2019年11月30日 (土)配信朝日新聞
高校野球における選手の負担軽減策は近年、
導入へのスピード感が上がってきた。
夏の甲子園で出場校投手に対する「肩・ひじの検査」が始まったのが、
1993年の第75回大会。
投手の投球数について、日本高校野球連盟で議論がかわされ始めたのは、
2013年春の第85回選抜大会が終わった直後。
準優勝した愛媛・済美の2年生エースだった安楽智大投手
(現プロ野球楽天)が、9日間の5試合で772球を投げ、
選手の健康管理をめぐって国内外で論争が巻き起こっていたとき。
以降、選手の健康管理への取り組みは進んだ。
13年からは夏の甲子園大会で休養日が設けられ、
18年春からは甲子園でタイブレーク制が採り入れられた。
全国選手権において、延長戦を十八回で打ち切る規定ができたのは、
1958年の第40回大会。
2000年に、十五回に短縮されるまで42年かかった。
それからタイブレーク制導入までは18年を要した。
それらに比べ、投球数制限の導入にかかった期間は短い。
昨年12月、新潟県高野連が1試合100球という独自の投球数制限を
春季県大会で導入しようとしたことをきっかけに、日本高野連は動きだした。
今年4月、「投手の障害予防に関する有識者会議」を設け、
約7カ月で一つの結論を出した。
安楽投手の投球数が問題視されてからは7年弱だ。
今夏の第101回大会では休養日が増え、計2日間に。
選抜大会も来春から、同様に休養日を増やす。
一方で、年々過酷になる夏の暑さ対策や、
連投を完全になくす大会日程の工夫など、
選手の体を守る課題はまだ残っている。
■日本高校野球連盟の新たな取り組み
【投球数制限】
●1週間計500球以内。登板中に達した場合、その打者の完了まで投球可
●来春から日本高野連、都道府県高野連主催の公式戦で導入
●降雨などで試合が続行不可能になり、ノーゲームとなった試合も、投球数はカウント
【3連戦回避】
●選抜、全国選手権大会、明治神宮大会、都道府県高野連主催の大会などで実施
●回避できない都道府県は、事前に日本高野連に届け出る
●国体は2021年の三重国体からの実施を目指す
【3年後の見直しに向けて】
●夏の選手権地方大会から投手別の投球データを収集
●夏の選手権地方大会でも準々決勝、準決勝後に投手の関節機能検査の実施を検討
https://www.m3.com/news/general/713861