2023年12月18日月曜日
難攻不落のがんに光明、 次世代CAR-T療法が 固形腫瘍の治療で新成果
2023年12月1日(金)
遺伝子改変T細胞を用いたがん治療が、固形腫瘍にも有効であることを示す研究結果が発表された。
研究チームによると、mRNAワクチンを併用することで、より効果を高められる可能性がある。
ここ数年、遺伝子改変T細胞を用いた治療法の登場により、
治療が困難な血液がんに対する治療は劇的な進歩を遂げた。
この治療法では、患者自身の免疫系を利用してがん細胞を攻撃する。
「キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法」と呼ばれるこのようなT細胞療法でも、
つい最近まで、がん発症例のほとんどを占める固形腫瘍に有効なものはなかなか開発が進まなかった。
あまりの進歩のなさに、この分野の多くの関係者たちは落胆してきた。
マサチューセッツ総合病院がんセンターの細胞免疫療法部門長を務めるマルセラ・マウス医師は、
「少し前までは、固形腫瘍に対してCAR-T療法を実施しても、どの患者にも効果がなく、少々悲観的な声が聞こえてきました」
新たな臨床試験の結果は、次世代のCAR-T療法がようやく前進し始めたことをうかがわせるものであった。
10月下旬、マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology)のカンファレンスで、
バイオンテック(BioNTech)は「BNT211」と呼ばれる治療法に関して、臨床試験の暫定結果を発表した。
同社の研究チームは、主として卵巣がんや胚細胞がんなどの固形腫瘍患者44人を対象に、
さまざまな用量のCAR-T細胞と、場合によっては治療効果を高めるためのワクチンを投与した。
治療効果を評価できるだけの十分なデータが得られた患者38人のうち、
45%が奏効し、腫瘍の縮小あるいは完全な消失が認められた。
発表では、より高用量が投与された27人からなる別の治療群にも焦点が当てられた。
この群では、奏効率はさらに良く、60%近くに上った。
しかし、より深刻な副作用も認められた。
これは、臨床試験が進行中の数百件にものぼるCAR-T療法のうち、ほんの1件の結果に過ぎない。
研究者たちは、CAR-T療法をより有効で、正確で、安全なものにするために試行錯誤を重ねている。
「私たちは日々学び、前進しており、その成果として固形腫瘍にも効果が現れつつあります」とマウス医師は言う。
「格段に有用な治療法になるのではと大いに期待しています」。
●標的システム
T細胞は免疫細胞の一種で、病気の細胞を破壊したり、他の免疫細胞を呼び寄せて攻撃させたりすることで、
身体が感染症に抵抗するのを助けている。
残念ながら、T細胞はがん細胞を認識するのが苦手だ。
CAR-T療法は、その欠点を解消するものだ。
CAR-T療法を実施するには、まず専門技師が患者の血液からT細胞を採取する。
その細胞に遺伝子操作をして、がん細胞表面のタンパク質と結合できるキメラ抗原受容体(CAR)と
呼ばれる受容体を組み込ませる。
次に、この遺伝子操作した細胞を実験室で数百万個になるまで培養し、患者の体内に再注入する。
こうした細胞は、設計上の標的となるタンパク質と出会うと活性化し、そのがん細胞を破壊し始める。
「まさに生きた薬です」と、ヴァンダービルト大学の血液・腫瘍専門医のアンドリュー・ジャルークは説明。
固形腫瘍に対して、この治療法を用いる際の大きな課題のひとつは、
標的として適切なタンパク質を見つけることだ。
「いかにして適切な抗原を見つけ出すのか?
これこそが、この分野の誰もが本当に追い求めていることです」と、
スクリプス研究所(Scripps Research)にある創薬開発が専門の研究機関、
カリバー(Calibr)で生物学的製剤部門の副所長を務めるトラヴィス・ヤング博士。
標的としてふさわしいと思われるタンパク質の中には、重要な組織にも存在しているものがある。
T細胞が腫瘍を標的とする過程で、健康な細胞も攻撃してしまう危険性があるのだ。
15年前、実際にそのような事例が起こった。
乳がんの多くに共通する表面タンパク質である「HER-2」を標的とした、遺伝子改変T細胞を使った臨床試験で、
ある患者が、治療を受けた数分後に呼吸困難に陥り、5日後に死亡した。
T細胞が、彼女の肺細胞にある低レベルのHER-2を認識し、この組織を間違って攻撃したためだ。
バイオンテックは、「クローディン6(Claudin-6)」と呼ばれる特殊なタンパク質を標的とすることで、
この問題を回避した。
このタンパク質は、胎児組織やある種のがん細胞には存在するが、健康な成人組織には存在しない。
もうひとつの解決策は、T細胞をより賢くすることだ。
遺伝子操作により、複数の受容体を発現させたT細胞を作り出せば、
特定の条件が満たされた時だけスイッチが入る、いわば生物学的論理ゲートを持った細胞を作れる。
活性化に2種類の抗原の存在が必須となる細胞(「AND」ゲート)や、
いずれかの受容体が存在すれば活性化できる細胞(「OR」ゲート)を作成できる。
「まるでコンピューターが実行するような、細胞への複数の入力ゲートを人工的に作り出せるのです」とヤング博士。
T細胞はこうしたロジックを使って、腫瘍細胞と正常細胞のどちらと接触したかを判断できる。
それは、T細胞の本来の働きによく似ている。
T細胞には複数の入力経路が存在し、負と正のフィードバックループをなしている。
アーセナル・バイオ(Arsenal Bio)は、
こうした「ロジック・ゲート」的なアプローチを追求する企業のひとつだ。
2023年1月、同社は卵巣がんに対するCAR-T療法の臨床試験を開始した。
時には、治療の標的として利用できるがん細胞特異的なタンパク質、
もしくは複数のタンパク質の組み合わせが存在しないこともある。
そうした場合は、腫瘍特異的な標的が存在しなくても、標的を新たに付け加えることができるかもしれない。
コロンビア大学の研究チームは10月、
腫瘍に標識をつけるよう遺伝子操作したバクテリアを利用したCAR-T療法を開発した、と学術誌「サイエンス」に発表。
同研究チームは、大腸菌(E. coli)の一系統に改変を加えて緑色蛍光タンパク質を発現させ、
その株をマウスに注射した。
この大腸菌は、マウスの腫瘍に蓄積した。
次に、その緑色蛍光タンパク質を標的とするT細胞をマウスに注射した。
「私たちは腫瘍を緑色に塗り上げましたが、T細胞はこの緑色を『見る』ことができたのです」と、
コロンビア大学で合成生物学を研究する博士課程の学生で、論文の筆頭著者であるローザ・ヴィンセント。
なぜ、この大腸菌が腫瘍にのみ蓄積するのかはよくわかっていない。
ヴィンセントは、腫瘍の微小環境と関係があるのではないかと推測。
「免疫が強く抑制されている腫瘍内は、バクテリアが増殖するには絶好の環境です。
たった1個の細胞さえあれば、指数関数的に増殖します。
一方、健康な組織にバクテリアが付着しても、免疫系が即座に排除するでしょう」。
この方法は、今のところ臨床試験には至っていないが、
研究チームはすでにこの研究を発展させる方法について検討している。
ヒトは、マウスよりも大腸菌の表面にある毒素に対して脆弱である。
そのため、「主なリスクとしては、敗血症と毒素性ショックが考えられます」とヴィンセントは指摘。
「しかし、この菌株の毒性を弱めるために使える遺伝子工学的な手法はいくらでもあります」。
●自然の「OFF」スイッチ
がんと闘うために、免疫系を利用することは諸刃の剣でもある。
悪性細胞を破壊するには、強力なT細胞が必要となる。
しかし、T細胞が強力すぎると、大量の炎症分子を分泌して全身に炎症反応を引き起こし、
場合によっては死に至らしめることもあり得る。
こうした「サイトカイン放出症候群」と呼ばれる問題は、認可済のCAR-T療法でも起こり得る。
この症候群は、軽症の場合はインフルエンザのような感覚で、筋肉痛、身体の痛み、発熱を伴う。
重症の場合、激しい炎症により危険な状態に陥る可能性がある。
CAR-T療法において、有効性と毒性のバランスを見極めることは永遠の課題である。
バイオンテックは、まだ最適なバランスを見い出せていない。
発表された臨床試験では、半数以上の被験者にサイトカイン放出症候群が認められた。
ほとんどの症例は軽度であったが、2例でより重度の症状が見られた。
うち1例は急性呼吸不全に陥り、集中治療室での治療を余儀なくされた。
このような問題が高確率で発生したことは、
皮肉にも「ある意味で良い兆候」だとマウス医師は主張する。
この治療法が機能していることを示すものだからだ。
T細胞が、確実にがん細胞のみを標的にできるようになれば、CAR-T療法はより安全なものとなる。
医師たちは、T細胞が患者にダメージを与え始めた場合に備えて、
T細胞の抑制も可能にしておきたいと考えている。
ヤング博士を中心とするカリバーの研究者たちは、
T細胞を活性化させる際に抗体が必要となる、オンオフが可能なCAR-T療法を開発した。
がん細胞に結合する抗体を投与する。
次に、T細胞を注入すると、T細胞は抗体に結合して活性化する。
「抗体が存在しない場合、CAR-T細胞はどの細胞も標的にしません」とヤング博士。
抗体は数日以上はとどまらないため、「CAR-T細胞は、自然に『OFF』状態に戻ります」。
それによって、副作用があった場合は、治療を中断できる。
●時の試練
バイオンテックでは、CAR-T療法に付きまとうもうひとつの課題である、持続性の問題にも取り組もうとしている。
遺伝子改変T細胞は、体内のがんを完全に根絶できるほど長持ちするとは限らないのだ。
同社の研究者たちは、CAR-T細胞をmRNAワクチンと組み合わせることで、
その持続性を向上させたいと考えている。
T細胞が標的とする抗原と同じ、クローディン6を合成するように、mRNAワクチンに指令を出させるのだ。
周りに抗原が多ければ多いほど、T細胞は活性化する。
がん細胞もクローディン6を発現しているが、固形腫瘍の微小環境がT細胞の働きを妨げている可能性がある。
「CAR-T細胞が腫瘍に到達するころには、免疫抑制的な働きによってあまり増殖できなくなっている可能性があります」とジャルーク医師。
「ワクチンによって、T細胞はクローディン6と確実に接触して活性化され、すぐに十分増殖できるようになるはずです」。
バイオンテックの研究チームがマドリードで発表した暫定結果は、
このアプローチが有効である可能性を示唆している。
ワクチンを投与しなかった群では、「50日目には、CAR-T細胞の大部分が見られなくなりました」と、
結果の発表をしたオランダ癌研究所(Netherlands Cancer Institute)の研究者、ジョン・ハーネン教授。
ワクチンを投与された患者たちは、CAR-T細胞の持続性が向上していた。
こうした患者の多くは、90日が経過してもCAR-T細胞が残存していた。
「この結果を受けて、ワクチンを打たない場合と比較して有効性が高いと判断するには、もう少しデータが必要です」とジャルーク医師。
「増殖性や持続性を高めようとする方法としては、理にかなっていると思います」
将来的に同社は、より多くの患者を対象とした第2相臨床試験の実施を計画している。
「この分野には多くの企業が参入しており、さまざまな新技術について臨床試験が実施されています」とジャルーク医師。
「大成功」とは言えない臨床試験でさえ、貴重な教訓をもたらしてくれるという。
「いずれは、固形腫瘍に効果を発揮する製法に辿り着けるはずだ、と大いに希望を持っています」。
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「死」とは何か? 覆る概念、あいまい化する境界線
2023年12月11日(月)
神経科学の研究が進むにつれて、死ぬことはプロセスであり、
生と死の間に明確な境界線はないことがわかってきた。
死のプロセスをより正確に理解できれば、
死を迎えたが、体はまだ比較的無傷である人たちを救えるようになるかもしれない。
出生証明書が人生の始まりのときを意味するように、
死亡証明書はその終わりの瞬間を記すものだ。
この慣行は、生と死を2つの対極的なものとして捉える従来の概念を反映したものだ。
私たちは、突然灯りが消されたように亡くなってしまうまで生き続ける。
死についての考えが広く浸透している一方、
それは時代遅れの社会通念であり、実際には生物学に基づいたものではないという証拠が固まりつつある。
死ぬことは実際にはプロセスであり、人がそれを越えると戻って来れない、
という明確な境界線はそこにはない。
科学者や多くの医師は、死に関するこのより微妙な解釈をすでに受け入れている。
世の中がその考えに追いつくにつれて、生の意味合いは奥深いものになる可能性がある。
「多くの人が再び生き返る可能性があります」と、
ニューヨーク大学ランゴーン医療センター救急救命・蘇生研究部長のサム・パーニア博士。
神経科学者は、脳が驚くべきレベルの酸素欠乏にも耐えることができることを学びつつある。
これは、医師が死のプロセスを覆すまでの猶予時間が、いつかの日か延びる可能性があることを意味する。
他の器官も同様に、現在の医療行為に反映されているよりも、
はるかに長い時間にわたって回復の見込みがあるようで、
臓器提供の可能性が広がることが期待される。
そのためには、私たちが生と死をどのように考え、どのようにアプローチするかを再考する必要がある。
パーニア博士は死について、人がそこから戻ることができない出来事として考えるのではなく、
むしろ酸素欠乏の過渡的なプロセスであり、相当の時間が経過するか、
医療介入が失敗した場合に覆すことができなくなることとして考えるべきだという。
私たちが死についてこのような考え方をするようになれば、
「突然、誰もが『死を治しましょう』と言うようになるでしょう」とパーニア博士は話す。
●死の概念を覆す
死の法的および生物学的定義は、
一般的に心臓、肺、脳によって支えられている生命維持プロセスの「不可逆的な停止」を指す。
心臓は最もよく不具合を起こす部位で、人類の歴史の大部分において、
心臓が停止すると大抵は元に戻らなかった。
1960年頃に心肺蘇生法が発明されて、その状況は変わった。
それまでは、心拍停止の再開は、ほぼ奇跡の産物だと考えられていた。
今では、それは現代医学で達成可能な範囲内にある。
心肺蘇生法により、死という概念を初めて大々的に再考することになった。
「心停止」という言葉が辞書に登録され、
一時的な心機能の喪失と生命の永久停止との間に明確な意味上の分離が生まれた。
心肺蘇生法とほぼ同時期に、肺に空気を送り込むことで機能する機械式陽圧人工呼吸器が出現したことで、
たとえば頭部への銃撃、重度の脳卒中、交通事故などで致命的な脳損傷を負った人でも、
呼吸を続けることが可能となった。
これらの患者が亡くなった後の解剖で、研究者らは一部の患者の脳が深刻な損傷を受けており、
組織が液化し始めていることを発見した。
シアトルにあるアレン脳科学研究所の神経科学者クリストフ・コッホ博士は、
このような場合、人工呼吸器は基本的に「心臓が鼓動する死体」を作り出していたと語る。
これらの所見は、脳死という概念につながり、
心臓の鼓動が停止する前にそのような患者の死亡宣告ができるかどうかについて、
医学的、倫理的、法的な議論をするきっかけとなった。
最終的には多くの国が、この新しい死の定義を何らかの形で採用した。
脳死であれ、生物学的な死であれ、そのプロセスの背後にある科学的な複雑さは、
はっきりとは解明されていない。
ベルギーのリエージュ大学の神経科学者シャーロット・マルシャル博士は、
「死につつある脳の特徴を詳しく調べれば調べるほど、疑問が増えます。それはとても複雑な現象です」。
●瀬戸際の脳
これまで医師たちは、脳は酸素が供給されなくなってから数分後にダメージを受け始めると考えてきた。
ミシガン大学の神経科学者ジモ・ボルジギン准教授は、
「なぜ私たちの脳は、これほど壊れやすい構造になっているのか疑問に思うはずです」
最近の研究では、おそらく実際にはそうではないことが示唆されている。
科学者らは2019年、4時間前に屠殺場で首を切り落とされた32頭のブタの脳の一連の機能を回復させることができたと
『ネイチャー』誌で報告した。
この研究者らは、保護薬剤のカクテルを注入した酸素を豊富に含む人工血液を使って、
脳内の血液循環と細胞活動を再開させた。
ニューロンの発火を止める薬剤も使われ、ブタの脳が意識を取り戻す可能性を阻止した。
彼らはこの実験の終了まで、脳を最長36時間生かし続けた。
「私たちの研究は、おそらくこれまで考えられていたよりも、
はるかに多くの酸素欠乏による脳のダメージが回復可能であることを示しています」と、
論文の共著者でイェール大学の生命倫理学者スティーブン・レーサム博士。
2022年、レイサム博士とその同僚は2本目の論文をネイチャー誌で公開し、
1時間前に殺された全身状態のブタの脳や心臓など、複数の器官の多くの機能を回復させることができたと発表。
レイサム博士らはこの実験を6時間続け、麻酔をかけられ、
死んだとされる動物が血液循環を取り戻し、多くの重要な細胞機能が活性化したことを確認した。
「これらの研究が示しているのは、生と死の境界線が私たちがこれまで考えていたほど明確ではないということです」と、
イェール大学医学部の神経科学者で、ブタに関する両方の研究の上席著者であるネナド・セスタン博士。
死には「私たちが思っているよりも長い時間がかかりますが、
少なくともその一部のプロセスは停止させて元に戻すことができるのです」
数は少ないが、人間を対象とした研究でも、
脳は心臓の鼓動が止まった後の酸素欠乏への対処において、
私たちが考えているよりも優れていることが示唆されている。
「脳が生命を維持するための酸素を奪われると、異常な電気サージが起こることがあるようです」とコッホ博士。
「理由はわかりませんが、少なくとも数分間は過活動状態になります」。
9月にリサシテイション(Resuscitation)誌に発表された研究で、
パーニア博士とその同僚は、入院中に心停止を経験した85人の患者から、
脳内の酸素と電気活動のデータを収集した。
ほとんどの患者の脳活動は最初、脳波モニター上で平坦となっていたが、
そのうちの約40%では、心肺蘇生の開始から最長60分の間に、
それら患者の脳内で正常に近い電気活動が断続的に再出現した。
5月に米国科学アカデミー紀要(PNAS:Proceedings of the National Academy of Sciences)に発表された研究で、
ボルジギン准教授とその同僚は、2人の昏睡患者の脳の活動が、
人工呼吸器を外された後に急増したことを報告した。
同准教授によると、脳波のサインは患者が死亡する直前に発生し、意識がある状態の特徴がすべて示されていた。
不明な点は多く残されているが、このような発見は死のプロセスと意識のメカニズムについて、興味深い疑問を提起する。
●死後に生きる
死のプロセスの背後にあるメカニズムについて、
科学者が学べば学ぶほど、「より体系的な救命活動」が開発される可能性が高まるとボルジギン准教授は言う。
最良のシナリオでは、この一連の研究によって
「医療行為のあり方が塗り替えられ、多くの人々の命が救われる可能性があります」。
人はいつかは死ぬ運命であり、救うことができないときが来るだろう。
死のプロセスをより正確に理解できれば、これまで健康であったものの、予期せぬ形で早期の終わりを迎え、
しかし体はまだ比較的無傷である人たちを医師が救える可能性がある。
心筋梗塞に見舞われた人、致命的な失血で亡くなる人、窒息や溺れた人などである。
このような人たちの多くが死亡し、亡くなったままであるという事実は、
単に「適切なリソースの割り当て、医学的知識、生き返らせるための十分な進歩の欠如」を反映しているとパーニア博士は言う。
ボルジギン准教授の望みは、最終的に死のプロセスを「秒刻みで」理解することだ。
これを解明できれば、医学の進歩に貢献できるだけでなく、
「脳機能に関する理解を修正して、革命的に変える」ことができると言う。
セスタン博士も同様に、ブタの脳や他の器官の代謝機能を回復させるために使った「技術を完成させる」ことを目指して、
同僚とともにフォローアップ研究に取り組んでいる。
この一連の研究は、最終的には、心臓が停止した人の脳や他の器官の酸素欠乏による損傷を
(もちろん、ある程度までではあるが)回復させることができる技術につながる可能性がある。
この方法が成功すれば、医師が実際に亡くなった人から臓器を回収する猶予時間が延長され、
臓器提供が可能な人の数が増える可能性がある。
このようなブレークスルーが実現するとしても、
何年にもおよぶ研究が必要になるだろうとセスタン博士は強調する。
「誇張しすぎたり、過度に約束したりしないことが重要。
だからといって、私たちにビジョンがないという意味ではありません」。
一方で、死のプロセスに関する進行中の研究は、間違いなく私たちの死の概念に挑戦し続け、
神学的なものから法律的なものまで、科学や社会の他の領域に大きな変化をもたらすだろう。
「死は神経科学のものではありません。私たち全員が死と関係しているのです」。
https://medicalai.m3.com/news/231211-news-mittr
2023年9月19日火曜日
「動かしたい意思」を汲み取るAIロボットで上肢運動機能改善、世界初 順天堂大ら
2023年9月5日(火)
脳卒中患者のリハビリテーションにおけるデジタルソリューションについては、
下肢リハビリの分野で日本企業のロボットが世界進出を果たしているが、
課題とされている上肢についても、日本から注目すべき研究成果が発表された。
動かそうとする際の脳の生体信号を読み取りAIで解析、
自分の意図に合わせた動きをさせるようにすることで効果が確認できた。
●週2回、10回のトレーニングで効果確認
研究成果を発表したのは、順天堂大学大学院医学研究科リハビリテーション医学 藤原俊之教授、メルティンMMI(東京都)らの研究グループ。
脳卒中で麻痺などの後遺症が残る患者のうち、
手の麻痺が実用レベルまで回復するのは15~20%にとどまると言われている。
近年、ロボットがリハビリテーション分野でも応用されるようになってきたが、
上肢に関しては多くは患者の意図に関係なく決まった動作を繰り返し練習するものであったり、
患者の動きをアシストするものであったため、重度な手の麻痺は回復が困難とされてきた。
研究グループは、自分では思うように手を動かせない重度の麻痺がある患者においても
「患者の意図を生体電気信号からAIが判別し、麻痺した手を思い通りに動かすAIロボット」を開発し、
脳卒中後の手の麻痺のリハビリテーションに用い、その効果を無作為化比較試験で検証した。
AIロボットは、麻痺した前腕に3対の電極を置き、脳から手に送られる電気信号のパターンをAIが解析することにより、
重度な麻痺で手が動かない患者においても、患者が「指を伸ばそう」としているのか、「曲げよう」としているのか、
それとも力を入れないように「リラックスさせよう」としているのかを読み取り、患者の意図に合わせて麻痺した手を動かす。
本研究には、脳卒中発症後2か月以上経過した後に手の麻痺が残存している患者20名が参加。
参加者は、無作為にAIロボット群と他動ロボット群に割り付けられ、
AIロボット群では1回40分のAIロボットを使用して、自分の意図に合わせて指の曲げ伸ばしを行い、
物を掴んだり、移動させる麻痺手のトレーニングを週2回、計10回行った。
他動ロボット群では、他動的に指の曲げ伸ばしを行う麻痺手のトレーニングを同様の回数を行った。
終了後、AIロボット群ではトレーニング後に上肢運動機能の改善を認め、
その効果はリハビリテーション終了4週後にも維持されていたこと確認された。
日常生活での麻痺手の使用頻度においても、改善を認めた。
研究グループでは、この研究成果は「患者の意図を生体電気信号からAIが判別し、麻痺した手を思い通りに動かすAIロボット」を用いた
脳卒中リハビリテーション治療の効果を示した世界初の研究であり、
これまで回復が困難であるとされていた脳卒中後の麻痺手の回復を可能とする新しいリハビリテーション治療として期待できる」。
論文リンク:New artificial Intelligence-Integrated Electromyography-Driven Robot Hand for Upper Extremity Rehabilitation of Patients With Stroke: A Randomized Controlled Trial(Neurorehabilitation and Neural Repair)
https://medicalai.m3.com/news/230905-news-medittech
脳インプラントで毎分78語を変換、アバターで表情も再現
2023年9月12日(火)
脳活動を発話に変換する新たな研究成果が発表された。
発話に使う唇や舌の筋肉を制御する脳内信号を脳インプラントで捕捉し、その信号をAIで言葉に変換する。
「私の人工音声はどうかしら?」と、
コンピューターの画面に映し出された女性が緑色をした目を少し見開いて尋ねる。
映像は明らかにコンピューター処理されており、音声もたどたどしいが、それでも画期的な瞬間だ。
この映像は、18年前に脳卒中で発話能力を喪失した女性のデジタルアバターだ。
脳インプラントと人工知能(AI)アルゴリズムを取り込んだ実験の一環として、
現在この女性は、本人の声を複製した音声で語り、アバターを通じて限られた範囲の表情を伝えることもできる。
8月23日にネイチャー(Nature)誌に掲載された、2つの別々の研究チームによる2本の論文は、
この分野がいかに急速に進歩しているかを示している。
いずれもまだ概念実証に過ぎず、このテクノロジーが広く一般に提供されるようになるまでに、
非常に長い道のりがまだ待ち構えている。
どちらの研究も、明瞭に発話する能力を喪失した女性を対象にしており、
一人は脳幹卒中、もう一人は進行性の神経変性疾患であるALSが原因で話せなくなった。
参加者は、それぞれ別のタイプの記録装置を脳に埋め込んでおり、
2人とも1分間に60語から70語ほどのスピードでなんとか話す。
通常の発話スピードのほぼ半分だが、以前の報告時に比べて4倍以上速い。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校の脳外科医エドワード・チャンが率いるチームは、
表情を作り出す微小な動きを制御する脳信号を捉えることで、
被験者の発話行為をほぼリアルタイムで表現するアバターの作成にも成功した。
2本の論文は「非常にエレガントで厳密な脳の科学と工学を象徴するもの」。
カナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学の脳神経倫理学者であるジュディ・イレス教授
(同教授はどちらの研究にも関与していない)。
表情を表すことができるアバターが追加された点を、イレス教授は特に評価した。
「コミュニケーションは、人と人の間の単なる言葉のやりとりではありません。
声の調子、表情、強勢、文脈を通じて伝えられる言葉やメッセージ。
こうした人間性の要素を実際に基礎科学、工学、ニューロテクノロジーに持ち込もうとしたのは、
創造的でとても思慮深いことだと思います」。
チャン医師率いる研究チームは、この問題に10年以上取り組んできた。
2021年、同チームは脳幹卒中を患った人の脳活動を捉え、その信号を書き言葉での単語や文に変換できることを示した。
変換スピードはゆっくりしたものだった。
最新の論文で、研究チームはインプラントをクレジットカードほどに大きくして、
電極数を2倍にし、当時とは別の患者であるアンの脳の信号を捉えた。
アンは、20年近く前に脳卒中を発症して発話能力を喪失した。
インプラントは思考を捉えるのではない。
代わりに、発話を可能にするすべての筋肉の動きに当たる、唇、舌、顎、喉頭の筋肉の動きを制御する電気信号を捉える。
「『P』や『B』の音を出すには、上下の唇を寄せ集める必要があります。
その結果、唇の制御に関係する特定の一部の電極が活性化されます」と、
チャン医師の研究室の大学院生で論文の著者に名を連ねるアレクサンダー・シルバ。
頭皮に装着したポートを通じて、これらの信号はコンピューターに伝送され、
AIアルゴリズムが信号を復号し、言語モデルが提供する自動修正機能が正確度を向上させる。
このテクノロジーにより、チームはアンの脳活動を毎分78語のペースで書き言葉に変換した。
語彙は1024語、エラー率は23%だった。
チャン医師の研究チームは、他のどのチームよりも早く、脳の信号を話すという行為にまで復号した。
捉えられた筋肉の信号を利用することで、参加者はアバターを通じて、嬉しい、悲しい、驚いた、という3つの感情を、
それぞれ3段階の強度で表現できた。
「話すという行為は、言葉を伝達するだけではなく、私が誰であるかについても伝達します。
人間の声や表情は、その人のアイデンティティの一部なのです」とチャン医師。
この臨床試験の参加者であるアンは、カウンセラーになることを希望しており、
これは「私にとって、たいへんな挑戦です」と研究チームに語っている。
アンはこの種のアバターを使用すると、カウンセラーを受ける人の気持ちが落ち着くのではないかと考えている。
アンが話す声を再現するために、チームは本人の結婚式の映像に記録されていた音声を使用した。
これにより、アバターは彼女のような感じがいっそう高まった。
スタンフォード大学の研究者が率いる別の研究チームが最初に結果を発表したのは、
1月に査読前論文(プレプリント)としてだった。
パット・ベネットというALS患者の参加者に対して、研究者ははるかに小型のインプラントを4個埋め込んだ。
それぞれのインプラントはアスピリン錠剤ほどの大きさで、一つひとつのニューロンの信号を記録できる。
25回に及ぶセッションを通して、ベネットは音節、単語、文を読んでシステムを訓練した。
次に、研究チームは、学習時に使用されなかった文をベネットに読んでもらい、この技術を試験した。
語彙数を50語に設定し、その範囲内で文を構成した場合、エラー率は約9%だった。
英語の大部分を包摂することになる12万5000語にまで語彙数を拡大すると、エラー率は約24%に上昇した。
これらのインターフェイスを使用した発話は、流暢な語り口ではない。
今でも通常の発話より遅いし、23%や24%というエラー率は以前の結果からははるかに改善しているものの、
まだそれほど優れたものではない。
いくつかの例では、システムは文を完璧に再現した。
「How is your cold?」(風邪の具合はどうですか?)を「Your old.」と表示することもあった。
科学者らはさらに改善できると確信している。
「興味深いのは、インプラントの電極の数を増やせば増やすほど、デコーダーの性能が向上することです」。
スタンフォード論文の著者の1人である神経科学者のフランシス・ウィレット博士。
「電極数を増やし、より多くのニューロンの信号を捉えることができれば、正確度をさらに向上させられるでしょう」。
現在のシステムは、家庭で使用できるほど実用的ではない。
有線接続とかさばるコンピューター・システムを使って処理しており、
実験環境の外部では、被験者らは脳インプラントを使用してコミュニケーションをとることはできない。
「この知識を、ニーズを抱えながらまだ満たされていない人たちにとって有用なシステムに転換するまでに、
まだまだ非常に多くの作業が必要です」。
アムステルダムにあるユトレヒト大学病院脳センターの神経科学者で、
付随論評の著者であるニック・ラムジー教授は言う。
どちらのチームも、一個人についての結果を報告しているのであり、
同じような神経疾患でも他の患者には当てはまらない可能性があると、イレス教授も警告。
「これは概念実証です。
脳損傷は実に厄介で、異質性が非常に高いことがわかっています。
脳卒中やALSの患者の場合でも、一般化できる可能性はありますが、確実には言えません」。
コミュニケーション能力を喪失した人にとって、解決に至る技術的な可能性が開かれたことは確かだ。
「私たちがしてきたのは、解決が可能であり、それに向かう道筋が存在していることを証明することです」と、チャン医師。
話せるというのは、非常に重要なことだ。
チャン医師の研究の被験者であるアンは、以前はコミュニケーションをとるのにレターボードを使っていた。
「夫は私のために立ち上がって、コミュニケーションボードの翻訳に取り組まなければならないことに、
本当に辟易していました」と、アンは研究チームに語っている。
「私たちが言い争うことはありませんでした。
というのも、夫は私に言い返すチャンスを与えなかったからです。
おわかりでしょうが、ものすごく欲求不満が溜まりました」。
https://medicalai.m3.com/news/230912-news-mittr
心臓年齢を予測するAIツール研究
2023年9月14日(木)
心臓疾患と老化の関係は長らく注目されてきたが、
この関連には個人差がみられることが知られている。
英Imperial College Londonなどの研究グループは、MRIと心電図データにAIツールを組み合わせることで、
「心臓年齢」をより精密に予測する手法を構築し、心臓の老化プロセスに関与する遺伝子を特定する試みを進めている。
Nature Communicationsに発表された同研究では、
大規模データベースのUK Biobankから収集した約4万人のデータに基づき、
「心臓の形態学的特性」「心臓の動き」「電気伝導特性」などといった要素を老化のバイオマーカーとして計量分析した。
機械学習手法を用いることで、心臓の老化に最も影響を与える因子が「高血圧」であることが確認され、
加えて「喫煙」「糖尿病」「肥満」が老化を加速させる要因として明らかになった。
さらに、心臓組織の修復能力や、その若さを維持する「速度」に影響を与える遺伝子変異も特定した。
研究グループは、この新しいアプローチを用い、喫煙や肥満といった既知のリスク因子を再評価するだけでなく、
心臓年齢に影響を及ぼす未知の環境リスク特定にも期待している。
研究を主導したDeclan O’Regan教授は、
「我々のグループは、心臓スキャンデータから心臓年齢の予測を可能とするAI技術を開発した。
この研究の成果は、心臓の老化を遅らせる治療法の優先順位付けにも貢献する可能性がある」。
参照論文:
Environmental and genetic predictors of human cardiovascular ageing
2023年7月22日土曜日
NVIDIA CEO「AIが生活様式を完全に変える」ーCOMPUTEX TAIPEI 2023 レポート 前編
2023年6月24日(土)
5月30日~6月2日までの4日間、台北市の南港展覧館でアジア最大規模のITテクノロジー見本市
「COMPUTEX TAIPEI 2023(以下、COMPUTEX)」が開催された。
コンピュータなどのハードウェアを中心とした展示会としてスタートしたが、
今年は世界で急速に進むAI活用の影響を大きく受け、
それらに必要不可欠なハイパフォーマンス・コンピュータや通信技術、半導体製造に関する発表が多数行われた。
こうした技術は医療やデジタルヘルスの進化にも大きく関わりがあり、
例えば医療用診断AIの進化につながることなどが期待される。
●AIの活用に不可欠な台湾のテクノロジーに世界が注目
医療用診断AIの画像解析に使用されるコンピュータには、
主にGPUと呼ばれる画像処理を得意とするプロセッサが使われている。
その開発で世界トップの地位を誇るNVIDIAは、
AIが必要とする高度な計算処理能力を高めることに特化した次世代GPUと
アクセラレーテッド・コンピューティング・プロセッサ「Grace HOPPER」を基調講演で大々的に披露した。
その開発には、ソフトバンクグループのプロセッサ開発企業Armが関わっており、
同社の既存製品に比べて10倍の性能をより少ない消費電力で処理できると発表。
台湾生まれであり、地元ではスティーブ・ジョブズやイーロン・マスクよりも人気がある
NVIDIAのCEOであるジェンスン・ファン氏は
「将来的にあらゆるデバイスが AIを動かせるようになり、生活様式を完全に変えるだろう」。
デジタルヘルスやスマート医療に不可欠なコンピュータの多くは台湾で製造されているが、
彼らは高性能な製品を作るだけでなく、そこで使用されるエネルギーを減らし、
熱の放出を減らすといった環境問題にも注目しており、これから世界のトレンドになるだろう。
●医療用コンピュータは台湾の独壇場!?
台湾には、他にもAIの活用に特化した技術やコンピュータを開発する企業が多数存在する。
展示会場ではそうした企業がブースを出展しているが、
医療分野向けのソリューションを取り扱っているところも目に付く。
台湾企業のWincommは、
医療国際規格に対応した手術現場で使用できるタッチパネルPCなどを製造しており、売り上げを伸ばしている。
ここ数年は医療現場でAIの需要が高まっており、
GPUとCPUを組み合わせて画像処理能力を高めた「スマート・メディカルAI」と呼ぶPCシリーズの開発に力を入れている。
人の命に関わる分野だけに性能もさることながら、
とにかく安定して動くことを重要視しており、内視鏡画像診断支援のEndoBRAINシステムにも採用。
医療用PCタブレットを開発するMACTRONは、
アタッチメントを取り換えてカメラやカードリーダーなどの機能を追加できる「MMS0700」を展示。
用途によってデバイスを使い分けるより、本体の操作を共通とし、
ニーズに応じて追加操作をおぼえる方が汎用性が高く、故障にも対応しやすい。
こうした発想の柔軟さも、台湾製品の特徴と言えるかもしれない。
医療現場で使用されるタブレットや検査機器、カメラなども台湾で多く製造されている。
安くて高性能なデジタル機器を開発できることがポイントで、中国との競争がますます激化しそうだ。
●スマホの展示をやめたパソコンメーカーが力を入れるデジタルヘルス市場
多くのIT企業がヘルスケア分野へ参入を進める中、
台湾の大手PCメーカーASUSも本格的な取り組みを見せている。
ハンディタイプの超音波診断装置は、インテリジェントIoTとAI技術を搭載し、
8つのモードで高解像度の画像をリアルタイムで確認できる。
WindowsやiOSにも対応する汎用性の高さもさることながら、
使用する際に患者へ威圧感を与えないようデザインをライトにしているところが特徴。
体重から血圧、血糖値まで生活習慣に関わる複数のデータが測定できるオールインワンの装置であるヘルスハブは、
医療サービスだけでなく、家庭や職場でも使いやすい直感的なインターフェイスを備えている。
ビデオ会議機能を搭載しているので、遠隔でも使用でき、既存のシステムとも連携しやすい。
利用者に問題があった場合に通知する機能もあり、
導入によって看護スタッフの生産性が最大で12.5%向上したという数字も出ている。
デジタル聴診器は複数のメーカーから発売されているが、
ASUSのデジタル聴診器は手軽で使いやすく、モバイル機器と組み合わせて、いつでもどこでも使えるようにしている。
ASUSが開発するスマートウォッチ「VivoWatch」は、
健康やフィットネスに関するモニタリングができるヘルストラッカーとして売り出している。
心拍数、睡眠、血中酸素飽和度、ストレス解消指数などが計測でき、
展示されていた最新バージョンでは時計のフチにあるセンサーを指で押さえることで、
医療レベルの心電図が測定できるという。
測定には少しコツが必要だったが、通常で10日間充電無しで使える点はヘルストラッカーとしてポイントが高い。
さらに手軽なバンドタイプもリリースを予定している。
ヘルストラッカー機能を高めたスマートウォッチは、10日間のバッテリー充電無しで使用できる。
https://medicalai.m3.com/news/230624-report-taipei
新型コロナ禍で若年女性の自殺者が増加、男女の傾向に違い
2023年7月2日(日)
横浜市立大学と慶應義塾大学の研究グループは、
2020年の新型コロナウイルスのパンデミック以降に、
10〜24歳の若年女性の自殺者が増加していることを、厚生労働省のデータで確認した。
研究グループは先行研究で、パンデミック発生後に20〜30代の若年女性の自殺者が
顕著に増加していることを明らかにし、その理由として失業などによる経済的影響を受けやすいためと推測していた。
今回の研究では、非雇用年齢である10代前半でも女性の自殺者が増加していることが明らかになり、
経済的要因の他にも原因があることを示唆する結果となった。
今回の研究では、日本の厚生労働省から提供を受けた死因別死亡数のデータのうち、
2012年7月〜2022年6月までの10年間のデータを分析した。
このデータは死亡診断書に基づくものであり、日本国内のすべての死亡者を対象としている。
対象期間の10年間で、男性9428名、女性3835名が自殺とされている。
分析では、男女別に10〜14歳、15〜19歳、20〜24歳の3種類の年齢層を設定し、
それぞれ6カ月ごとの自殺者数を数えた。
その結果、男性はパンデミック前後で自殺者数に有意な変化はなかったが、
女性の自殺者はパンデミック後に有意に増加していた。
これは、先述の3種類の年齢層すべてに共通する。
結果について研究グループは、男性に比べて女性の方が周囲の人との関係を大切にする点を挙げ、
パンデミックによって他者との接触が減少したことによって精神的影響を受けている可能性があると推測。
女性は家庭内暴力や虐待の対象になりやすいため、
パンデミックによって自宅滞在期間が長くなり、家庭内暴力や虐待の影響が顕在化した可能性もある。
研究成果は6月22日、ランセット精神医学(Lancet Psychiatry)誌にオンライン掲載された。
研究グループは10代、20代の自殺を防ぐには、感染対策や経済対策だけでは不十分であり、
男女でそれぞれ異なる対策が新たに必要だと指摘している。
https://medicalai.m3.com/news/230702-news-mittr
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