2019年11月6日 (水)配信毎日新聞社
アルツハイマー病を、血液1滴で診断できる可能性のあるマーカーを、
名古屋市立大などの研究グループが発見。
アルツハイマー病の前段階の軽度認知障害(MCI)の診断も可能になる。
研究結果は先月、米国のアルツハイマー病の専門誌に掲載された。
アルツハイマー病は、発症の20年以上前から「アミロイドベータ」と呼ばれる
たんぱく質が脳に蓄積することが分かっている。
研究グループは、2016年にアルツハイマー病の研究を行う中で、
細胞にアミロイドベータを投与すると、
たんぱく質の一種である「フロチリン」の分泌が低下することに気づいた。
そこで、フロチリンをアルツハイマー病の診断マーカーに使えないかと考えた。
研究グループは、画像診断でアルツハイマー病と診断された人15人と
診断されなかった人15人の血液を分析。
その結果、診断された人では、診断されなかった人と比べ、
フロチリン濃度が低下していた。
MCIも同様の結果だった。
現在、アルツハイマー病を早期に発見する方法には、
髄液検査や、陽電子放射断層撮影(PET)画像を用いる方法があるが、
髄液検査は患者の身体への負担が大きく、
PET診断も機器と試薬が高価で実施できる施設も限られている。
血液マーカーを使った研究は他にもあるが、
フロチリンに着目したのは初めてで、「簡便で費用も安価」という。
研究を統括する名古屋市立大大学院医学研究科の道川誠教授は
「今後さらに多くの人数で調べる必要がある。
治療薬が米国で開発され、早期発見の必要性がこれまで以上に高まっている。
製品化を進めており、2、3年以内には実用化したい」
https://www.m3.com/news/general/709291