2021年1月7日木曜日

糖尿病治療や症状悪化が膵臓がん発見のヒントに 東北大

2021年1月6日 (水)配信河北新報 糖尿病の診断や症状悪化が、膵臓がん発見の手掛かりになることが、東北大の研究グループの分析で分かった。 膵臓がんの発見につながることが多い黄疸や腹痛などの症状が出た後の診断より、 生存期間が2倍以上長く、手術可能な症例が多かった。 糖尿病は膵臓がんの危険因子とされ、糖尿病患者の膵臓がんリスクは一般患者の約2倍とされる。 大学院医学系研究科の正宗淳教授(消化器内科)らは、 東北大病院で膵臓がんと診断された489例の診断のきっかけと、治療後の経過を調べた。 黄疸などの症状があった318例のうち、比較的早期の膵臓がんは8%で、手術可能な例は27%。 一方、無症状で糖尿病の診断や症状悪化で見つかった53例は約40%が比較的早期で、手術可能な例は約60%。 無症状で検診などで偶然見つかった118例の35%が比較的早期で、68%が手術可能。 症状があった患者の平均生存期間が約11カ月だったのに対し、糖尿病患者は26カ月。 偶然に見つかった患者の29カ月と同程度だった。 新規の糖尿病で膵臓がんを合併した症例には、 (1)70代以上 (2)診断前に肥満がない (3)体重減少―などの特徴がある。 正宗教授は、「どの患者に膵臓がんの精密検査を行うかを詳細に検討し、治療成績の向上につなげたい」