2023年7月22日土曜日

NVIDIA CEO「AIが生活様式を完全に変える」ーCOMPUTEX TAIPEI 2023 レポート 前編

2023年6月24日(土) 5月30日~6月2日までの4日間、台北市の南港展覧館でアジア最大規模のITテクノロジー見本市 「COMPUTEX TAIPEI 2023(以下、COMPUTEX)」が開催された。 コンピュータなどのハードウェアを中心とした展示会としてスタートしたが、 今年は世界で急速に進むAI活用の影響を大きく受け、 それらに必要不可欠なハイパフォーマンス・コンピュータや通信技術、半導体製造に関する発表が多数行われた。 こうした技術は医療やデジタルヘルスの進化にも大きく関わりがあり、 例えば医療用診断AIの進化につながることなどが期待される。 ●AIの活用に不可欠な台湾のテクノロジーに世界が注目 医療用診断AIの画像解析に使用されるコンピュータには、 主にGPUと呼ばれる画像処理を得意とするプロセッサが使われている。 その開発で世界トップの地位を誇るNVIDIAは、 AIが必要とする高度な計算処理能力を高めることに特化した次世代GPUと アクセラレーテッド・コンピューティング・プロセッサ「Grace HOPPER」を基調講演で大々的に披露した。 その開発には、ソフトバンクグループのプロセッサ開発企業Armが関わっており、 同社の既存製品に比べて10倍の性能をより少ない消費電力で処理できると発表。 台湾生まれであり、地元ではスティーブ・ジョブズやイーロン・マスクよりも人気がある NVIDIAのCEOであるジェンスン・ファン氏は 「将来的にあらゆるデバイスが AIを動かせるようになり、生活様式を完全に変えるだろう」。 デジタルヘルスやスマート医療に不可欠なコンピュータの多くは台湾で製造されているが、 彼らは高性能な製品を作るだけでなく、そこで使用されるエネルギーを減らし、 熱の放出を減らすといった環境問題にも注目しており、これから世界のトレンドになるだろう。 ●医療用コンピュータは台湾の独壇場!? 台湾には、他にもAIの活用に特化した技術やコンピュータを開発する企業が多数存在する。 展示会場ではそうした企業がブースを出展しているが、 医療分野向けのソリューションを取り扱っているところも目に付く。 台湾企業のWincommは、 医療国際規格に対応した手術現場で使用できるタッチパネルPCなどを製造しており、売り上げを伸ばしている。 ここ数年は医療現場でAIの需要が高まっており、 GPUとCPUを組み合わせて画像処理能力を高めた「スマート・メディカルAI」と呼ぶPCシリーズの開発に力を入れている。 人の命に関わる分野だけに性能もさることながら、 とにかく安定して動くことを重要視しており、内視鏡画像診断支援のEndoBRAINシステムにも採用。 医療用PCタブレットを開発するMACTRONは、 アタッチメントを取り換えてカメラやカードリーダーなどの機能を追加できる「MMS0700」を展示。 用途によってデバイスを使い分けるより、本体の操作を共通とし、 ニーズに応じて追加操作をおぼえる方が汎用性が高く、故障にも対応しやすい。 こうした発想の柔軟さも、台湾製品の特徴と言えるかもしれない。 医療現場で使用されるタブレットや検査機器、カメラなども台湾で多く製造されている。 安くて高性能なデジタル機器を開発できることがポイントで、中国との競争がますます激化しそうだ。 ●スマホの展示をやめたパソコンメーカーが力を入れるデジタルヘルス市場 多くのIT企業がヘルスケア分野へ参入を進める中、 台湾の大手PCメーカーASUSも本格的な取り組みを見せている。 ハンディタイプの超音波診断装置は、インテリジェントIoTとAI技術を搭載し、 8つのモードで高解像度の画像をリアルタイムで確認できる。 WindowsやiOSにも対応する汎用性の高さもさることながら、 使用する際に患者へ威圧感を与えないようデザインをライトにしているところが特徴。 体重から血圧、血糖値まで生活習慣に関わる複数のデータが測定できるオールインワンの装置であるヘルスハブは、 医療サービスだけでなく、家庭や職場でも使いやすい直感的なインターフェイスを備えている。 ビデオ会議機能を搭載しているので、遠隔でも使用でき、既存のシステムとも連携しやすい。 利用者に問題があった場合に通知する機能もあり、 導入によって看護スタッフの生産性が最大で12.5%向上したという数字も出ている。 デジタル聴診器は複数のメーカーから発売されているが、 ASUSのデジタル聴診器は手軽で使いやすく、モバイル機器と組み合わせて、いつでもどこでも使えるようにしている。 ASUSが開発するスマートウォッチ「VivoWatch」は、 健康やフィットネスに関するモニタリングができるヘルストラッカーとして売り出している。 心拍数、睡眠、血中酸素飽和度、ストレス解消指数などが計測でき、 展示されていた最新バージョンでは時計のフチにあるセンサーを指で押さえることで、 医療レベルの心電図が測定できるという。 測定には少しコツが必要だったが、通常で10日間充電無しで使える点はヘルストラッカーとしてポイントが高い。 さらに手軽なバンドタイプもリリースを予定している。 ヘルストラッカー機能を高めたスマートウォッチは、10日間のバッテリー充電無しで使用できる。 https://medicalai.m3.com/news/230624-report-taipei