め、さまざまなレベルで取り組んでいく。
ドイツの例を紹介したのは、
ラミン・パルサ・パルシ氏(世界医師会理事、ドイツ医師会国際担当役員)。
2017年、ドイツで主に入院医療に従事する医師に実施した調査では、
週平均労働時間は「49~59時間」が最多で40%、
「60~79時間」が20%、「80時間以上」も2%と長時間労働医師は少なくない。
労働時間削減に、計82%が「重要」と回答。
医療により多くの時間を使えるようにするために必要なこととして、
最多は「事務処理の煩雑さの軽減」(74%)、
「他の医療職との負担の共有」(70%)、
「医師の数を増やす」(70%)(複数回答)。
優先したい事項として、
「プライベート/家族との時間を増やす」(最重要を100、平均74)、
「看護師を増やす」(同74)、
「煩雑な事務処理を減らす」(同73)、
「医師の数を増やす」(同72)などが上位。
ラミン・パルサ・パルシ氏自身、今でも週に100時間以上勤務、
「EU労働時間指令で、医療に限らず、あらゆるセクターに労働時間規制がある。
病院、政府は圧力にさらされ、長時間労働の状況は改善してきてはいるが、
完全に良い状況とは言えない。
オプトアウトすることができるからだ」
オプトアウトとは、雇用者と個人が契約を結べば、
労働時間規制を超える労働が可能になる仕組み。
ドイツでは、オプトアウトを利用する医師が多い。
ラミン・パルサ・パルシ氏が、「自身の健康に責任を持つ」必要性を述べたのに対し、
フロアから、「WLBを考えると、手術数を制限するしかない。
有効な手立てがあるのか」との質問。
「ドイツでは、医師の数は過去数年で増えているが、
医師の労働時間が減ってきている。
理由の一つは、女性医師が増えているため。
もう一つは、医師自らの健康に留意するようになってきたこと。
医学部定員を増やしてほしいと言っているが、政府は受け入れてくれない。
これから多くの医師が引退していく時期にあり、
その後、どうするのか、解決策はない」と答えた。
ドイツの主に外来診療に従事する医師の労働時間は、別の演者が説明。
入院医療従事医師よりは労働時間は短いものの、
事務負担の軽減などの業務改善を求める声が上がっている。
◆イギリスでも燃え尽き症候群を懸念
イギリスの例を紹介したのは、
ヘレン・ミラー氏(ICPCM理事、世界精神衛生連盟財元財務担当役員、
ダンディー大学精神科コンサルタント)。
「イギリスでも、燃え尽き症候群は約30年前から懸念されてきた」、
原因を下記のように整理。
政府レベルの対策とともに、医療者自身が自分自身のwell-beingを
心がける大切さを指摘。
◆スタッフの士気の低下・人員不足と危険な労働環境
・人間中心の姿勢がない
・評価されない、足を引っ張られる、自律性がない
・いじめ文化
・臨床上の問題を提起しても、ろくに支持を得られない
・過剰規制、不平不満・非難文化の影響
◆医師への要求増大
・人口増、人口動態の変化
・政府が掲げる非現実的な約束や目標が国民の期待を押し上げる。「医療の政治化」
◆契約条件の悪化
・劣悪なワーク・ライフ・バランス
・経済的ディスインセンティブ:減給、年金減額、所得増税
◆日本からも4人の演者が登壇
日本からは、北里大学医学部公衆衛生学教授の堤明純氏、
三井記念病院精神科部長の中嶋義文氏、
国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授の和田耕治氏のほか、
日本赤十字社医療センター第一産婦人科の卒後3年目産婦人科医、中安杏奈氏が登壇。
堤氏と中嶋氏は、日本の医師の勤務環境の現状や
医師の働き方改革の概況などを紹介。
和田氏は、医学生や若手医師のバーンアウト予防の重要性を強調、
医療従事者の健康を守るために、
▽自助(自らが健康を守れるように良好な生活習慣を維持するなど)、
▽共助(医療機関における産業保健体制など)、
▽公助(公的機関の活用など)――という3つの柱で
具体的行動を起こす必要性を指摘。
中安氏は、自らが全国の日赤病院に勤務する卒後1~5年目の医師226人を
対象に実施した調査を基に、
「地方で勤務する医師の不満」のトップはWLBであり、
診療科の選択・変更の重要な要因、
WLB改善には、「シフト勤務制の実施と夜勤後の休息」、
「当直明けの勤務は禁止」、
「十分な休日数」、
「主治医制より当直医制」などを若手医師が望んでいる。
★「ワーク・ライフ・バランスに関する東京宣言2019」(案)(訳は日本医師会)
【序文】個人と社会は、良好なワーク・ライフ・バランス(WLB)に向けて努力し、
達成することに強い関心を持っている。
臨床実践、教育、研究、機関管理などのさまざまな医療分野ならびに
政策立案・遂行において、この目的を達成するための活動は、
人間を中心とした倫理的価値観によって導かれるべきである。
WLBの利益は、集団的にも個人のwell-beingと繁栄においても十分に立証されている。
WLBの利益は、職業生活あるいは私生活の目標達成において
個人の価値観に照らして測った、個々の医師、保健専門職または患者の利益であるだろう。
これらの利益は、模範となる生産性と最適で質の高い医療サービスおよび
健康アウトカムを探求する雇用者や機関、医療サービスの共通の
価値観により評価されることによっても得られる。
良好なWLBを提唱するものの、人間を中心とした医療
(person-centered medicine;PCM)は、職務よりも人間の方が重要であることを主張する。
WLBが考慮されている人は、
例えば患者、医師、または他の保健専門職、家族の一員、被雇用者、
雇用者、親、学生、市民、同業者の代表、機関の代理人、研究者、
臨床教育者など、さまざまな役割を持つかもしれない。
一人の人間は同時にいくつかの役割を持つが、
それは良好なWLBが、例えば患者あるいは専門職という単に一つの役割ではなく、
これらの役割全てに当てはまることを意味する。
それにもかかわらず、人はその役割よりも重要であると認識されている。
対人関係は、良好なWLBのために極めて重要である。
PCMは、人をその役割や環境、特に、他の人々との関係の中に居続ける。
良好なWLBの一部として、これらの関係を助長すべきである。
対人関係は、良好なWLBに向けた努力と達成における人間を中心とした
プロセスの構成要素である。
ある人にとって良好なWLBとされるものは、必ずしも誰にとっても同じ
というわけではないが、それは哲学者オルテガが
「私は、私と私の環境である」と言明したように、
各人はある程度それぞれの環境によって構成されている。
人々の経験は、良好なWLBとされるものにおいて、
そしてそれに向けた努力において、極めて重要である。
これは満足感以上の問題であり、「私にとって」良好なWLBとは何か(どんなものか)、
「私の」固有の状況において「私にとって」何が重要か、を含む。
ある人の一人称の経験を、良好なWLBに向けての努力と
その達成において非常に重要であると考えることは、
その人の価値観、興味、好みが、単なる付け足しではなく、
医療と協同的意思決定となることを意味する。
PCMに導かれる良好なWLBの追求においては、
人のWLBの肯定面と否定面の両方を斟酌すべきである。
肯定面は、人間のwell-being、強さ、回復力、ならびに助けとなる環境と関係する。
否定面は、良好なWLBに対する欠乏と障害に関係し、
その人あるいはその人の環境の特質であるかもしれない。
個々の人間に帰するものの、良好なWLBはそれぞれの医療現場の
社会環境と文化によって影響される。
【勧告】
1) 良好なWLBの重要性は、特定の設定の集団的実践において、
個人だけではなく地域社会、施設、医療制度、および社会全体の
well-beingと繁栄を確保するためのさまざまな利害関係者の責任として
認識されるべきである。
2) 良好なWLBは、個人のwell-beingの一部であり、燃え尽き症候群と
人的資本の衰退に対抗する働きをするということを認識すべきである。
3) PCMにおける良好なWLBは、さまざまな利害関係者が、
個々の医師、他の保健専門職、患者、被雇用者、および他のさまざまな
立場の個人のWLBに継続的に関与することを必要とする。
4) 人間を中心とするならば、さまざまな利害関係者のWLBに関する
重大な関心および利害を認識すべきである。
5) 人間を中心としたアプローチに従って、共通基準が全てに適合すると
仮定せずに、良好なWLBとされるものを考慮する際に個人の好みと
価値観を受け入れるべきである。
6) 人間を中心としたアプローチに従って、良好なWLBの利益と
それを達成する方向に関して、医療系学生および専門職を教育・訓練すべきである。
7) 人間を中心としたアプローチによって患者に良好なWLBがどのように
助成される可能性があるかに関して、医療系学生および専門職を
教育・訓練すべきである。
8) 雇用者と機関は、人間を中心とした人的繁栄の開発を目指して、
被雇用者とその関係者の良好なWLBに関与すべきである。
9) 管理機関および組織は、医師とその他保健専門職と同様に、
医療現場における患者の良好なWLBを助成するために、
人間を中心とした政策およびプログラムを採用すべきである。
10) 良好なWLBを達成するために正規のプログラムと取り組みは、
この目標に対人関係が極めて重要であることを認識し、
その助成と開発を組み入れたものとすべきである。
11) 良好なWLBは、個人や他の利害関係者を搾取しない
構成な方法で追求すべきである。
12) 人間を中心としたアプローチにより良好なWLBを達成する方法は
継続的研究の課題とされるべきである。
https://www.m3.com/news/iryoishin/708900
2019年10月16日水曜日
リチウムイオン電池開発の旭化成・吉野彰氏ら3人にノーベル化学賞
2019年10月9日
2019年のノーベル化学賞を、
携帯電話やパソコン、電気自動車などに広く使われている
リチウムイオン電池を開発した旭化成名誉フェローで
名城大学教授の吉野彰氏(71)ら3人に授与すると発表。
IT時代の進展に大きく貢献したことが評価された。
日本人の化学賞受賞は、2010年の鈴木章氏、根岸英一氏以来で8人目。
日本人の各賞受賞者は合わせると27人。
吉野氏と共同受賞したのは、
米国テキサス大学オースティン校教授のジョン・グッドイナフ氏(97)と
ニューヨーク州立大学ビンガムトン校教授のスタンリー・ウィッティンガム氏(77)。
97歳のグッドイナフ氏は、最年長受賞記録を更新した。
それまでの記録は、昨年物理学賞を受賞したアーサー・アシュキン氏の96歳。
授賞式は、12月10日にストックホルムで開かれる。
賞金900万スウェーデン・クローナ(約9700万円)が吉野氏ら3人に贈られる。
吉野氏は、1948年1月30日生まれ。
1970年京都大学工学部卒、京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、
旭化成に入社。
2003年、旭化成グループフェローに就任。
同氏は、同じ化学賞を受賞した白川英樹氏が発見した
導電性高分子のポリアセチレンに着目、
充放電可能な2次電池の開発を始めた。
コバルト酸リチウムを正極とする2次電池を試作後、
1985年にリチウムイオン電池の開発に成功した。
リチウムイオン電池は、起動力が大きく小型化も可能。
携帯電話、ノートパソコン、電気自動車などに使われている。
吉野氏は受賞決定直後、ノーベル財団のインタビューに次のように語った。
「私は基礎研究を長くやってきた。
1981年からリチウム電池の研究を本格的に始め、
1985年に作ることができた。
それまで長い研究プロセスがあった。
気候変動は非常に大きな人類の問題だと思う。
リチウムイオンは電気を蓄えることができるので、
持続可能な社会にふさわしい思っている」
吉野氏は、日本メディア向け記者会見で、
「ストックホルムがリチウムイオン電池を評価してくれたことをうれしく思うし、
(受賞は)若い研究者の励みになってくれると思う」、
研究者のあり方として、
「頭の柔らかさと執着力が必要。
剛と柔のバランスが大切だ」
吉野氏は、昨年の第34回日本国際賞を受賞。
同賞受賞者発表記者会見で、
「リチウムイオン電池については、多くの研究者がその後も開発に携わっているが、
若い研究者が私の受賞を契機に素晴らしいイノベーションを生み出してくれる
と思う」などと喜びを語っていた。
ノーベル化学賞は、日本人ではこれまで1981年の故福井謙一氏、
2000年の白川氏、2001年の野依良治氏、2002年の田中耕一氏、
2008年の故下村脩氏、2010年の鈴木氏と根岸氏が受賞。
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/10/20191009_01.html
2019年のノーベル化学賞を、
携帯電話やパソコン、電気自動車などに広く使われている
リチウムイオン電池を開発した旭化成名誉フェローで
名城大学教授の吉野彰氏(71)ら3人に授与すると発表。
IT時代の進展に大きく貢献したことが評価された。
日本人の化学賞受賞は、2010年の鈴木章氏、根岸英一氏以来で8人目。
日本人の各賞受賞者は合わせると27人。
吉野氏と共同受賞したのは、
米国テキサス大学オースティン校教授のジョン・グッドイナフ氏(97)と
ニューヨーク州立大学ビンガムトン校教授のスタンリー・ウィッティンガム氏(77)。
97歳のグッドイナフ氏は、最年長受賞記録を更新した。
それまでの記録は、昨年物理学賞を受賞したアーサー・アシュキン氏の96歳。
授賞式は、12月10日にストックホルムで開かれる。
賞金900万スウェーデン・クローナ(約9700万円)が吉野氏ら3人に贈られる。
吉野氏は、1948年1月30日生まれ。
1970年京都大学工学部卒、京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、
旭化成に入社。
2003年、旭化成グループフェローに就任。
同氏は、同じ化学賞を受賞した白川英樹氏が発見した
導電性高分子のポリアセチレンに着目、
充放電可能な2次電池の開発を始めた。
コバルト酸リチウムを正極とする2次電池を試作後、
1985年にリチウムイオン電池の開発に成功した。
リチウムイオン電池は、起動力が大きく小型化も可能。
携帯電話、ノートパソコン、電気自動車などに使われている。
吉野氏は受賞決定直後、ノーベル財団のインタビューに次のように語った。
「私は基礎研究を長くやってきた。
1981年からリチウム電池の研究を本格的に始め、
1985年に作ることができた。
それまで長い研究プロセスがあった。
気候変動は非常に大きな人類の問題だと思う。
リチウムイオンは電気を蓄えることができるので、
持続可能な社会にふさわしい思っている」
吉野氏は、日本メディア向け記者会見で、
「ストックホルムがリチウムイオン電池を評価してくれたことをうれしく思うし、
(受賞は)若い研究者の励みになってくれると思う」、
研究者のあり方として、
「頭の柔らかさと執着力が必要。
剛と柔のバランスが大切だ」
吉野氏は、昨年の第34回日本国際賞を受賞。
同賞受賞者発表記者会見で、
「リチウムイオン電池については、多くの研究者がその後も開発に携わっているが、
若い研究者が私の受賞を契機に素晴らしいイノベーションを生み出してくれる
と思う」などと喜びを語っていた。
ノーベル化学賞は、日本人ではこれまで1981年の故福井謙一氏、
2000年の白川氏、2001年の野依良治氏、2002年の田中耕一氏、
2008年の故下村脩氏、2010年の鈴木氏と根岸氏が受賞。
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/10/20191009_01.html
今年のノーベル物理学賞は宇宙の理解を大きく前進させた欧米の3氏に
2019年10月8日
2019年のノーベル物理学賞を、
宇宙理論や太陽系外惑星発見を通じ、壮大な宇宙についての
人類の理解を大きく前進させた、
米国、スイス、英国の大学の3氏の研究者に授与する、と発表。
日本人の受賞者はなかった。
3氏は、米国・プリンストン大学のジェームズ・ピーブルズ氏、
スイス・ジュネーブ大学のミシェル・マイヨール氏、
ジュネーブ大学と英国・ケンブリッジ大学のディディエ・ケロー氏。
授賞式は、12月10日にストックホルム。
賞金900万スウェーデン・クローナ(約9700万円)の半分は
ピーブルズ氏に、残り半分がマイヨール氏とケロー氏に贈られる。
ピーブルズ氏は、「宇宙背景放射」と呼ばれる天体現象などの
理論研究を通じ、宇宙がその始まりである「ビッグバン」の直後から
膨張を続け、現在の姿になるまでの進化を理論的に解明した。
マイヨール氏とケロー氏は、南フランスの観測施設を使って、
1955年に地球から約50光年離れたペガスス座の方向の宇宙に
太陽系外惑星が存在することを初めて確認。
この惑星は、木星のようなガスでできた惑星だった。
ケロー氏らの画期的な宇宙観測の前は、
惑星は太陽系にしかないと考えられていた。
同氏らの業績の後、現在までに4000以上の太陽系外惑星が確認。
この中には地球に似た惑星も含まれ、生命存在への期待も高まっている。
マイヨール氏は、2015年に科学の発展に大きく貢献した研究者に贈られる
「京都賞(稲盛財団主催)」を受賞。
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/10/20191008_01.html
2019年のノーベル物理学賞を、
宇宙理論や太陽系外惑星発見を通じ、壮大な宇宙についての
人類の理解を大きく前進させた、
米国、スイス、英国の大学の3氏の研究者に授与する、と発表。
日本人の受賞者はなかった。
3氏は、米国・プリンストン大学のジェームズ・ピーブルズ氏、
スイス・ジュネーブ大学のミシェル・マイヨール氏、
ジュネーブ大学と英国・ケンブリッジ大学のディディエ・ケロー氏。
授賞式は、12月10日にストックホルム。
賞金900万スウェーデン・クローナ(約9700万円)の半分は
ピーブルズ氏に、残り半分がマイヨール氏とケロー氏に贈られる。
ピーブルズ氏は、「宇宙背景放射」と呼ばれる天体現象などの
理論研究を通じ、宇宙がその始まりである「ビッグバン」の直後から
膨張を続け、現在の姿になるまでの進化を理論的に解明した。
マイヨール氏とケロー氏は、南フランスの観測施設を使って、
1955年に地球から約50光年離れたペガスス座の方向の宇宙に
太陽系外惑星が存在することを初めて確認。
この惑星は、木星のようなガスでできた惑星だった。
ケロー氏らの画期的な宇宙観測の前は、
惑星は太陽系にしかないと考えられていた。
同氏らの業績の後、現在までに4000以上の太陽系外惑星が確認。
この中には地球に似た惑星も含まれ、生命存在への期待も高まっている。
マイヨール氏は、2015年に科学の発展に大きく貢献した研究者に贈られる
「京都賞(稲盛財団主催)」を受賞。
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/10/20191008_01.html
今年のノーベル医学生理学賞は米英の3人に 授賞理由は「細胞の低酸素応答の仕組みの発見」
2019年10月7日
スウェーデンのカロリンスカ研究所は7日、
2019年のノーベル医学生理学賞を、
細胞が酸素不足の環境でも応答する仕組みを解明した
米国と英国の3人の研究者に授与する、と発表。
授賞理由は、「細胞の低酸素応答の仕組みの発見」。
同賞は昨年、本庶佑氏が免疫反応にブレーキをかけるタンパク質を見つけ、
画期的ながん治療薬の開発に道を開いた業績で受賞したが、
2年連続の同賞日本人受賞にはならなかった。
ノーベル医学生理学賞に選ばれたのは、
米国ジョンズホプキンズ大学のグレッグ・セメンザ氏、
英国オックスフォード大学のピーター・ラトクリフ氏、
米国ハーバード大学のウィリアム・ケーリン氏。
授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、
賞金900万スウェーデン・クローナ(約9700万円)が3氏に贈られる。
低酸素応答とは、酸素濃度が低い環境下でも細胞が恒常的に働く機構のこと。
3人は、低酸素状態になると、体内で「HIF」と呼ばれる特別なタンパク質が
大量に作られ、酸素を取り込んでその状態に適応することなどを解明した。
低酸素応答は、がんや虚血性の疾患、免疫疾患などの病気でも見られ、
こうした病気と密接に関係している。
これは生命活動の基本で、今回これらの病気の研究や治療法に道を
開いたことが評価された。
セメンザ氏は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(ERATO)で、
末松誠慶応大学客員教授(現・日本医療研究開発機構理事長)と共同で
2009~2014年、新たな代謝システムを探索する国際プロジェクトの研究総括を務めた。
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/10/20191007_01.html
スウェーデンのカロリンスカ研究所は7日、
2019年のノーベル医学生理学賞を、
細胞が酸素不足の環境でも応答する仕組みを解明した
米国と英国の3人の研究者に授与する、と発表。
授賞理由は、「細胞の低酸素応答の仕組みの発見」。
同賞は昨年、本庶佑氏が免疫反応にブレーキをかけるタンパク質を見つけ、
画期的ながん治療薬の開発に道を開いた業績で受賞したが、
2年連続の同賞日本人受賞にはならなかった。
ノーベル医学生理学賞に選ばれたのは、
米国ジョンズホプキンズ大学のグレッグ・セメンザ氏、
英国オックスフォード大学のピーター・ラトクリフ氏、
米国ハーバード大学のウィリアム・ケーリン氏。
授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、
賞金900万スウェーデン・クローナ(約9700万円)が3氏に贈られる。
低酸素応答とは、酸素濃度が低い環境下でも細胞が恒常的に働く機構のこと。
3人は、低酸素状態になると、体内で「HIF」と呼ばれる特別なタンパク質が
大量に作られ、酸素を取り込んでその状態に適応することなどを解明した。
低酸素応答は、がんや虚血性の疾患、免疫疾患などの病気でも見られ、
こうした病気と密接に関係している。
これは生命活動の基本で、今回これらの病気の研究や治療法に道を
開いたことが評価された。
セメンザ氏は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(ERATO)で、
末松誠慶応大学客員教授(現・日本医療研究開発機構理事長)と共同で
2009~2014年、新たな代謝システムを探索する国際プロジェクトの研究総括を務めた。
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/10/20191007_01.html
2019年10月3日木曜日
左利きには4つの遺伝領域が関連していると判明
2019.09.25 12:30 GIZMODO
左利きさ~ん、なんだかちょっとうれしいニュースですよー!
このたびイギリスのオックスフォード大学の研究により、
人のゲノムには左利きと関連している遺伝領域があることが判明。
これらの遺伝領域は脳の形成に関係、
特に言語をつかさどる脳の部分同士をつなぐ白質路に違いが出る。
じつは左利きの生物学的な意義はふか~く、
人間と動物を区別する特徴のひとつ。
研究論文を発表した研究者のひとり、Dominic Furnissによれば、
動物の場合はほとんどが右・左利きとほぼ半々なのに対して、
人間だけは左利きが約1割しかいないんだとか。
先史時代の壁画の分析結果からも、
人間は少なくとも過去1万年の間はずっと90%右利き、10%左利きだった。
そのように極端に少ないせいからか、左利きの人は昔からアンラッキーだとか、
災いをもたらすだとかいろいろ言われてきた。
英語で「右」は「right=正しい」、フランス語の「左」は「不器用」という意味も。
日本も、学校で左利きをむりやり右利きに矯正、
駅の改札はいまだに右利き用に設計され、
左利きには「ピピッ」とやりづらかったりする…。
なぜそもそも1割だけ左利きになるんでしょう?
左利きになるかならないかは、この研究以前にも
遺伝子の影響が絡んでいることがわかっていた。
オックスフォード大学によれば、以前行われた双子の研究から、
だいたい利き手を決める要因の25%は遺伝子に由来している。
どの遺伝子が関係しているのかは、これまで特定できなかった。
今回の研究で、UKバイオバンクからおよそ400,000人分
(うち左利き38,332人)のゲノムを分析、
4つの遺伝領域を特定することに成功。
そのうちの3つは、脳の発達と構造に影響するタンパク質と
関わっていることもわかった。
これらのタンパク質は、細胞のかたちやはたらきを定める細胞骨格に関係。
左利きに関係している4つの遺伝領域は、脳の構造に影響し、
言語をつかさどる領域をつなぐ白質路の発達に違いが見られた。
主任研究員のAkira Wiberg博士によると、
左利きの人の脳では、右脳と左脳にある言語領域がよりスムーズに
情報を伝達する傾向が見られた。
これは被験者全員のデータから見えてきた傾向に過ぎないので、
左利きの人がすべてスムーズな情報伝達を行なっているとは限らない。
左利きに関係している4つの遺伝領域は、非常にわずかながらに
パーキンソン病に罹る確率が低くなるものの、
非常にわずかに統合失調症に罹るリスクが高くなる関連性も見つかった。
関連しているだけで、因果関係は認められないが、
今後これらの病状の進行を研究するうえでは貴重な発見。
これは細胞骨格と関連している遺伝子の違いによるもの。
細胞骨格の違いが、人間の脳に見られたのは今回の研究が初めて。
研究者のひとり、Gwenaelle Douaudさんによると、
カタツムリやカエルなどほかの生物の場合、
遺伝子による細胞骨格の違いは生まれる前から顕著。
もしかしたら、人間の胎児の脳にも将来の利き手がわかるヒントが
見つかるかもしれない。
利き手を決めるのは遺伝的な要素だけではないので、
人間が左利きになるプロセスはもっと複雑で、
もっといろんな要因が絡んでいる。
https://www.gizmodo.jp/2019/09/geneticists-are-untangling-the-mystery-of-left-handed.html
左利きさ~ん、なんだかちょっとうれしいニュースですよー!
このたびイギリスのオックスフォード大学の研究により、
人のゲノムには左利きと関連している遺伝領域があることが判明。
これらの遺伝領域は脳の形成に関係、
特に言語をつかさどる脳の部分同士をつなぐ白質路に違いが出る。
人間だけ左利きが少ない
だからどうなの?って思うかもしれませんが、じつは左利きの生物学的な意義はふか~く、
人間と動物を区別する特徴のひとつ。
研究論文を発表した研究者のひとり、Dominic Furnissによれば、
動物の場合はほとんどが右・左利きとほぼ半々なのに対して、
人間だけは左利きが約1割しかいないんだとか。
先史時代の壁画の分析結果からも、
人間は少なくとも過去1万年の間はずっと90%右利き、10%左利きだった。
そのように極端に少ないせいからか、左利きの人は昔からアンラッキーだとか、
災いをもたらすだとかいろいろ言われてきた。
英語で「右」は「right=正しい」、フランス語の「左」は「不器用」という意味も。
日本も、学校で左利きをむりやり右利きに矯正、
駅の改札はいまだに右利き用に設計され、
左利きには「ピピッ」とやりづらかったりする…。
左利きの遺伝的な要因
人間の生存には有利ではないようにも思える左利きですが、なぜそもそも1割だけ左利きになるんでしょう?
左利きになるかならないかは、この研究以前にも
遺伝子の影響が絡んでいることがわかっていた。
オックスフォード大学によれば、以前行われた双子の研究から、
だいたい利き手を決める要因の25%は遺伝子に由来している。
どの遺伝子が関係しているのかは、これまで特定できなかった。
今回の研究で、UKバイオバンクからおよそ400,000人分
(うち左利き38,332人)のゲノムを分析、
4つの遺伝領域を特定することに成功。
そのうちの3つは、脳の発達と構造に影響するタンパク質と
関わっていることもわかった。
これらのタンパク質は、細胞のかたちやはたらきを定める細胞骨格に関係。
脳の構造に違いが
研究者たちは、さらに約9000人分の脳画像を調べた。左利きに関係している4つの遺伝領域は、脳の構造に影響し、
言語をつかさどる領域をつなぐ白質路の発達に違いが見られた。
主任研究員のAkira Wiberg博士によると、
左利きの人の脳では、右脳と左脳にある言語領域がよりスムーズに
情報を伝達する傾向が見られた。
これは被験者全員のデータから見えてきた傾向に過ぎないので、
左利きの人がすべてスムーズな情報伝達を行なっているとは限らない。
病気との関係も
ただし、マイナス面も。左利きに関係している4つの遺伝領域は、非常にわずかながらに
パーキンソン病に罹る確率が低くなるものの、
非常にわずかに統合失調症に罹るリスクが高くなる関連性も見つかった。
関連しているだけで、因果関係は認められないが、
今後これらの病状の進行を研究するうえでは貴重な発見。
左利きを決めるのは遺伝子だけではない
カタツムリは、左利きか右利きによって殻の巻き方が違うが、これは細胞骨格と関連している遺伝子の違いによるもの。
細胞骨格の違いが、人間の脳に見られたのは今回の研究が初めて。
研究者のひとり、Gwenaelle Douaudさんによると、
カタツムリやカエルなどほかの生物の場合、
遺伝子による細胞骨格の違いは生まれる前から顕著。
もしかしたら、人間の胎児の脳にも将来の利き手がわかるヒントが
見つかるかもしれない。
利き手を決めるのは遺伝的な要素だけではないので、
人間が左利きになるプロセスはもっと複雑で、
もっといろんな要因が絡んでいる。
https://www.gizmodo.jp/2019/09/geneticists-are-untangling-the-mystery-of-left-handed.html
GE薬産業の将来像示す‐30年まで重要5課題に対応 日本ジェネリック製薬協会
2019年9月30日 (月)配信薬事日報
日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)は27日、
2030年におけるジェネリック医薬品(GE薬)産業の将来像である
「次世代産業ビジョン」を発表。
17年5月に発表した産業ビジョンを大幅に改定したもので、
未病・予防や個別化医療、海外展開、地域包括ケア、ICTを活用した
ヘルスケアシステム構築、持続可能な開発目標のSDGsの5項目をターゲット。
7月に概要版を発表していたが、その全容を公開。
来年9月に控える政府目標の数量シェア80%達成後の新たな指標づくりや
毎年薬価改定での制度提案につなげる。
■国際化への挑戦も提言
ビジョンは、ビッグデータで社会課題を解決する「ソサエティ5.0」が完成する
30年を焦点に、GE薬業界が迎える時代と11年後に対応していくべき変化を考え、
対策を進める必要がある重要な5項目を盛り込んだ。
従来の産業ビジョンでも、海外展開や地域医療、バイオ後続品など
期待される産業像が示されていたが、
薬価制度の抜本改革や長期収載品の撤退が可能になるG1、G2ルール導入など
環境変化を背景に、より将来の方向性に近い形で見直すことになった。
新ビジョンでは、GE薬メーカーが医療だけではなく、
健康や介護に貢献していく方向性を示した。
国内GE薬メーカーの強みとして製剤技術を挙げ、ICチップやセンサーを搭載した
「溶けない錠剤やカプセル剤」などで侵襲性の低い検査を導き、
未病ケアや予防に応用していく可能性を提示。
3Dプリンティング技術を個別化医療に活用し、
新市場を開拓するなどビジネスモデルの変革を促している。
GE薬産業の競争力強化に向けては、グローバル化への挑戦を提言。
日本市場で培ってきた良質な医薬品を提供し、
今後拡大が予想されるアジア・アフリカなど将来の市場を開拓していく将来像を示した。
国内での地域医療に着目し、地域包括ケアシステムの実現で
GE薬メーカーが取り組むべき活動も明記した。
地域での医薬品使用指針となる地域フォーミュラリーでの安定供給体制や
他社との共同生産体制構築、在宅医療の浸透に対応する必要性などにも言及した。
ソサエティ5.0の実現に向け、GE薬メーカーがICT技術を活用した医療に
関与することや、レセプトデータや電子カルテデータなど
リアルワールドデータを活用した医療情報の提供を例示した。
企業の社会的責任として、持続可能目標としてSDGsの達成に
寄与することも盛り込んだ。
GE薬メーカーの事業がさらに多様化し、未病ケアや予防市場への参入だけではなく、
既存薬の別適応症を探索するドラッグリポジショニングや
医薬品製造での連続生産システムなどを行う研究開発型企業も登場すると予測。
GE薬協がまとめた今年4~6月のGE薬数量シェアは75.8%であり、
全ての医療用医薬品を分母にするとおよそ半数を占める。
政策実務委員会の田中俊幸委員長は、
80%達成の目標時期となる来年9月まで残り1年での発表について、
「ポスト80%がGE薬メーカーにとって明るい未来であることを示したかった」
足元では大きな課題に直面、
「ビジョンに基づき、具体的な活動を行った企業だけが将来生き残ることができる」、
地域フォミューラリーの普及などで業界再編が起こる可能性にも言及した。
産業ビジョンの内容は今後も検証し、必要に応じて柔軟に見直していく考えだ。
https://www.m3.com/news/general/702762
日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)は27日、
2030年におけるジェネリック医薬品(GE薬)産業の将来像である
「次世代産業ビジョン」を発表。
17年5月に発表した産業ビジョンを大幅に改定したもので、
未病・予防や個別化医療、海外展開、地域包括ケア、ICTを活用した
ヘルスケアシステム構築、持続可能な開発目標のSDGsの5項目をターゲット。
7月に概要版を発表していたが、その全容を公開。
来年9月に控える政府目標の数量シェア80%達成後の新たな指標づくりや
毎年薬価改定での制度提案につなげる。
■国際化への挑戦も提言
ビジョンは、ビッグデータで社会課題を解決する「ソサエティ5.0」が完成する
30年を焦点に、GE薬業界が迎える時代と11年後に対応していくべき変化を考え、
対策を進める必要がある重要な5項目を盛り込んだ。
従来の産業ビジョンでも、海外展開や地域医療、バイオ後続品など
期待される産業像が示されていたが、
薬価制度の抜本改革や長期収載品の撤退が可能になるG1、G2ルール導入など
環境変化を背景に、より将来の方向性に近い形で見直すことになった。
新ビジョンでは、GE薬メーカーが医療だけではなく、
健康や介護に貢献していく方向性を示した。
国内GE薬メーカーの強みとして製剤技術を挙げ、ICチップやセンサーを搭載した
「溶けない錠剤やカプセル剤」などで侵襲性の低い検査を導き、
未病ケアや予防に応用していく可能性を提示。
3Dプリンティング技術を個別化医療に活用し、
新市場を開拓するなどビジネスモデルの変革を促している。
GE薬産業の競争力強化に向けては、グローバル化への挑戦を提言。
日本市場で培ってきた良質な医薬品を提供し、
今後拡大が予想されるアジア・アフリカなど将来の市場を開拓していく将来像を示した。
国内での地域医療に着目し、地域包括ケアシステムの実現で
GE薬メーカーが取り組むべき活動も明記した。
地域での医薬品使用指針となる地域フォーミュラリーでの安定供給体制や
他社との共同生産体制構築、在宅医療の浸透に対応する必要性などにも言及した。
ソサエティ5.0の実現に向け、GE薬メーカーがICT技術を活用した医療に
関与することや、レセプトデータや電子カルテデータなど
リアルワールドデータを活用した医療情報の提供を例示した。
企業の社会的責任として、持続可能目標としてSDGsの達成に
寄与することも盛り込んだ。
GE薬メーカーの事業がさらに多様化し、未病ケアや予防市場への参入だけではなく、
既存薬の別適応症を探索するドラッグリポジショニングや
医薬品製造での連続生産システムなどを行う研究開発型企業も登場すると予測。
GE薬協がまとめた今年4~6月のGE薬数量シェアは75.8%であり、
全ての医療用医薬品を分母にするとおよそ半数を占める。
政策実務委員会の田中俊幸委員長は、
80%達成の目標時期となる来年9月まで残り1年での発表について、
「ポスト80%がGE薬メーカーにとって明るい未来であることを示したかった」
足元では大きな課題に直面、
「ビジョンに基づき、具体的な活動を行った企業だけが将来生き残ることができる」、
地域フォミューラリーの普及などで業界再編が起こる可能性にも言及した。
産業ビジョンの内容は今後も検証し、必要に応じて柔軟に見直していく考えだ。
https://www.m3.com/news/general/702762
線虫でがん検査、実用化へ 約85%特定、20年から
2019年10月2日 (水)配信共同通信社
東京のベンチャー企業「HIROTSUバイオサイエンス」は1日、体長約1ミリの線虫に人の尿のにおいを嗅がせ、がんの有無を発見する検査法を2020年から実用化すると発表した。検査費用は9800円で、がん患者約1400人の検体を使った最新の臨床研究では、約85%の確率で特定したという。早期のがん発見にも効果があるとしている。
検査の名称は「N―NOSE」。犬並みの嗅覚で、がん患者特有の尿のにおいに寄りつき、健康な人の尿からは逃げる線虫の性質を利用した。線虫は土壌に生息する微小生物で、簡単に増殖ができ、検査に必要なのは尿1滴程度としている。
これまでに15種類のがんに反応することが確認されたが、現時点でがんの部位までは特定できないという。当面は企業などの健診に組み入れることを中心に、初年度は25万検体の利用を見込む。21年には海外展開も目指すという。部位を特定するために、遺伝子組み換え線虫を用いた「がん種特定検査」の22年の実用化も目指している。
年内に最終的な運用試験を実施する予定で、生命科学の産業振興に取り組む福岡県の久留米、小郡両市が職員の受診などで協力する。
久留米市役所で1日、記者会見した同社の広津崇亮(ひろつ・たかあき)社長(47)は「検査の受診率を上げるには、画期的な技術が必要だ。ローリスクで他の検査より精度が高い」と強調した。同席した久留米市の大久保勉(おおくぼ・つとむ)市長も「がんの早期発見は極めて重要だ。実用化へ向け、支援したい」と述べた。
https://www.m3.com/news/general/703088
東京のベンチャー企業「HIROTSUバイオサイエンス」は1日、体長約1ミリの線虫に人の尿のにおいを嗅がせ、がんの有無を発見する検査法を2020年から実用化すると発表した。検査費用は9800円で、がん患者約1400人の検体を使った最新の臨床研究では、約85%の確率で特定したという。早期のがん発見にも効果があるとしている。
検査の名称は「N―NOSE」。犬並みの嗅覚で、がん患者特有の尿のにおいに寄りつき、健康な人の尿からは逃げる線虫の性質を利用した。線虫は土壌に生息する微小生物で、簡単に増殖ができ、検査に必要なのは尿1滴程度としている。
これまでに15種類のがんに反応することが確認されたが、現時点でがんの部位までは特定できないという。当面は企業などの健診に組み入れることを中心に、初年度は25万検体の利用を見込む。21年には海外展開も目指すという。部位を特定するために、遺伝子組み換え線虫を用いた「がん種特定検査」の22年の実用化も目指している。
年内に最終的な運用試験を実施する予定で、生命科学の産業振興に取り組む福岡県の久留米、小郡両市が職員の受診などで協力する。
久留米市役所で1日、記者会見した同社の広津崇亮(ひろつ・たかあき)社長(47)は「検査の受診率を上げるには、画期的な技術が必要だ。ローリスクで他の検査より精度が高い」と強調した。同席した久留米市の大久保勉(おおくぼ・つとむ)市長も「がんの早期発見は極めて重要だ。実用化へ向け、支援したい」と述べた。
https://www.m3.com/news/general/703088
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