2022年10月4日火曜日
つまみを回す指の本数の研究でイグ・ノーベル賞を受賞した千葉工業大教授の松崎元さん 「時の人」
2022年10月3日 (月)配信共同通信社
水道の蛇口など「つまみ」を回す時、人は何本の指を使うのか―。
つまみの太さで本数を無意識に変えると証明した実験結果が評価され、
ユーモラスな独自の研究に贈られる今年の「イグ・ノーベル賞」に輝いた。
手を触れなくても水が出る洗面台やタッチパネルが増える中、
蛇口のハンドルやドアノブが少数派となる日も遠くない。
自らの研究を「時代遅れ」とし、
「受賞は不思議な感じ。誰も気にしないことを真面目に研究したのが評価されたのかな」と控えめだ。
工学系のデザイナーを志望して、千葉工業大に入学。
大学院に進んでから目を付けたのは、さまざまなサイズや形状がある蛇口だった。
「本当に指に合って使いやすい形はどれだろう」。
探求の日々が始まった。
実験では、つまみを模した直径の異なる円柱を多数用意し、被験者につかんで回してもらった。
直径が約1センチ、約2・5センチと大きくなるごとに使う指が増え、
9センチになるとほぼ全員5本だった。
大学で教壇に立ちながら、機能的な日用品を開発するプロダクトデザイナーとしても活躍し多忙を極める。
「きれいでかわいいものではなく、使いやすいものを」。
計量カップとしても利用できる紙コップや、握りやすいかばんの持ち手の開発にも携わってきた。
受賞を機に、蛇口メーカーから新製品のデザインの依頼も絶えない。
1999年に発表した論文が再び日の目を見たことに、「改めて研究もしっかり頑張らないと」と襟を正した。
東京都出身、50歳。
https://www.m3.com/news/general/1083425
ノーベル医学生理学賞、沖縄科学技術大学院大学の客員教授に
2022年10月3日 (月)配信m3.com編集部
スウェーデンのカロリンスカ研究所は10月3日、
2022年のノーベル医学生理学賞の受賞者をスバンテ・ペーボ氏に授与すると発表。
古代人と人類の進化に関するゲノム解析に関する研究が評価。
2018年の本庶佑・京都大特別教授以来、4年ぶりの日本人研究者の受賞は残念ながら逃したが、
ペーボ氏は沖縄科学技術大学院大学(OIST)のヒト進化ゲノミクスユニットの客員教授を務める。
スバンテ・ペーボ氏は、1955年ストックホルム生まれ。
ドイツのミュンヘン大学、マックス・プランク研究所などで研究に従事。
古代骨を用いてDNA解析を行い、ヒトの先祖のDNA配列を明らかにしてきた。
2010年、ネアンデルタール人のゲノムを解読したことや、
新系統のヒト属、「デニソワ人」を発見したこと等が評価された。
2020年にはJapan Prizeを受賞。
●ネアンデルタール人のゲノム解析に成功
カロリンスカ研究所のプレスリリースによると、
ホモ・サピエンスに最も近いとされるネアンデルタール人は、
約40万年前から約3万年前までヨーロッパと西アジアに住んでいたが絶滅した。
約7万年前、ホモ・サピエンスがアフリカから中東に移動し、そこから世界に広がっていった。
同時期にユーラシア大陸で共存していたホモ・サピエンスとネアンデルタール人がどう異なるのか、
考古学上の長年の課題だった。
これを知るには、古代の標本から回収したゲノムDNAの配列決定が必要だ。
長年が経過したDNAは細かい断片になっていたり、現代人のDNAで汚染されていたりするため、
現代の遺伝学的手法で解読するのは困難だ。
1990年、ペーボ氏はネアンデルタール人のミトコンドリアから採取したDNAを使用して分析を開始した。
ミトコンドリアゲノムは何千ものコピーがあるため成功確率が高いと言い、DNAの配列の決定に成功した。
ペーボ氏はさらに解析方法の改善を続け、2010年にネアンデルタール人のゲノム配列を発表した。
●新たなヒト属「デニソワ人」の発見
2008年、シベリア南部のデニソバ洞窟で、4万年前の指の骨の断片が発見された。
ペーボ氏は、非常に保存状態が良かったこの骨のDNAの塩基配列を決定した。
その結果、現生人類やネアンデルタール人といった既に知られているヒト属動物のいずれとも異なることが分かった。
新たなヒト属の発見だった。
ペーボ氏は、このヒト科を「デニソワ」と名付けた。
現生人類との比較を続けると、現在の東南アジアに住む集団の一部では、
最大で6%デニソワのDNAの塩基配列を持つ個体が存在することが分かった。
絶滅したヒト属とホモ・サピエンスの違いや共通点を明らかにする中で、
ネアンデルタール人のゲノムは感染症に対する免疫反応に影響を及ぼしていることも分かってきている。
カロリンスカ研究所は、ホモ・サピエンスと絶滅したヒト属の遺伝的な違いを明らかにした
ペーボ氏の研究を「画期的」と称え、
「何がこれらを分けたのか、何が我々を人間たらしめているのかを明らかにするのが、
現在も行われている精力的な研究の目標だ」とこの分野の発展に期待を示した。
【OIST学長兼理事長のピーターグルース氏のコメント】(OISTのホームページより)
「この度のスバンテ・ペーボ氏のノーベル生理学・医学賞受賞に際し、
OIST教職員一同、心よりお祝い申し上げます。
私自身も、マックス・プランク協会時代の同僚であるスバンテ氏をOISTの教員として迎え入れることに
貢献できたことを大変誇りに思います。
スバンテ氏は古遺伝学の創始者の一人で、ネアンデルタール人及びデニソワ人のゲノム解読に成功。
ホモ・サピエンスのゲノムとの比較解析により、すでに重要な機能データが得られています。
スバンテ氏は今後、ここOISTでネアンデルタール人とホモ・サピエンスのゲノムの比較解析に取り組むことを希望しており、
本学としても大変喜ばしく思っています。
この研究を通して、何が私たちを人間たらしめるのかという問いに重要な知見がもたらされることでしょう」
https://www.m3.com/news/iryoishin/1083727
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