2020年12月22日 (火)配信北國新聞
金大は21日、同大がん進展制御研究所/ナノ生命科学研究所の矢野聖二教授らの研究グループが、
肺がん細胞が分子標的薬に抵抗して生き延びるメカニズムを新たに解明した。
がん細胞の増加を抑える遺伝子「TP53」が変異し、機能が低下することで薬が効きにくくなる。
研究グループは、この効きづらさを解消する新たな治療法を確認しており、根治へ研究進展が期待。
「ALK」と呼ばれる遺伝子が、他の遺伝子と融合して生じる「ALK融合遺伝子陽性肺がん」を対象に調べた。
ALKには「アレクチニブ」という分子標的薬が有効だと分かっている。
研究グループが、ALK融合遺伝子陽性肺がんでTP53に変異がある患者とない患者を比較すると、
アレクチニブの効果の持続期間は変異のある方が短いと分かった。
さらに細胞死を促進するタンパク「ノキサ」に着目。
ノキサが蓄積するよう「プロテアソーム阻害薬」を使えば、TP53に変異があっても効果が維持されることを確認。
動物実験では、アレクチニブにプロテアソーム阻害薬を併用することで、治療に抵抗性のあった腫瘍を小さくすることに成功した。
矢野教授は「実用化へ製薬会社との共同研究を進めたい」