2022年7月26日火曜日
BA.5を含むオミクロン株に対する新型コロナ治療薬の効果の検証結果
医療ニュース2022年7月25日 (月)
東京大学医科学研究所は7月21日、臨床検体から分離した
新型コロナウイルス・オミクロン株 BA.2.12.1、BA.4、BA.5系統に対する治療薬の効果を検証し、その結果を発表。
この研究は、同研究所ウイルス感染部門の河岡義裕特任教授らと国立感染症研究所、
国立国際医療研究センターが共同で行ったもの。
研究成果は、「New England Journal of Medicine」に掲載。
2021年末から始まった新型コロナウイルス変異株・オミクロン株の流行は現在も続いている。
オミクロン株は、5つの系統(BA.1、BA.2、BA.3、BA.4、BA.5)に分類。
オミクロン株の流行が始まってから数か月間は、BA.1系統に属する株が世界の主流だったが、
その後BA.2系統への置き換わりが進み、同系統が世界の主流となっている。
7月以降、国内を含む多くの国々でBA.2系統からBA.5系統への置き換わりが急速に進んでいる。
海外では、BA.2系統からBA.4系統あるいはBA.2.12.1系統への置き換わりが進んでいる地域がある。
国内では、カシリビマブ・イムデビマブ(製品名:ロナプリーブ注射液セット)、
ソトロビマブ(製品名:ゼビュディ点滴静注液)の抗体薬、レムデシビル(製品名:ベクルリー点滴静注液)、
モルヌピラビル(製品名:ラゲブリオ)、ニルマトレルビル・リトナビル(製品名:パキロビッドパック)の
抗ウイルス薬が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬として承認を受けている。
これらの治療薬が、オミクロン株のBA.2.12.1、BA.4、BA.5の各系統に対して有効かどうかについては明らかではなかった。
●抗体薬は種類により効果に差、ベブテロビマブは各系統いずれに対しても高い中和活性
研究グループは始めに、4種類の抗体薬(ソトロビマブ、ベブテロビマブ、カシリビマブ・イムデビマブ、
チキサゲビマブ・シルガビマブ)が、オミクロン株のBA.2.12.1、BA.4、BA.5の各系統の感染を阻害(中和活性)するかどうかを調べた。
各系統に対する中和活性は、ソトロビマブではどの系統に対しても著しく低いことがわかった。
カシリビマブ・イムデビマブとチキサゲビマブ・シルガビマブは、いずれに対しても中和活性を維持していることが判明。
カシリビマブ・イムデビマブのBA.2.12.1、BA.4、BA.5の各系統に対する効果は、
従来株(中国武漢由来の株)に対する効果と比較すると著しく低い。
チキサゲビマブ・シルガビマブの効果も、従来株に対する効果と比較すると低下。
ベブテロビマブは、各系統いずれに対しても高い中和活性を示し、
その効果は従来株に対するそれと同等であることがわかった。
●抗ウイルス薬3種はいずれも、各系統の増殖を抑制
3種類の抗ウイルス薬(レムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル)の効果を解析した結果、
全ての薬剤がBA.2.12.1、BA.4、BA.5の各系統の増殖を効果的に抑制することがわかった。
「得られた成果は、医療現場における適切なCOVID-19治療薬の選択に役立つだけでなく、
オミクロン株の各系統のリスク評価など、行政機関が今後の新型コロナウイルス感染症対策計画を策定、実施する上で、重要な情報となる」。
https://www.m3.com/clinical/news/1062851
新型コロナ「貼るだけ」で診断、東大がパッチデバイス
2022年7月7日(木)
東京大学の研究チームは、従来の注射針を用いた採血に代えて、
低侵襲(無痛)で、皮膚に貼るだけで抗体検出ができる、新しいパッチ型抗体検出デバイスを開発。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体の検出に同デバイスを適用したところ、
市販の検査キットと同等以上の感度を実現したとしており、今後、ヒトへの臨床応用を検証し、実用化を進める。
同デバイスは、生分解性多孔質マイクロニードルと、液体を滴下することで抗原や抗体の有無を検査できる
イムノクロマト・バイオセンサーで構成されている。
多孔質マイクロニードルが皮膚に刺さると、毛細管現象により、
連続した微細孔を通して細胞間質液が採取されてセンサーに運ばれる。
センサーで抗体が捕捉されると、色のついた線で表示されるため目視で読み取ることが可能となる仕組みである。
デバイスに装備する多孔質マイクロニードルは、生体分解性のポリ乳酸を使用して独自に製作。
動物実験により、ラットの皮膚から細胞間質液を迅速に抽出できることと、
マイクロニードルを除去した後で速やかに皮膚が元の状態に回復したことを確認した。
新型コロナウイルス感染症の感染経過を調べるために、
PCR検査などの補完として、新型コロナウイルスに対する抗体の検査が用いられている。
検査のための採血には痛みを伴うほか、針による感染の危険性があるといった問題がある。
今回開発したデバイスは、小型、低侵襲で簡単に使用できるため、
さまざまな感染症の迅速なスクリーニングへの応用が期待される。
研究成果は、国際学術誌サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)のオンライン版で、2022年7月1日付けで公開。
https://medicalai.m3.com/news/220707-news-mittr?dcf_doctor=false&portalId=mailmag&mmp=AI220715&mc.l=878018086
2022年7月7日木曜日
唾液中タンパクが感染防止 高齢者の重症化と関連か コロナ、大阪公立大
2022年7月7日 (木)配信共同通信
大阪公立大のチームは6日、唾液に含まれる特定のタンパク質に、
新型コロナウイルスの感染を防ぐ働きがあることが分かったと国際科学誌に発表。
加齢に伴って唾液の分泌量が減少している高齢者の発症や重症化に関連している可能性がある。
チームの松原三佐子准教授(細胞分子生物学)は、
「感染予防薬の開発につなげたい」としている。
チームによると、唾液の分泌量は乳幼児ほど多く、高齢になるにつれて減少。
感染防止の役割を果たすタンパク質の量も同様に減少するとみられる。
新型コロナは、ウイルス表面の突起「スパイクタンパク質」と、
人の細胞表面にある受容体タンパク質が結合することで感染する。
チームは、人の細胞に薄めた唾液を加え、新型コロナと感染の仕組みが同じ別のウイルスを振りかけて分析。
唾液の濃度が高くなるほど、ウイルスと細胞表面の受容体が結合しにくくなることが分かった。
チームは、人の受容体と結合する唾液中のタンパク質を4種類特定。
中でも「ヒストンH2A」と「好中球エラスターゼ」の二つが、
両者の結合を防止する働きが特に強いことも判明した。
松原准教授は「ウイルスを攻撃する薬ではなく、
私たちの体がもともと持っている力に着眼した薬の開発を目指したい」
https://www.m3.com/news/general/1057666
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