サイエンスポータル 2019年12月12日
産業技術総合研究所(産総研、中鉢良治理事長)が
福祉用具・介護用品の総合メーカーと共同で、
転倒を防止する機能を持つロボット歩行車の試作機を開発。
今後も実証実験を続けて、2021年2月までに実用化を目指す。
歩行車は、リハビリ施設や高齢者が街中を歩行する場面でよく見かけるが、
高齢者が転倒すると骨折して寝たきりになるケースも多い。
実用化すれば、転倒しにくく安全に移動できて高齢者らが安心して使える
新しいタイプの歩行車が誕生すると期待。
これまでの歩行車は、利用者の転倒を防止する機能を備えておらず、
利用者が歩行車から手を離して転倒したり、
歩行車ごと転倒するリスクがあった。
高齢者が転倒して骨折すると、、回復まで時間がかかって、
その間筋力が低下してそのまま要介護者になる場合も少なくない。
介護施設などでは、転倒リスクを減らすために要介護者が移動する際は
車いすを用いることが多い。
車いすの多用により、要介護度が重度化する「作られた寝たきり」が
増える傾向にあることが問題。
産総研によると、2003年に370万人だった要介護者数は、
2017年には630万人に増加。
産総研と共同で開発したのは、福祉用具・介護用品の総合メーカーの
幸和製作所(大阪府堺市、玉田秀明社長)。
両者はそれぞれの得意分野で協力して、
転倒防止機能を備えたロボット歩行車の開発を目指した。
産総研のロボットイノベーション研究センターは、
人体や歩行車の動作モデルに基づいた転倒動作シミュレーション技術と、
高齢者の代わりとなる人形「人型ダミー」を考案。
幸和製作所と共同で、転倒防止機能を持つロボット歩行車の開発を進めた。
産総研と幸和製作所は、
(1)利用者が歩行車ごと転倒しない安定性と、
利用者が要介護高齢者でも使える操作性を両立する
(2)トイレなどの狭い場所でも利用可能なこと
(3)転倒リスクは車椅子で移動する場合と同等以下
(4)歩行中は介助なしで利用できること―などを設計基準に設定。
転倒動作シミュレーションに基づいて設計し、
利用者の転倒につながるさまざまな動きを人型ダミーにさせる実験などを
繰り返して転倒をしっかり防止できるロボット歩行車の試作機を完成させた。
試作機はバッテリーを搭載し、幅、奥行き約60cm、高さ約80~約100cm。
移動用車輪は、左右3つずつ計6つ。
歩行がたどたどしい利用者の左右の足のそばに車輪を配置し、
転倒につながるわずかな力に応じて駆動輪が回転する。
例えば、利用者がバランスを崩して後方に倒れそうになると、
歩行車がすぐに後方に動いて転倒を防ぐ。
転倒を防止する機構の開発は、幸和製作所が担当。
人型ダミーの位置や姿勢を変更するなど、
さまざまな条件での転倒実験でも人型ダミーが歩行車から落下する場合は
一度もなかった。
産総研などの開発グループは、
今回開発した歩行車の利用により、転倒リスクがある要介護者が
安全に歩くことが可能となり、要介護度の重度化を予防する
自立支援介護や総介護費用増加の抑制が期待される。
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/12/20191212_01.html
2019年12月12日木曜日
2019年12月4日水曜日
高校野球、スピード感増す負担軽減策 暑さ対策には課題
2019年11月30日 (土)配信朝日新聞
高校野球における選手の負担軽減策は近年、
導入へのスピード感が上がってきた。
夏の甲子園で出場校投手に対する「肩・ひじの検査」が始まったのが、
1993年の第75回大会。
投手の投球数について、日本高校野球連盟で議論がかわされ始めたのは、
2013年春の第85回選抜大会が終わった直後。
準優勝した愛媛・済美の2年生エースだった安楽智大投手
(現プロ野球楽天)が、9日間の5試合で772球を投げ、
選手の健康管理をめぐって国内外で論争が巻き起こっていたとき。
以降、選手の健康管理への取り組みは進んだ。
13年からは夏の甲子園大会で休養日が設けられ、
18年春からは甲子園でタイブレーク制が採り入れられた。
全国選手権において、延長戦を十八回で打ち切る規定ができたのは、
1958年の第40回大会。
2000年に、十五回に短縮されるまで42年かかった。
それからタイブレーク制導入までは18年を要した。
それらに比べ、投球数制限の導入にかかった期間は短い。
昨年12月、新潟県高野連が1試合100球という独自の投球数制限を
春季県大会で導入しようとしたことをきっかけに、日本高野連は動きだした。
今年4月、「投手の障害予防に関する有識者会議」を設け、
約7カ月で一つの結論を出した。
安楽投手の投球数が問題視されてからは7年弱だ。
今夏の第101回大会では休養日が増え、計2日間に。
選抜大会も来春から、同様に休養日を増やす。
一方で、年々過酷になる夏の暑さ対策や、
連投を完全になくす大会日程の工夫など、
選手の体を守る課題はまだ残っている。
■日本高校野球連盟の新たな取り組み
【投球数制限】
●1週間計500球以内。登板中に達した場合、その打者の完了まで投球可
●来春から日本高野連、都道府県高野連主催の公式戦で導入
●降雨などで試合が続行不可能になり、ノーゲームとなった試合も、投球数はカウント
【3連戦回避】
●選抜、全国選手権大会、明治神宮大会、都道府県高野連主催の大会などで実施
●回避できない都道府県は、事前に日本高野連に届け出る
●国体は2021年の三重国体からの実施を目指す
【3年後の見直しに向けて】
●夏の選手権地方大会から投手別の投球データを収集
●夏の選手権地方大会でも準々決勝、準決勝後に投手の関節機能検査の実施を検討
https://www.m3.com/news/general/713861
高校野球における選手の負担軽減策は近年、
導入へのスピード感が上がってきた。
夏の甲子園で出場校投手に対する「肩・ひじの検査」が始まったのが、
1993年の第75回大会。
投手の投球数について、日本高校野球連盟で議論がかわされ始めたのは、
2013年春の第85回選抜大会が終わった直後。
準優勝した愛媛・済美の2年生エースだった安楽智大投手
(現プロ野球楽天)が、9日間の5試合で772球を投げ、
選手の健康管理をめぐって国内外で論争が巻き起こっていたとき。
以降、選手の健康管理への取り組みは進んだ。
13年からは夏の甲子園大会で休養日が設けられ、
18年春からは甲子園でタイブレーク制が採り入れられた。
全国選手権において、延長戦を十八回で打ち切る規定ができたのは、
1958年の第40回大会。
2000年に、十五回に短縮されるまで42年かかった。
それからタイブレーク制導入までは18年を要した。
それらに比べ、投球数制限の導入にかかった期間は短い。
昨年12月、新潟県高野連が1試合100球という独自の投球数制限を
春季県大会で導入しようとしたことをきっかけに、日本高野連は動きだした。
今年4月、「投手の障害予防に関する有識者会議」を設け、
約7カ月で一つの結論を出した。
安楽投手の投球数が問題視されてからは7年弱だ。
今夏の第101回大会では休養日が増え、計2日間に。
選抜大会も来春から、同様に休養日を増やす。
一方で、年々過酷になる夏の暑さ対策や、
連投を完全になくす大会日程の工夫など、
選手の体を守る課題はまだ残っている。
■日本高校野球連盟の新たな取り組み
【投球数制限】
●1週間計500球以内。登板中に達した場合、その打者の完了まで投球可
●来春から日本高野連、都道府県高野連主催の公式戦で導入
●降雨などで試合が続行不可能になり、ノーゲームとなった試合も、投球数はカウント
【3連戦回避】
●選抜、全国選手権大会、明治神宮大会、都道府県高野連主催の大会などで実施
●回避できない都道府県は、事前に日本高野連に届け出る
●国体は2021年の三重国体からの実施を目指す
【3年後の見直しに向けて】
●夏の選手権地方大会から投手別の投球データを収集
●夏の選手権地方大会でも準々決勝、準決勝後に投手の関節機能検査の実施を検討
https://www.m3.com/news/general/713861
指導者「小中学生も含め考える必要」 球数制限導入
2019年11月30日 (土)配信朝日新聞
有識者会議で座長を務めた中島隆信・慶大商学部教授は、
「スピード感をもって決定がなされた」と、今回の決定を歓迎。
すでに甲子園大会では、多くの学校がクリアしている基準ではあるが、
「できることから始めるという意味では、
組織の『本気モード』を見せることができたのでは」と、
具体的な内容へ踏み込んだ決定を評価。
今後についても、「組織として、安心して野球ができる土壌を作る方向に
かじを切ったという空気が生まれるのでは。
練習方法や指導者のライセンス制度など、
考えるべき課題がたくさんあるなかで、
周囲の支援や後押しにつながる流れになってほしい」と
議論の進展へ期待を込めた。
一方、現場の指導者からは、歓迎や不安などさまざまな意見も。
今夏の全国王者・履正社(大阪)の岡田龍生監督は、
「大阪は秋や春、学校のグラウンドで公式戦をやることもある。
運営が大変だなと思う。
高校入学までに故障している選手もいるので、
小中学生も含めて考えることが必要」
昨夏の全国高校野球選手権で準優勝した県立高の金足農(秋田)の
中泉一豊監督は、「課題がたくさんあるなか、対応は早いほうがいい。
救われる選手もいると思う」と歓迎する一方、不安も吐露する。
「野球が変わり、チーム作りの方向性も変えなければいけなくなる。
子どもたちの気持ちに寄り添えるように考えたい」
花咲徳栄(埼玉)の岩井隆監督は、
「100年も続いた大会で、新しいことをやるというのは大きな決断」と評価。
議論の方向性を考える上で、医療との深い連携を提案。
「今の日本は、スポーツと医療の関係が遅れている。
野球部にお医者さんがいる高校のチームはほとんどない」
「実は医療とタイアップすれば、『この選手は500球以上いけるが、
この選手は300球でも危ない』と、個別に基準がつくれる。
指導者がもっと勉強して医療と連携し、深くスポーツと医学が
かかわって次のステップを考えていくべきだ」と、提言。
トレーナーをつけて、日頃から肩ひじの機能チェックをしているという
花巻東(岩手)の佐々木洋監督は、
「球数は一つの目安だが、個人差がある。
投げすぎで故障した選手もいれば、投げることで感覚を覚えた投手もたくさんいる。
『投げすぎ』のラインは、指導者が見極めなければいけない」と、
現場を預かる指導者の意識の重要性を強調した。
https://www.m3.com/news/general/713889
有識者会議で座長を務めた中島隆信・慶大商学部教授は、
「スピード感をもって決定がなされた」と、今回の決定を歓迎。
すでに甲子園大会では、多くの学校がクリアしている基準ではあるが、
「できることから始めるという意味では、
組織の『本気モード』を見せることができたのでは」と、
具体的な内容へ踏み込んだ決定を評価。
今後についても、「組織として、安心して野球ができる土壌を作る方向に
かじを切ったという空気が生まれるのでは。
練習方法や指導者のライセンス制度など、
考えるべき課題がたくさんあるなかで、
周囲の支援や後押しにつながる流れになってほしい」と
議論の進展へ期待を込めた。
一方、現場の指導者からは、歓迎や不安などさまざまな意見も。
今夏の全国王者・履正社(大阪)の岡田龍生監督は、
「大阪は秋や春、学校のグラウンドで公式戦をやることもある。
運営が大変だなと思う。
高校入学までに故障している選手もいるので、
小中学生も含めて考えることが必要」
昨夏の全国高校野球選手権で準優勝した県立高の金足農(秋田)の
中泉一豊監督は、「課題がたくさんあるなか、対応は早いほうがいい。
救われる選手もいると思う」と歓迎する一方、不安も吐露する。
「野球が変わり、チーム作りの方向性も変えなければいけなくなる。
子どもたちの気持ちに寄り添えるように考えたい」
花咲徳栄(埼玉)の岩井隆監督は、
「100年も続いた大会で、新しいことをやるというのは大きな決断」と評価。
議論の方向性を考える上で、医療との深い連携を提案。
「今の日本は、スポーツと医療の関係が遅れている。
野球部にお医者さんがいる高校のチームはほとんどない」
「実は医療とタイアップすれば、『この選手は500球以上いけるが、
この選手は300球でも危ない』と、個別に基準がつくれる。
指導者がもっと勉強して医療と連携し、深くスポーツと医学が
かかわって次のステップを考えていくべきだ」と、提言。
トレーナーをつけて、日頃から肩ひじの機能チェックをしているという
花巻東(岩手)の佐々木洋監督は、
「球数は一つの目安だが、個人差がある。
投げすぎで故障した選手もいれば、投げることで感覚を覚えた投手もたくさんいる。
『投げすぎ』のラインは、指導者が見極めなければいけない」と、
現場を預かる指導者の意識の重要性を強調した。
https://www.m3.com/news/general/713889
高齢者「粗食」より「肉食」、たんぱく質の摂取がカギ…フレイル講座第1部<上>
2019年12月2日 (月)配信読売新聞
年齢とともに食が細れば、筋力が低下し、
やがては出かけるのも面倒になって、ひきこもりがちに――。
早いうちにフレイルになってしまわないための予防策として、
まずは「食」に注目する。
栄養バランスに気をつけるのは当然として、
特にたんぱく質を豊富に含む「肉」がカギを握っている。
シニアの食をテーマにした料理教室「健康寿命をのばす元気ごはん」が
横浜市内で開かれた。
メイン料理は、「鶏むね肉のクリスピー焼き」。
鶏むね肉は安価だが、肉の中でも良質なたんぱく質を多く含む。
シニアに不足しがちなたんぱく質を補い、低栄養を防ぐ狙い。
「鶏、豚、牛、なんでも食べるよう心がけている。
なるべく長く元気でいたいから」。
北川澄代さん(76)は、夫に先立たれ、2年ほど前から独り暮らし。
6年前に心臓の手術をし、食事には人一倍気を付けている。
魚や野菜とバランスを取りながら、肉も週に300gは食べる。
主催する「ベターホーム協会」(東京)は、全国で料理教室を展開、
シニア対象の教室も開いている。
フレイル予防につながる肉料理も積極的に紹介、
一食でたんぱく質を30g程度摂取しながら、塩分は3g以下に抑えるよう工夫。
東京都健康長寿医療センター研究所の新開省二・副所長は、
「年をとったら粗食がいい、と考えている高齢者は少なくない。
でもそれは間違い。
フレイルを防ぐには、肉も敬遠せずに食べることが大切だ」
◆フレイル予防、まずは知識から
JR甲府駅前で、オレンジ色のTシャツを着た栄養士や看護師らが
高齢者に呼びかけ、筋肉量や食べ物をのどの奥に送る力を示す
舌圧の測定などが行われた。
医療関係者がつくる一般社団法人「WAVES Japan」(東京)の取り組み。
最近、やせてきて体力の低下を感じていた内藤和子さん(75)は、
スタッフから「低栄養です。たんぱく質もしっかりとりましょう」と助言。
肉があまり好きではなく、たくさん食べられないのが悩みといい、
「自分の力で生活していきたいが、体力が落ちてきて不安だった。
現状をチェックしてもらい、改めて、お肉もあと2口多く食べようと思えた」
同法人は2015年から、全国でこうしたイベントを計30回開催、
参加者は計1万5000人。
発起人の藤田医科大学(愛知)の東口高志教授は、
「高齢者は、圧倒的にたんぱく質が足りない。
栄養について知識を得てもらうことが、フレイル予防に大きな効果がある」
◆食べるためには、口や歯が大切
「80歳になっても肉をしっかり食べて、健康寿命を延ばそう」
そんなスローガンを掲げるのは、千葉県歯科医師会。
昨年、フレイル予防のための「8029(ハチマル肉)運動」をスタートさせた。
イベントに参加した本田セツさん(84)は、
骨密度や口腔機能のチェックをした後、
会場で振る舞われたローストポークをおいしそうにほおばった。
3日に1度は、カレーや煮物など肉を取り入れた料理を食べるといい、
「いつまでも、しっかりお肉を食べるためにも、
口や歯の力が衰えないように気を付けないと」
厚生労働省が今年示した食事摂取基準の改定案でも、
高齢者について、肉や魚などのたんぱく質を多く摂取する重要性を強調。
65歳以上は、毎日、体重1kgあたり1g以上のたんぱく質をとることが望ましい。
老化を防ぐ食事を研究している「全国食支援活動協力会」理事の熊谷修さんは、
「魚にもたんぱく質は豊富だが、肉は油の一種である飽和脂肪酸が多く、
少量でもエネルギーとたんぱく質の両方を効率よく摂取できる。
肉を食べると、栄養状態の指標であるアルブミン(血中の主要たんぱく質)の
数値も上昇する。
高齢者はむしろ、積極的に肉や油を取り入れた方がいい」
◆たんぱく質、魚や大豆製品などからも
▽東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢教授
フレイルは、加齢に伴って心身が衰える状態。
栄養と運動、社会参加を意識し、予防や改善を進めてほしい。
退職したり、子供が独立したりすると、
高齢者は社会とのつながりが薄れる。
入院などで寝たきりのような生活をすると、
普通ならば7年かけて落ちていく筋肉が、わずか2週間で失われる。
筋肉の維持に、材料となるたんぱく質が大事であることは知っている。
朝ご飯の献立を聞くと、白身魚を数口分と、みそ汁の豆腐だけが多い。
たんぱく質を取ってはいますが、量が足りない。
たんぱく質は1日に、体重1kgあたり1g以上とされるが、
実際は1・2~1・5g取ってほしい。
60kgの人で70~90g。
ステーキ200gに35g程度含まれ、1日に2枚食べるのは難しい。
魚、大豆製品など多くの種類から取ってください。
卵はお薦め。
メタボ健診(特定健診)が定着し、食事の量は控えめが望ましい、という意識が浸透。
しかし高齢者の場合、やせている方が中肉中背より死亡の危険性が高い、
というデータがある。
「やせなければ」と過度に思う必要はない。
運動はスクワットのほか、山登りや坂歩きのように、
体がきついと感じる内容が、太ももを鍛えられて有効。
私たちの研究では、高齢者は運動だけをする人よりも、
囲碁・将棋などの文化活動と、ボランティアなどの地域活動を
両方している人の方が、フレイルになっている可能性が低い。
まずは、好きな活動を続けることが大事。
食事は1人より友人と一緒の方が、多く食べられる。
会話や雰囲気もおかずの一つ。
友人を積極的に作る努力をしましょう。
行政には、住民が参加しやすい地域づくりが求められる。
むせることが増える、かむ力が弱まる、といった口の働きの衰え
(オーラルフレイル)も見逃せない。
硬い肉を食べにくくなる、滑舌が悪化して交流を避けるようになる、
といった悪影響が出る。
気付かない間に進んでいるので、歯科医に診てもらってください。
https://www.m3.com/news/general/714074
年齢とともに食が細れば、筋力が低下し、
やがては出かけるのも面倒になって、ひきこもりがちに――。
早いうちにフレイルになってしまわないための予防策として、
まずは「食」に注目する。
栄養バランスに気をつけるのは当然として、
特にたんぱく質を豊富に含む「肉」がカギを握っている。
シニアの食をテーマにした料理教室「健康寿命をのばす元気ごはん」が
横浜市内で開かれた。
メイン料理は、「鶏むね肉のクリスピー焼き」。
鶏むね肉は安価だが、肉の中でも良質なたんぱく質を多く含む。
シニアに不足しがちなたんぱく質を補い、低栄養を防ぐ狙い。
「鶏、豚、牛、なんでも食べるよう心がけている。
なるべく長く元気でいたいから」。
北川澄代さん(76)は、夫に先立たれ、2年ほど前から独り暮らし。
6年前に心臓の手術をし、食事には人一倍気を付けている。
魚や野菜とバランスを取りながら、肉も週に300gは食べる。
主催する「ベターホーム協会」(東京)は、全国で料理教室を展開、
シニア対象の教室も開いている。
フレイル予防につながる肉料理も積極的に紹介、
一食でたんぱく質を30g程度摂取しながら、塩分は3g以下に抑えるよう工夫。
東京都健康長寿医療センター研究所の新開省二・副所長は、
「年をとったら粗食がいい、と考えている高齢者は少なくない。
でもそれは間違い。
フレイルを防ぐには、肉も敬遠せずに食べることが大切だ」
◆フレイル予防、まずは知識から
JR甲府駅前で、オレンジ色のTシャツを着た栄養士や看護師らが
高齢者に呼びかけ、筋肉量や食べ物をのどの奥に送る力を示す
舌圧の測定などが行われた。
医療関係者がつくる一般社団法人「WAVES Japan」(東京)の取り組み。
最近、やせてきて体力の低下を感じていた内藤和子さん(75)は、
スタッフから「低栄養です。たんぱく質もしっかりとりましょう」と助言。
肉があまり好きではなく、たくさん食べられないのが悩みといい、
「自分の力で生活していきたいが、体力が落ちてきて不安だった。
現状をチェックしてもらい、改めて、お肉もあと2口多く食べようと思えた」
同法人は2015年から、全国でこうしたイベントを計30回開催、
参加者は計1万5000人。
発起人の藤田医科大学(愛知)の東口高志教授は、
「高齢者は、圧倒的にたんぱく質が足りない。
栄養について知識を得てもらうことが、フレイル予防に大きな効果がある」
◆食べるためには、口や歯が大切
「80歳になっても肉をしっかり食べて、健康寿命を延ばそう」
そんなスローガンを掲げるのは、千葉県歯科医師会。
昨年、フレイル予防のための「8029(ハチマル肉)運動」をスタートさせた。
イベントに参加した本田セツさん(84)は、
骨密度や口腔機能のチェックをした後、
会場で振る舞われたローストポークをおいしそうにほおばった。
3日に1度は、カレーや煮物など肉を取り入れた料理を食べるといい、
「いつまでも、しっかりお肉を食べるためにも、
口や歯の力が衰えないように気を付けないと」
厚生労働省が今年示した食事摂取基準の改定案でも、
高齢者について、肉や魚などのたんぱく質を多く摂取する重要性を強調。
65歳以上は、毎日、体重1kgあたり1g以上のたんぱく質をとることが望ましい。
老化を防ぐ食事を研究している「全国食支援活動協力会」理事の熊谷修さんは、
「魚にもたんぱく質は豊富だが、肉は油の一種である飽和脂肪酸が多く、
少量でもエネルギーとたんぱく質の両方を効率よく摂取できる。
肉を食べると、栄養状態の指標であるアルブミン(血中の主要たんぱく質)の
数値も上昇する。
高齢者はむしろ、積極的に肉や油を取り入れた方がいい」
◆たんぱく質、魚や大豆製品などからも
▽東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢教授
フレイルは、加齢に伴って心身が衰える状態。
栄養と運動、社会参加を意識し、予防や改善を進めてほしい。
退職したり、子供が独立したりすると、
高齢者は社会とのつながりが薄れる。
入院などで寝たきりのような生活をすると、
普通ならば7年かけて落ちていく筋肉が、わずか2週間で失われる。
筋肉の維持に、材料となるたんぱく質が大事であることは知っている。
朝ご飯の献立を聞くと、白身魚を数口分と、みそ汁の豆腐だけが多い。
たんぱく質を取ってはいますが、量が足りない。
たんぱく質は1日に、体重1kgあたり1g以上とされるが、
実際は1・2~1・5g取ってほしい。
60kgの人で70~90g。
ステーキ200gに35g程度含まれ、1日に2枚食べるのは難しい。
魚、大豆製品など多くの種類から取ってください。
卵はお薦め。
メタボ健診(特定健診)が定着し、食事の量は控えめが望ましい、という意識が浸透。
しかし高齢者の場合、やせている方が中肉中背より死亡の危険性が高い、
というデータがある。
「やせなければ」と過度に思う必要はない。
運動はスクワットのほか、山登りや坂歩きのように、
体がきついと感じる内容が、太ももを鍛えられて有効。
私たちの研究では、高齢者は運動だけをする人よりも、
囲碁・将棋などの文化活動と、ボランティアなどの地域活動を
両方している人の方が、フレイルになっている可能性が低い。
まずは、好きな活動を続けることが大事。
食事は1人より友人と一緒の方が、多く食べられる。
会話や雰囲気もおかずの一つ。
友人を積極的に作る努力をしましょう。
行政には、住民が参加しやすい地域づくりが求められる。
むせることが増える、かむ力が弱まる、といった口の働きの衰え
(オーラルフレイル)も見逃せない。
硬い肉を食べにくくなる、滑舌が悪化して交流を避けるようになる、
といった悪影響が出る。
気付かない間に進んでいるので、歯科医に診てもらってください。
https://www.m3.com/news/general/714074
入れ歯の手入れ、毎日必要 怠れば肺炎リスク3割増 「医療新世紀」
2019年12月3日 (火)配信共同通信社
入れ歯(義歯)の清掃を毎日しない人は、する人に比べ、
過去1年間の肺炎発症のリスクが1・3倍に高まったと、
東北大大学院歯学研究科の相田潤准教授らのグループが発表。
日本の高齢者の実態を多面的に研究するために続けられている
プロジェクト「日本老年学的評価研究(JAGES)」の2016年調査のデータを分析。
肺炎は高齢者の死因の上位を占め、
その大部分は「誤嚥(ごえん)性肺炎」だ。
加齢で物をのみ込む嚥下(えんげ)機能が低下すると、
食道に入るべき唾液や飲食物が気管に入ってしまうことがある。
その際、一緒に細菌が入り込むと肺炎の発症につながる。
予防のために、口の中を清潔に保つケアの重要性が指摘されている。
グループは、要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者のうち、
入れ歯を使っている7万1千人余りを対象に、
清掃の頻度と過去1年間の肺炎発症の有無を調べた。
入れ歯を毎日清掃する人の肺炎発症率は2・3%だったのに対し、
毎日はしないという人は3・0%で、リスクは1・3倍に上昇。
75歳以上に限ると、毎日する人の2・9%に対し、
毎日はしない人が4・3%で、リスクは1・58倍とさらに差が開いた。
入れ歯の表面には、「デンチャープラーク」と呼ばれる細菌などから成る
有機物が付着しており、これが誤嚥で肺に到達する可能性がある。
グループは、「毎日の入れ歯の手入れが、肺炎予防につながる。
歯科医院で定期的に入れ歯の状態をチェックしたり、
家庭で取れない歯石などの入れ歯汚れを除去してもらったりすることも大切だ」
https://www.m3.com/news/general/714366
入れ歯(義歯)の清掃を毎日しない人は、する人に比べ、
過去1年間の肺炎発症のリスクが1・3倍に高まったと、
東北大大学院歯学研究科の相田潤准教授らのグループが発表。
日本の高齢者の実態を多面的に研究するために続けられている
プロジェクト「日本老年学的評価研究(JAGES)」の2016年調査のデータを分析。
肺炎は高齢者の死因の上位を占め、
その大部分は「誤嚥(ごえん)性肺炎」だ。
加齢で物をのみ込む嚥下(えんげ)機能が低下すると、
食道に入るべき唾液や飲食物が気管に入ってしまうことがある。
その際、一緒に細菌が入り込むと肺炎の発症につながる。
予防のために、口の中を清潔に保つケアの重要性が指摘されている。
グループは、要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者のうち、
入れ歯を使っている7万1千人余りを対象に、
清掃の頻度と過去1年間の肺炎発症の有無を調べた。
入れ歯を毎日清掃する人の肺炎発症率は2・3%だったのに対し、
毎日はしないという人は3・0%で、リスクは1・3倍に上昇。
75歳以上に限ると、毎日する人の2・9%に対し、
毎日はしない人が4・3%で、リスクは1・58倍とさらに差が開いた。
入れ歯の表面には、「デンチャープラーク」と呼ばれる細菌などから成る
有機物が付着しており、これが誤嚥で肺に到達する可能性がある。
グループは、「毎日の入れ歯の手入れが、肺炎予防につながる。
歯科医院で定期的に入れ歯の状態をチェックしたり、
家庭で取れない歯石などの入れ歯汚れを除去してもらったりすることも大切だ」
https://www.m3.com/news/general/714366
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