2021年10月21日 (木) 京都新聞
ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)で作った免疫細胞「キラーT細胞」に高い増殖力を持たせることに成功したと、
京都大iPS細胞研究所が発表。
がん免疫療法などに役立つ可能性がある。
国際科学誌モレキュラー・セラピーに掲載。
免疫細胞を体外で培養し移植する手法は近年、がんなどの新たな治療法として注目される一方、
培養過程で細胞の老化や疲弊によって増殖力が低下していくことが課題だった。
これまでもiPS細胞で若いキラーT細胞を作ることはできたが、増殖力を十分に担保するのは難しかった。
同研究所の金子新教授らは、iPS細胞からキラーT細胞に分化誘導する際に生理活性物質
「インターロイキン21」などを加えることで、成熟度が初期段階にあたる活発なキラーT細胞を作製。
細胞の増殖力を調べたところ、iPS細胞の元となったT細胞に比べて千倍以上に増え、
マウス体内での残存期間も大幅に改善した。
がんのモデルマウスに移植すると腫瘍の成長を抑え、
何も移植しない場合より生存日数が少なくとも20日以上長くなった。
金子教授は「iPS細胞を使うことで、若くて活発な免疫細胞を大量に作ることが可能になった。
移植時の合併症リスクも軽減できる。今後は臨床応用につなげていきたい」
https://www.m3.com/news/general/976896