2020年10月22日木曜日

吐く息で新型コロナ感染の有無を検査 「呼気医療に発展させる」と東北大と島津製作所

サイエンスポータル 2020年10月21日 東北大学と島津製作所の共同研究グループは、 吐く息で新型コロナウイルス感染の有無を調べる検査法を開発。 呼気の中に含まれるウイルスやタンパク質などを解析する手法を用いた 世界初とみられる技術で、医療現場で普及すれば約1時間で結果が出る簡便な検査法。 研究グループは今後も技術開発を進め、新型コロナウイルスだけでなく、 多くの疾患の診断にも使える「呼気医療」に発展させたい。 東北大学の大学院医学系研究科と加齢医学研究所が、 島津製作所と共同で開発した検査法は、 まず検査対象者に5分程度、呼気回収装置(エアロゾル採取システム)に 安静時呼吸で息を吐いてもらう。 次に呼気を冷却凝縮し、約1mlの呼気凝縮液を得る。 これを「オミックス」と呼ばれる技術を使い、 ウイルスやウイルス感染に関連するタンパク質を抽出して解析する仕組み。 PCR検査と同レベルの精度があり、既に神奈川県内の病院で約10人の新型コロナ感染症患者に 使ってもらい、検査の有用性を実証した。 検査対象者は約5分、安静時呼吸で呼気回収装置(エアロゾル採取システム)に 息を吐いてもらうだけで感染の有無が分かる。 研究グループによると、オミックスはタンパク質や代謝物などの生体分子を解析する技術で、 吐く息を使う「呼気オミックス」で、新型コロナウイルスを検出する試みは これまで海外でも例がない。 呼気を検体とする解析システムは、PCR検査など現行の検査法と精度は同じながら、 より多くのデータが得られることから、 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化を予測することも可能。 東北大学と島津製作所は、今回開発した検査法はCOVID-19以外の感染症のほか、 心臓病や脳卒中などの循環器系や肺炎、気管支炎などの呼吸器系の疾患、 糖尿病などの代謝性疾患といった多くの疾患の診断への活用も期待できる。 当面はこの検査法の関連装置をより小型化するなど、 医療現場などで手軽に使えるための実用化研究を急ぐ方針だ。 http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/10/20201021_01.html